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「納得出来ない!!」
そう叫びながら、全力で抵抗をしている俺。
大原真一と──
「あ~~、こっちも上司命令なんだよ。お前を連れて来いって」
暴れる俺を、俵担ぎの状態で運ぶ死神──
強制連行されて来た。
ここは、死後の世界。
なんだけど‥‥
俺達が居るのは、社長室と記されている扉の前。
‥‥社長室??
(えっ…、何の社長?)
頭を過ぎる、そんな疑問。
暴れるのを、ピタリと止めて考えてしまう。
「ご希望の品、お届けに上がりました~~っと、」
そんな事を言いながら、死神は扉を──
バンッ!!!
足で蹴って開けて、部屋に入った。
うわぁぁ‥、信じらんねーとか思いながら部屋を見回した。
社長室の中は、書類らしき物が散らばった机や大量の本。
‥なぜか、ぬいぐるみ等々があった。
あれ?誰もいな‥
「~っ!!いい加減、その開け方止めてって言ってるでしょう!!」
幼い女の子の声がしたが姿がみえない。
「それは、すんませんでしたーー」
反省しているとは、思えない返事をしながら部屋の奥へ進む死神。
そして、机の下を覗き込んだ。
そこには、淡い栗色の長い髪をした、小学生ぐらいの女の子がクマのぬいぐるみを抱えていた。
その女の子は、涙目で睨み付けながら言った。
「びっくりするから、止めてって‥、もう許さない!!」
机から出てきて、ぬいぐるみの腕を掴んで死神の頭を殴った。
ガツンと鈍い音をたてて
「やべぇ‥本気で怒らせ‥‥た」
と最後の言葉を残し、倒れてしまった。
死神から解放された、俺はぬいぐるみって、凶器になるんだーー。
とか考えていると、女の子がやってきて
「ごめんねー大丈夫だった?」
と声を掛けた。
「は、はい!!大丈夫です!!」
思わず敬語になってしまった。
「そっかぁ~、よかったよ~」
そう言って女の子は、ほんわかとした笑顔を俺に向けた。