第15話新たな仲間
第15話: 新たな仲間
朝日が昇り、空は鮮やかな橙色に染まっていた。目の前に広がるのは、セレスと共に避け続けていた追っ手の気配が薄れた静かな街だった。クロウとエリスがそろって歩いているのを見て、主人公は少しだけ安堵の息をついた。
「ここなら、しばらくは大丈夫かもしれないな。」主人公は、クロウに声をかけた。
クロウは無言でうなずき、少し険しい表情のままで足を踏み出す。エリスはその後ろをついていくが、目を細めて何かを考え込んでいる様子だった。
「でも、あまり長居はできませんよ。」エリスが低い声で言った。「貴族たちの動きが活発になっています。セレス様の歌が広がってしまったことで、敵の手が迫っているんです。」
セレスはその言葉に反応せず、ただ小さくうなずいた。彼女の目はどこか遠くを見つめているようで、悲しげに揺れていた。
「どうする? 少し休むか、それとも先を急ぐか?」主人公は悩みながら尋ねた。
その時、街の広場から急な足音が近づいてきた。瞬間、クロウが剣を手に構える。主人公もすぐにスキルを使える体勢を整えた。
「敵か……?」主人公がそう呟くと、広場から現れたのは予想外の人物だった。
「待て!」叫び声が上がり、こちらに駆けてきたのは、あの少女だった。彼女の髪は乱れ、汗だくで必死に走りながら言った。
「私、助けに来ました!」その少女は、セレスを見て言った。「あなたを助けるために!」
セレスは驚き、思わず後ろに一歩下がる。その少女の姿を見て、主人公は少しだけ心を動かされた。彼女の瞳には、決意が宿っている。
「あなたは……?」主人公が問いかけると、少女ははっきりと答えた。
「私も、歌が……歌で助けを求めたかった。でも、私の歌じゃ足りなかった。だから、あなたたちに力を貸すわ。私の力、少しでも役立つなら。」
その言葉に、セレスは目を見開いた。歌がもたらす力――それは、セレスが持つ力と同じ種類のものであると、主人公は直感で理解した。
「それなら、頼む。あなたの力が必要だ。」セレスが声を震わせながら言うと、少女は少し照れながらも頷いた。
その瞬間、空気が変わった。周囲の気配が一気に変わり、まるで新たな仲間が加わったことで、戦う力が増したように感じられた。主人公は、少女が持つ力がどれほどのものかは分からなかったが、今は彼女の存在が希望に思えた。
「行こう。まだ私たちの冒険は終わらない。」主人公は改めて言葉を強くし、前を見据えた。