第四話 休養と俺付きのメイドさん達との日々
屋敷の前に大量に並んでいた数台の荷馬車が夜明けと同時に次々と出発する。これで昨日メイドさん達が仕分けした種が辺境伯内の農家に配られるはずだ。
「これでひとまず先行き不安は無くなるだろう・・・ってあれ!?」
唐突に視界が揺れて後ろに立ってたアイリーンさんにぶつかりそうになって支えられる。厚い生地の服の上からでも推定90以上あるバストは存在感がある。
「大丈夫ですか!?朝から顔色が優れないような気はしていましたが・・・特に酷くなっていますね。失礼します」
何事か早口&小声でつぶやくと漫画の戦闘キャラばりに赤色のオーラを纏った彼女が俺をお姫様だっこで俺を部屋のベッドまであっという間に運んでしまった。
「いやぁ、済まないねぇ」
ベットに放り込まれながら呟いた(つもり)の謝罪は彼女に届いただろうか?それを確かめることも出来ずに俺は強烈な眠気に意識を手放した。
(生憎と知ってる天井だなぁ)
なんてアホな感想を考えられる程度には体が楽になっている。そばにはエルフのメイド長とアイリーンが居て、何事か話している。
「見た所、病気というより過労のようね。秘薬で応急処置はしたけれど、ちゃんと休むことね。例の『図鑑』が主な原因でしょうけど、夜にカイルと遊びに行ってるからよ。しばらくこの代行さんを夜遊び行かせちゃダメよ」
「ありがとうございました。後は私が責任を持って看病します!」
そして俺の世話役メイド軍団(主にアイリーン)による看護(監視)体制が始まった。
体調自体は一日休んで大体回復したのに、アイリーンを筆頭に俺付きのメイドさん達によるジェットストリー●アタックが開始された。
~その①~
「あの、アイリーンさんや?なぜ手つなぎ添い寝!?」
「恭介様を逃がさない為です。お気になさらず、存分にお休み下さい」
気にしないとか無理やろー-(心の中で絶叫)
~その②~
「ねーねー、娼館なんて行く位なら私の踊り見てよー-!」
元気な声を挙げながら目の前で踊る褐色赤髪ツインテ少女の名前はヴァネッサちゃん(16)。アイリーンより小柄だけど、この子もまた埒外性生命体(=リアル8等身)だ。
普段のメイド服でも気になってたけど踊り子衣装のせいで足の長さが特に目立つ。
お母さんが此処より南の国で人気の踊り子さんで、この国の貴族に見初められて第×夫人として迎えられたそうな。
つまりは立派な貴族の子女なのだが・・・落ち着きが無いので指導と花嫁修業の一環でここの見習いメイドやってるそうだ。
踊りを終えるなりアイリーンと同じく手つなぎ添い寝を始める。
「お嫁さんに迎えてくれるなら手をだしてもいーよ♪」
なんて言ってるけど、ドアから発散される殺意とちらっと見える金髪を見る限り手を出すのはムリッすね(;^_^A
~その③~
「あの~自分、若旦那のこと結構好きなんで、癒しになるなら胸も尻も触って貰って全然OKなんスけど・・・そんなに尻尾触ってて楽しいっスか?」
続いて登場したのは狼獣人のリスティ。この娘はメイドというか、俺の護衛という位置づけになる。
メイド服ではなく、ショートパンツにへそ出しタンクトップという動きやすさ重視の服装。話によれば体術はかなりの物らしい。
ヴァネッサちゃんよりさらに小柄だけど破壊力高い胸を装備したケモミミ娘(18)。最初は小学生位かと思って接して、酷い怒りを買ったもんだ。
「ん~、俺の世界に獣人はいなかったから念願叶って幸せなんじゃ~(モフモフ)」
「・・・いや、若旦那が良いなら良いんですけどね」
銀色の綺麗な毛並みの尻尾をモフモフしてる俺を見ながら、何故か拗ねた声でそんな事を言うリスティだった。
三日ばかりそんな生活をして無事仕事に復帰。遅れて来た陳情の対応や『図鑑』のテストも始められそうだ。
「お、元気になったようだな!今夜快気祝いにどうだ?」
朝食の席で明るい声で誘ってくるじーさんだったが・・・背後のエルフメイドさんとアイリーンのプレッシャーに言葉を続ける事は出来なかった。
~神様監視中~
「え!?羨ましくて言葉も無いんだけど」
「定期的に神様達はそんなこと言って下界に転生して裕福な暮らしした挙句『ツマンネ』って言って帰って来るじゃ無いですか!?」
「隣の芝生は青いってやつだねぇ...( = =) トオイメ」