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夢の中、ロングアイランドアイスティーの味

作者:
掲載日:2025/11/24

度々、同じ夢を見る。


バーの夢だ。


僕はカウンターに座り、ロングアイランドアイスティーを頼む。いつもそうだ。


マスターは、すっとそれを僕の前に置く。まるで最初からそこにあったみたいに。


不自然なほど唐突に置かれたロングアイランドアイスティーは、艶やかで優雅な匂いと色で、僕の五感を刺激する。


一気に飲み干す。


冷たい匂いと、凛とした感触が僕の喉を通る。


「とても美味しい」


そう言うと、マスターは軽く会釈して、別のお客様にまた別の飲み物を提供する。


そして夢から覚める。

朧げにゆらゆら揺れるその夢は、いつしか僕が寝る時の楽しみになっていた。


ある日、またバーの中にいた僕は、また同じものを頼む。

マスターは言った。


「あなたは、同じものばかりでよいですか?」


初めてマスターから言葉を聞いたので僕は驚いたが、こう返した。


「それでいいんです。同じで、同じがいいんです」


マスターはドリンクを作った。飲んだ。美味しい味だ。

ふと、後ろから声をかけられた。


婦人がそこに立っていた。真っ黒なドレスを着たその人は、「彼と同じものを」と言って僕の横に座った。


「あなた、毎日来ていない? 大丈夫?」


僕は答えた。


「大丈夫です。今のところは」


マスターは僕と婦人にロングアイランドアイスティーを提供して、別のお客様の相手をしに行った。


「あなたは、なぜここに?」


僕が聞くと、彼女は答えた。


「肺ね。これを飲んだらすぐ行くわ」


そう言って一気に飲み干して席を立った。


「じゃあ、元気でね」


婦人はそう言って、バーから去っていった。

また次の日にバーに来た。最近ずっと同じ夢を見ている。


先に誰かが座っていた。男の子だった。僕はその子に見覚えがある。


「あっ、今日会ったよね」


その子は言った。


「君はなんでここに?」


「よくわからないけど、悪性腫瘍なんだって」


僕はその子の横に座った。


「もう長くないの?」


「うん、まあ、仕方ないよね」


その子はアップルティーを飲んでいた。僕はいつものロングアイランドアイスティーを飲んだ。


「ねえ、それ美味しいの?」


「うん」


「いいなあ。僕も飲める年まで生きてたかったなあ」


その子は寂しそうに言った。

そして全部飲んだあと、その子はバーから出て行った。




そして僕も夢から覚めた。

いつもの天井。点滴が僕の腕に張り付いていた。

今日も病室で、一日が始まる。

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