前へ目次 31/31 31 エピローグ 誘惑 外は秋風が肌寒い。 深夜、西麻布のバーに女がひとりで入ってきた。 店内は人もまばらで、バーテンダーが手持ちぶさたそうにグラスを磨いている。 カウンター席には男がひとり、グラスを傾けていた。 メンズ雑誌のモデルか何かか、整った容姿の男だ。 横顔がきれいだ。 ボルドー色のワンピースの女はバーボンを注文し、グラスを受け取り、 バーのカウンター席の男の隣に移動してくると、 「私、あなたの運命が読めるんだけど、訊きたい?」 と男の耳元で囁いた。 終