第4話異形の騎士と神威の力
第4話:異形の騎士と神威の力
遺跡の奥深く、重く冷たい空気が満ちていた。
目の前に立ちはだかるのは、黒い霧をまとった異形の騎士。身の丈を超える大剣を携え、その漆黒の鎧には不気味な紋様が刻まれている。
「……また、貴様らか……。」
騎士の低い声が遺跡に響き渡った。
「また?」
俺は眉をひそめる。
「俺たち、お前に会うのは初めてのはずだけど……?」
「フッ……記憶を失ったか。だが、貴様の力……確かにあの時と同じだ。」
騎士はゆっくりと大剣を振り上げ、闇の波動が空間を震わせる。
「どうやら、お前のスキル……**"神威の創造"**は、我が宿敵の力と酷似しているようだな。」
「宿敵……?」
思いがけない言葉に、俺は戸惑う。しかし、今はそんなことを考えている余裕はなかった。
「エリス、いくぞ!」
「ええ! "ファイアランス"!」
エリスの詠唱が終わると同時に、炎の槍が騎士へ向かって飛んだ。しかし——
ゴォッ!
炎の槍が騎士の鎧に直撃した瞬間、黒い霧がそれを包み込み、かき消してしまった。
「なっ……!?」
「小賢しい。」
騎士は微動だにせず、俺たちを見据えている。
(やばい、普通の攻撃じゃ通じない……!)
俺はすぐに**【神威の創造】**を発動する。
「創造——聖銀の剣!」
手のひらの中で、純白の光が弾け、白銀の剣が形を成す。この剣は、"あらゆる闇を断ち切る"という設定で創り出したものだ。
「……ほう。」
騎士の目がわずかに細まる。
(効きそうだな……!)
俺は剣を構え、一気に駆け出した。
「悠斗!」
エリスが援護の氷魔法を放つ。騎士がそれを防ごうとした瞬間——
「はああああっ!」
俺は渾身の一撃を叩き込んだ。
ギィィンッ!
銀の刃が騎士の鎧に食い込み、闇の霧が弾け飛ぶ。
「ぐっ……!」
騎士が初めてよろめいた。聖銀の剣は、確実に奴にダメージを与えている!
「お前……やはり……!」
騎士は俺を睨みつける。その瞳には、憎しみとも、あるいは驚きとも取れる感情が渦巻いていた。
「我が宿敵の力を……受け継いでいるのか……?」
「だから、その宿敵って誰なんだよ!」
「……いずれ分かる……だが、今は……!」
騎士が再び剣を振り上げ、闇の波動を放とうとする。その瞬間——
「させるかよ!」
俺はスキルを再び発動した。
「創造——光輝の鎖!」
無数の光の鎖が生まれ、騎士の体を締め上げる。
「ぐおおおっ……!」
「今だ、エリス!」
「うん! "フレイムバースト"!」
巨大な炎が騎士を包み込む。闇の霧が焼かれ、鎧が砕け、騎士の体が崩れ始めた。
「……この程度では……終わらん……」
騎士はそう呟きながら、ついに完全に消滅した。
騎士が残したもの
戦闘が終わり、遺跡の中に静寂が戻る。
俺たちは息を整えながら、騎士がいた場所へ近づいた。すると、そこには黒い宝玉が転がっていた。
「これ……なんだ?」
拾い上げると、わずかに温かさを感じた。
「悠斗、なんだか不思議な力を感じるわ……。」
エリスも慎重に宝玉を見つめる。
(騎士が言っていたこと……俺のスキルと似た力を持つ"宿敵"……。)
俺は何か大きな秘密に足を踏み入れてしまったのかもしれない。
「とにかく、これを村に持ち帰ろう。」
俺たちは宝玉を持ち、遺跡を後にした。
——そして、この宝玉が、俺の運命を大きく変えることになるとは、この時はまだ知る由もなかった。
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次回予告
異形の騎士との戦いを終えた悠斗たち。だが、彼らが持ち帰った宝玉には、さらなる秘密が隠されていた。次なる試練とは?
次回、「黒き遺産と古代の真実」
お楽しみに!
……この程度では……終わらん……