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あんなに仲が良かった奴でさえ、俺には気づかない。
重苦しい空気の中、それでも淡々と流れていく日常‥
その様子を、ただ呆然と眺めていた。
──どれほど、そうして居ただろうか。
(もう、出よう‥‥)
なんだか、悲しくなってきた俺は、教室を後にした。
「おいっ!!」
遠くから、呼ばれる。
授業中で人の居ない廊下には、俺しか居ない。
だけど、今朝から俺の存在に気がついた人は居ない訳で‥
(空耳か‥)
そう思って廊下をふわふわとしてたら、窓から人が入って来た。
(あれっ?ここ2階だったよな‥)
「おいっ!そこのゴミ袋みたいに半透明な奴!!お前だ、お前!!」
俺を指差し、怒鳴る男。
短い茶髪で目つきが悪い。
緊張感のない、ジャージ姿で大きな鎌を持っている
「‥俺?」
「そうだ。大原真一だな?」
「はぁ、まぁ‥」
俺‥。大原真一は、曖昧に返事をした。