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飛んで、飛んで、すり抜けて。


後ろの死神が見えなくなって、逃げ切れたかなって思った。

だが、いつの間にか目の前に現れた。


‥死神が。


ものすごいスピードで、飛んでいた。だから、止まることも、方向転換も出来ずに正面からぶつかった。


──ゴスッ。


痛かった。幽霊なのに。

それは、向こうも同じだったらしい。二人して、空中でのたうち回る。額を押さえながら。


だが、痛みから立ち直るのは、向こうの方が早かった。


「やっ、やっと、捕まえたぞ‥」


死神は額を押さえ、息を切らせながら、俺の腕を掴んだ


「離せっ!!」


そう叫んで、暴れる。だが、力では適わなかった。暴れる俺を、がっちり掴んだまま、聞かれた。


「お前、なんか未練でも残ってんのか?」


俺は、考えた。



未練?


よく分からない。


だって、誰も気づいてくれなくて。


そしたら、死んだって。


幽霊になってて。



実感もないのに。




そして、気付く。



そもそも、なんで俺は死んだんだろう?





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