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怯える人
怯える人は
暗い地平に立つ
希望の鱗片が
夜のどこかに輝くことを
見逃すまいと
目を凝らす
耳を澄ませ
一つの声も逃さない
怯える人は
辺りをうかがう
何を見つけ
何を知るかもわからない
それでもずっと
ただずっと
自分のいる場所を
確かめ続ける
ここにいても大丈夫な人間に
なれるかどうか
答えが欲しい
そう 怯える人は
とくべつ周りに気をつける
人に優しくできるのか
誰かの邪魔をしてないかと
用心深く考えて
ようやく決める
強く 丈夫になろう
自分と人と 何もかもを
この世につなげていられるよう
失う物なんて
どこにもないし
ただ何かが少し
色を変えるだけなのだ
もしも朝日がやってきたとき
目が開かないと困るから
今から少しずつ
ほんの少しずつ
怯える人は
知っている
ここは絶望と呼ばれる地平
明日が必ずくるかは
定かでない
でも
怯える人は
もう気づいている
怯えることなど
必要ないと
自分の口が
大丈夫 とつぶやけること
夜明け前は
暗く冷え込むものだ
もうしばらくこのまま
ここで見張ろう
怯える人は
闇のなか
希望をあきらめないでいる
読んで頂いて、ありがとうございます。