22✦☾ 拾い隊の帰還
屋敷に着くと、まずチェスカとマーシアに、リルネをお風呂へ連れていってもらい、迎え出てくれた他のメイドにもリルネのケアをお願いした。
「リルネ、本当にごめんなさいね。今日はゆっくり休んで。もし気になることがあったら、私でもエヴァルス様でもいいから、すぐに言ってね」
「いえ……私が勝手に足を踏み外したのでございます。しかも、レ、レオネル様にその、抱かれて馬に乗れるなんて……」
まだ、ほんのり頬をピンク色に染めて満足そうに微笑んでいる……、これは大丈夫そうだ。
私たちの帰宅を知ると、お嬢様まで飛び出してきた。
「遅かったわね!それで、わたくしのドレスの装飾は……!?……あ、あら?」
馬に乗ったレオネル様を見て、お嬢様は困惑している。
「確か……レオーネ様?でしたっけ?」
(名前が違いますわ!ファーストダンスのお相手をもう忘れてらっしゃる……!お嬢様……トリ頭すぎますわ!)
「御無沙汰しております、スティラ様。近衛騎士のレオネル・アルヴィアでございます。見回り中にメイドの皆さまに出会い、念のため警護させていただきました」
レオネル様は馬から降り、丁寧に礼をする。
「そ、それは感謝いたしますわ」
「申し訳ございません!!私の計画が甘かったせいで、リルネを危険に晒し、レオネル様にお助けいただきました!!!お嬢様に合わせる顔もございません!!」
私も、いつものドゲザポーズで心よりお詫びを申し上げる。
「ちょ……、や、やめてってば!あの、レオーネ様、これは違いますの!シアナの趣味のポーズなのですわ!!」
(だから、レオーネではなくレオネルですわ!!!)
……と申し上げるわけにもいかず、私は、ただ這いつくばる。
「優秀なメイド長は変わった趣味をお持ちなのですな」
「これは誠意を尽くすためのポーズでございます!!レオネル様にも大変なご足労をおかけし、申し訳ございませんでした!!」
「いやいや。このレオネル、セラヴェル家のお役に立てたならば、誇らしい気持ちでございます。では、これにて。リルネ殿にはお大事にとお伝えください」
「本当にありがとうございました!!」
颯爽と馬に飛び乗り去ってゆくレオネル様にも、土下座のままで再度御礼を申し上げた。
「シアナ……、せめて、這いつくばったままで回転するのはやめてくれる……?虫みたいで、本当に気持ち悪いわ」
「虫!?ありがとうございます!」
「……もういいわ。とにかく中に入って、説明してちょうだい」
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お嬢様のお部屋に着くと、私はお嬢様とエヴァルス様に事の次第を説明し、改めてお詫び申し上げた。
「まあ、リルネも落ち着いていて怪我もないようだし……、肝心の装飾のための石もちゃんと取ってこれたのね?」
「はい!」
「なら、まあいいわ」
「レオネル様にはこちらより改めて御礼をお贈りしておきます」
エヴァルス様もそう言ってくださった。
「ありがとうございます!……あと、」
私はしばし迷ったが、思い切って言葉をつなげた。
「リルネを直接助けてくれたのは、その場に居合わせた少年でした。……彼にも何らかの御礼をしたく存じます」
「少年?そんな郊外に?あのあたりは人家も無いはず……」
エヴァルス様は、そう言った次の瞬間、はっと察したような表情をされた。
……おそらく、郊外にたむろする浮浪児だと想像がついたのだろう。
「好きになさい。任せたわ」
「ありがとうございます!!」
あそこに行けば会えるとは限らないけれど、どうにかして渡す機会を考えたい。また採取にも行きたいし。
(とはいえ、あんなことになっては、「研磨材を拾い隊」は解散ね。もうメイドたちは連れてゆけないわ……)
「まあ、御礼を渡すだけなら私一人でも行けるし、研磨材だって今回は採取した分で間に合うわ。あとは道具と防具……!」
そちらも、アテはちゃんとあるのだ──!
少しずつだけど「お嬢様☆超キラメキ計画」は確実に前進していた。




