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【Ai執筆】最強スキルを授かったのに追放された俺、気づけば世界を救っていた  作者: あぁ


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第66話世界が手を伸ばす

第66話:世界が手を伸ばす

夜は、静かだった。

だが。

静かすぎた。

風は吹いている。

虫も鳴いている。

町の灯りも消えていない。

それでも。

どこか、世界が呼吸を忘れているようだった。

禁書庫。

エリスの前で、魔法陣がわずかに光る。

何も刻まれていないはずの中心。

“空白”。

そこに、ゆっくりと線が浮かび上がっていく。

クロウが息を呑む。

「……何だ、それ」

エリスは、顔を青くした。

「違う……」

「これは再生じゃない」

線は、文字だった。

見たこともない言語。

だが意味だけは、理解できる。

世界が、

自分で書いている。

『中心 設定準備』

エリスの手が震える。

「世界が……」

「代わりを作ろうとしてる」

クロウが低く言う。

「セレスか」

エリスは答えなかった。

答えを言う必要がなかった。

丘の上。

セレスは、空を見上げていた。

ひびは、さらに広がっている。

細い。

だが確実に。

星の間を、裂くように。

胸の奥が痛む。

理由は分からない。

でも、分かる。

時間がない。

彼女は目を閉じる。

歌えない喉で、

それでも、声を出そうとする。

「……ねえ」

かすれた空気だけが漏れる。

それでも。

世界は反応した。

ひびの奥から、

わずかな光が落ちてくる。

まるで、

手を伸ばすように。

世界の深部。

演算は加速していた。

『代替中心 確定率 42%』

『空白増殖 継続』

『崩壊予測 開始』

もし何もしなければ、

世界はゆっくりと解けていく。

だから世界は、

選ぶしかない。

『中心 設定』

その瞬間。

世界の空が、わずかに鳴った。

誰も気づかない。

だが、

セレスだけが顔を上げる。

空のひびから、

透明な糸のような光が降りてきた。

そして——

彼女の胸に触れる。

「……あ」

痛みはない。

重さもない。

ただ。

世界の奥底に、

繋がった感覚。

遠く。

世界の外。

俺は、それを見た。

「……セレス」

間に合わない。

このままでは、

彼女が中心になる。

俺は、初めて手を伸ばす。

触れられないはずの、

世界へ。

その瞬間。

空白が、

爆ぜた。

禁書庫の中心。

何もなかった場所から、

黒い裂け目が走る。

エリスが叫ぶ。

「違う!」

「これは代替じゃない!」

クロウが叫び返す。

「じゃあ何だ!」

エリスは、震えながら言った。

「……戻ってきてる」

静寂。

空白の奥から、

ゆっくりと

“存在”が形を取り始める。

世界は、代替を作らなかった。

作れなかった。

だから——

元の楔を呼び戻した。

丘の上。

セレスの前で、

空の裂け目が

大きく、開く。

風が止まる。

星が揺れる。

そして。

その奥から、

一つの影が、

ゆっくりと落ちてくる。

セレスの瞳が、震える。

「……うそ」

世界は、

選んだ。

代償を、

もう一度。

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