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25●●敬虔なる一ファン
例の舞踏会で、「男」が「彼女」を見つけてから半月近くが経とうとしていた。
……焦ってはいけない。そうだ、自分はいつも焦ってダメにしてしまう。前回だってそうだった。
周到に……、ぬかりなく準備しなければならない。
幸い、すでに撒いた種は芽吹き、少しずつその根を伸ばしている。
彼女は次の舞踏会にも出る予定だろう。それまでに、あと一押しが必要だ。
(今回は、使える手駒は多い──、さて、どう手を打つか)
「そうだ。女を使うか……」
女はいい。軽率で深く考えることを知らず、感情で動いてくれるうえ、社会に残る影響も少ない。
あと腐れのなさそうな者を選ぶとしよう。
彼女には「最高の舞台」を用意しなければなるまい。
「……敬虔なる彼女の一ファンとして、ね……」
男はそうつぶやき、窓から差し込む月の光に見入った。




