第十四話 フルーツ接待祭り開催
何か事件のどさくさに紛れて雲隠れした前辺境伯ことカイルのじーさん。
ベイリー殿下曰く、元々後継者問題を解決次第隠居するという話は現国王と前々から進んでいた話だそうな。
「僕も正式に引継ぎをしてはどうかと提案してみたのですが・・・」
殿下の正論に対してじーさんは何とも軽い口調で『ダイジョブダイジョブ~♪』等と軽い口調で去って行ったそうだ。
まぁ、それ自体は俺が文句言ってた時の反応とほぼ同じだからあまり驚かないが・・・ストレスでも溜まってたのだろうか?
「引退って事は領内のどこかに隠居するって事?」
「それが一般的ですが、彼の場合は違うようです。国外にあるメイド長さんの実家にお世話になると言っていましたね」
あー、あのエルフメイドさんの地元?
エルフの悟って森の隠れ里的なイメージだけど・・・じーさん含めた年齢高めのメンツで大丈夫だろうか?
「きっと恭介様は森で苦労してる一行をイメージしてると思いますが、彼女の実家は人以外を中心にした亜種族の国家の上位貴族らしいので大丈夫ですよ」
良かった、定年後に地方移住して苦労するじーさんは居なかった!落ち着いたら収穫した果物を土産に持って行って文句の一つも言いに行こう。
「殿下は何故こちらに?」
まさかもう戦が終わったので凱旋の出迎えをする為に国境に向かう途中・・・な訳ないよなぁ。なろう系ラノベの主人公じゃあるまいし。
「父上から貴方を見極めるように仰せつかって来ました」
用は国王はじーさんを信頼しているから俺に辺境伯領を任せることを基本的には了承している。
しかし、今回の騒動の中で露見した『時渡り』の悪行に国王陛下は大きな関心を寄せてくれているそうな。
今回の事件が貴族・世間に拾って行く中で『時渡り』の俺がこのまま前任者の新任だけで就任すると騒ぎ出す外野の声が多くなるだろうと予想している。
「ホントにそんな事になるの?」
「基本的に暇人で野次馬根性強い方が多いですから、前任者の新任だけですと・・・確かに陛下の予想通りになるかもしれません」
でも住人からの新任もらえるでしょうから大丈夫ですとフォローしてくれるアイリーンさんマジ天使。
「僕もアイリーンさんと同意見ですね。まぁ、僕の社会勉強の一環みたいなものなのであまり構えないで下さい。」
出来れば『図鑑』の力を良く見たいとの事だが、種の力は直ぐに結果でるものじゃないしな・・・やはり手っ取り早いのはこれか
「辺境伯屋敷不定期開催のフルーツ祭り、はっじまっるよー!!!」
「合点承知しましたぁー!!」
教育チャンネルに出てきそうな俺の爽やかボイスと共に殿下の護衛をものともせずに部屋に突撃してくる辺境伯屋敷の若メイド部隊。
アイリーン以上に俺による文化汚染を受けてノリが良い娘達だ。あ、いつの間にかヴァネッサも戻って参加してるw
「凄い豪華な果物が出て来たのもビックリしたんですけど・・・それに対応して一瞬でテーブルと皿が用意されてるのは何故ですか?」
「当家のメイド特殊な訓練を受けておりまして・・・こういう事が稀に良くあります。普段の仕事がこれくらい早いと私の苦労が減るのですが・・・」
頭抱えてるアイリーンを他所におバカなノリでメイド達を指揮して殿下をもてなす準備を始める俺であった。




