第十七話 久々にお仕事中
かくかくしがじかと事情を説明したら、リスティにめっちゃ笑われた。
ひとしきり笑われた所で文官たちが書類持って来たので執務室でまじめに仕事を始める。
リスティは難しい話はパスと言ってお腹抱えながら去って行った。おのれ笑われた分、後で糖度抜いたイチゴ提供してやる。
執務室には俺とアイリーン&エリス、視察中のベイリー殿下と近衛2名。資料の内容を説明する文官さん4名の計10人で話が始まった。
久々に結構な長丁場の会議できつかったが、文官の苦労を考えるとせめてこの場で寝るとかの無様はされせない(さっきまで廊下に立たされていたけど)
「こちらが辺境伯領全体の請求予定額となります。」
文官の代表のケーラさんから説明が終わると、執務室には何とも言えない空気が流れる。
「すんごい額だけど・・・伯爵家とは言え払えるの?」
去年の辺境伯領の収益の3倍位の値段だけど。
「そう言われましても・・・過去の小さな事例と重ね合わせるとこれくらいの額になってしまいます。」
そりゃそうか。辺境伯領って滅茶苦茶広いもんな。西側の屋敷から国境の街いがい全部で略奪と田狩り行為が行われたとあってはこれ位になっても仕方ないか。
リスティからの報告で金品等についてはかなりの量を捌かれる前に確保できているとの報告が有り、これでも額は抑えている方らしい。
「殿下、俺はケーラさん含めた皆を信頼してるのでこのまま出そうと思ってますが、ぶっちゃけどうでしょうか?」
「僕も若輩なので金額の妥当性は良く分かりませんが、最終的に兄さま(第二王子)が落としどころを決めると思います。だから内外諸侯に舐められない額と言えるなら良いと思いますよ」
殿下からお墨付き貰ってホットするケーラさん。
皆の緊張がほぐれた所で手を叩いて外でスタンバイしてたクレアを呼んで、複数のレア素材を使ったフルーツタルトをご賞味頂く。
「はーい、私達より13歳の囁き声で頑張った薄情なご主人様のおかげで出来た美味しいタルトは此方でーす」
のっけからクレアのツンがMAXレベルで突き刺さる。いや、さっき罰は受けたじゃないっすかーっと言いたいが皆有無を言わせない目で睨んで来る。
「あらあら、エリスちゃんに出し抜かれたのを恭介様のせいにするなんて酷いメイド達ですね~あんな娘達より今夜は私と過ごしませんか?」
いきなりプライベートモードになったケーラさんが後ろから豊満なオッパイを押し付けながら抱きしめてそんな事を言ってくる。
ビキッ!!
聞こえる筈の無い時空の歪む音が聞こえて、殿下と配下の兵士はタルトを持ったまま風魔法で窓から逃げやがった。ずりぃ!
文官男性の皆様はいつも通りの事なので音が鳴る直前にエリスの手引きで部屋の外に退避している。
「貴方と恭介様が『仲良く』するのを一々咎めるつもりはありませんが、今夜はお忙しいので貴方の相手をする時間はありません」
ケーラさんに対抗して正面からにらみ合うアイリーン。
今日は薄い素材の服だからバスト90超えの胸に挟まれて、男としては夢のような状況のハズだが、頭上の二人が発生させてる時空のゆがみのせいで感触を楽しむどころではない。
助けを求めて残りのメイド様子をみても、クレアは勝手にしなさいとばかりにそっぽ向いてタルト食べてるし、エリスもクレアと一緒に状況を無視してタルトを美味しく頬張っている。
つまりは孤立無援である。
「夜誰を抱くか決めるのは『辺境伯』である恭介の勝手でしょ?メイド長になったからって奥様気取りってわけ?」
「まさか、我々が恭介様に何かを強制したことなど一度もありません。文官のトップを務める割には妄想癖が激しいみたいですね。」
ゴゴゴゴと空気が不穏になって行く中、唐突に執務室に入って来る人の気配。
「ちわーっす!会議終わったって聞いたので若を頂きに参上しましたー!」
全く空気を読むことなく2人の美女の胸に挟まれてた俺を捕獲した上でお姫様抱っこで窓から飛び出す。
「最近ご無沙汰だったから今日は若を半日もらい受けるッスー!!」
あっという間の出来事にポカーンとしてる才女2人の表情をカメラに収められないのが惜しいな~と思いながら、ジェットコースター以上の3次元浮遊体験を強制される羽目になった。
でもあのまま女の子のケンカが続くよりは良いか。