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リアンとの握手の後、再び、ソファーに座り直した。謎の液体も机に置かれたままである。


さぁ…、早く飲め!


とでも言いたいのか、さっきまでなかった異臭を感じるようになった。

……リアンには悪いけど、口を付けるのは止めておこう。


それにしても……。


「…ん? どーしたの? 真一くん」


リアンが首を傾げて尋ねて来た。きっと表情に出てたのだろう。

俺は思った事をリアンに言った。


「さっきから、その……感覚? 温かいとか、ふかふかだとか感じるようになって来たみたいで…」


……あれ? 前からだっけ? と言うか、こっちに来てから?  


でも確か、あっちで死神とぶつかった時には痛かったけど、その前に壁とか人とかはすり抜けた訳だし。


んー、聞きたい事がごちゃごちゃしてきた。どうリアンに伝えれば……。


俺がもごもごと言いよどんでいたけど、リアンは理解してくれたみたいだ。


「えっと。真一くんが知りたいのは、あっちでは物や人に触れられなかったのに、こっちでは何で出来るかって事?」

 

「はい。それと、あっちで死が……あいつとぶつかった時だけ痛かった理由とかも」



俺は死神と言いかけて、言い直した。

だって俺は死神に此処に連れて来られて、リアンに会ったんだ。

だからきっと、リアンもそうな訳で…。


一括りにしない方がいいと思ったんだ。



だけど……。



そういや、名前知らなかったな。



俺は無意識の内に、視線を床に倒れている奴へと向けていた。







リアンの説明を聞き終えた。


「……と、言うことなの。それでね? 真一くんに此処まで来てもらったのは、直接聞きたい事があって……」


「聞きたい事?」


何だろう? 答えられるかな。


リアンが机から身を乗り出し、真剣な表情で口を開いた。


「真一くん、どうして死んじゃったの?」




………………………………………………………………………はい?



いや、むしろ俺が聞きたい事だし。それ。



それに此処は普通、俺の死因について説明される流れだと思うんだけど。


何で逆に聞かれてるんだよ。


そう思いながら、俺はリアンに答えた。


「えっと、俺にもよく分からなくて…」


「……本当に? 何か思い出せる事とかないかな? どんな小さな事でもいいから。お願いだよ、真一くん」



そう言われても……。

思い出せる事はない。そう言いたいのにリアンの表情はとても必死で、切羽詰まったようにも見える。


何故だろう?


そんな疑問を頭に浮かべながら、俺は瞼を閉じた。


さて、何か思い出せるかな?



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