第47話禁書庫の扉に迫る緊張感と伏線
第47話:禁書庫の扉に迫る緊張感と伏線
王宮の奥深く、重厚な扉の前に立つ俺たちは、息をひそめた。
扉は古びた銀色の金具で飾られ、中心には複雑な魔法陣が刻まれている。その魔力が微かに振動し、空気がわずかに震えていた。
「……ここが、禁書庫……」
セレスの声はかすかに震え、手が少しだけ震えているのがわかる。
俺は彼女の手を握り、深呼吸を促した。
「落ち着け。扉はただの扉だ。お前の力と俺たちがいれば大丈夫」
エリスは魔法陣の前に立ち、細い指先で空気をなぞる。
「この魔法陣……封印の力と記憶に関わる呪文が混ざっている。安易に触れれば、セレスの力や記憶に干渉してくる可能性があるわ」
クロウは剣を軽く握りながら警戒する。
「……この手前で何が起きても、戦うしかねぇな」
沈黙の中、扉の向こうから微かに低い唸り声が聞こえる。
それは風の音でも、人の声でもない——封印に絡む何かの意志のように感じられた。
セレスは息を整え、そっと歌の一節を口ずさむ。
その歌声は小さいが、魔力の振動が扉に反応し、魔法陣の光がわずかに揺らいだ。
「……行けそうね」
セレスの目が決意に光る。
その瞬間、扉の中央の魔法陣が淡く光り、扉がゆっくりと開き始めた。
中に入ると、古代文字の巻物や魔法陣の書かれた書物が整然と並ぶ。空気はひんやりと冷たく、しかし威圧感があり、まるで禁書庫自体が生きているかのようだった。
「……すごい……」
エリスが息を飲む。書物のひとつひとつに、強大な魔力が宿っているのがわかる。
その中で、セレスは一冊の古びた書物に視線を固定した。表紙には小さな紋章が浮かび上がり、彼女の胸に直接響くような感覚を与えた。
「……これ……知ってる……」
手を伸ばすと、書物が淡く光り、彼女の胸に振動が伝わる。
断片的な記憶——暗い部屋、歌を封じられそうになった影、そして初めて感じた温もり——がフラッシュのように頭をよぎる。
その瞬間、奥から低い声が響いた。
「……封印の力を乱す者……許さぬ……」
黒い霧のような影が揺らめき、書物の周囲に立ち込める。
俺は剣を構え、クロウも同じく、エリスは魔力を高める。
セレスは恐れを押し殺し、歌を小さく紡ぎ始めた。
その歌声が霧を裂き、書物の光を強める。
断片的だった記憶が徐々に繋がり、セレスは小さく息をついた。
「……思い出せる……私の歌は、守るためにある」
霧は抗うようにうねったが、歌と俺たちの連携で徐々に消えていく。
禁書庫は再び静寂を取り戻し、そこには新たな真実への入り口が待っていた。




