第六話 手持ちを1個は空けておけ
どうも夏より断然冬派のピーマンです。
この物語はいつも夢からインスピレーションをもらっているんですが、最近ゾンビの夢見出したので、そろそろバイオハザードが起こるかもしれません。ごめんなさい、嘘です。私ゾンビ好きなので是非出したいんですけどね。
ゾンビって大体服がボロボロですけど、身なりがすごく綺麗なゾンビいたら面白くないですか?そんな事ないか、すみません忘れてください。
こんなどうでもいい話で前書きを潰してしまいました、そろそろ本編どうぞ。
第六話 手持ちを1個は空けておけ
勇者、エルザ、ギルベルトの3人は冒険者ギルドに登録し、日銭を稼ぐため、それぞれモンスター討伐に出かけていた。
勇者がキングライオネルと対峙している時、エルザはボストロールと対峙していた。
エルザ「悪いけど、誰が早く戻るか勝負してるから、ソッコーで倒されてよね!」
ボストロール「ウボォォオオ!!」
叫び声を上げながら襲いかかってくるボストロールの攻撃をかわし、懐に入り込み、技を繰り出す。
エルザ「瞬身流拳術、3連突き!」
目にも止まらぬ速さで3連続で正拳突きを行うエルザの得意技である。
しかしそこまでダメージが効いていないようだった。
ボストロール「オマエ、チカラヨワイ。オデノホウガツヨイ」
エルザ「げぇ、コイツ喋れるの?!でも今のはちょっとムカついた!」
ボストロール「オ?ドコイッタ?」
ボストロールの前から瞬時にいなくなったエルザは300メートルほど距離をとっていた。
エルザ「こんくらいかな…瞬身流拳術…」
300メートルの距離を瞬身流の足捌きで一気に詰め寄り、そのスピードを拳に乗せて放つ正拳突きは一撃必殺の威力を誇る。
エルザ「瞬突!!」
ボストロール「ガハァ!!」
ボストロールの腹部はエルザの攻撃により貫通し向こう側が見えていた。
エルザ「あ、これって素材傷つけたとかで価値が下がったりするのかなぁ?やっちゃった〜」
エルザ、ボストロール討伐完了。
一方ギルベルトはターゲットのヘビースネークと対峙していた。
ギルベルト「おー、でかー」
ヘビースネーク「シャー!!」
ヘビースネークはギルベルトの体に巻きつき締め殺そうとしてきたが、ギルベルトはそれを軽々と抜け出しエクスカリバール(以後バール)でヘビースネークの下顎を殴りつけ、顎が砕けた頭を地面に向けてカカト落としで打ち付けた。すると、牙が地面に刺さり、動けなくなったヘビースネークを見下ろし、ニヤリと笑う。
ギルベルト「もう動けないなぁ?」
ギルベルト、ヘビースネーク討伐完了。
ギルベルト「さて、それじゃコイツをこの無限収納便利袋に入れて、さっさと退散しよーかね。1位はもらったぜ!」
予想通りギルベルトは1位だった。
ギルベルト「お、やっぱ1番目は俺だったか」
受付嬢「お疲れ様です。忘れ物ですか?」
ギルベルト「いや、終わったよ。ここで報告すればいいの?」
受付嬢「え、ちょっと冗談きついですよ…まだ2時間しか経ってないじゃないですか…」
ギルベルト「ちょっと待ってね…今出すから…ほい」
ギルベルトは便利袋からヘビースネークの頭を取り出した。
ギルベルト「どこに置けばいい?ちょっとでかいな…ん?どうしたの?口パクパクさせて」
受付嬢「…はっ!ちょちょっと待ってください!思考が追いつかない…一旦それしまってください!」
ギルベルトは肩をすくめてヘビースネークの頭を便利袋にしまった。
受付嬢「ふぅ、えっとまず討伐完了報告はこちらにして頂いて大丈夫です。その際に倒した魔物の魔石を提出して頂ければそれが証明となりますので、報酬をお渡しします。その他に魔物の素材があればこちらで買い取ることもできますので余裕があればどうぞ。以上が大まかな流れですね、なにかわからない事はありますか?」
ギルベルト「あなたのスリーサイズは?」
受付嬢「私のスリーサイズは上から…って何言わせるんですか?!」
そうこうしてるうちに他の2人がほぼ同着で帰ってきた。
エルザ「はぁ、はぁ、私の方が早かった…」
勇者「はぁ、はぁ、いいや、俺だったね…」
ギルベルト「遅かったな、2人とも」
エルザと勇者はギルベルトの余裕な笑みを見て同時に崩れ落ちた。
エルザ「なんでそんなに早いのよ…」
勇者「全然疲れてなさそうだし…」
ギルベルト「逆に何でそんなに遅いわけ?」
エルザ「魔物倒すまではすぐだったけど…」
勇者「死体持ってくるのに手こずって…」
エルザ「そしたら途中でアレフとバッタリあって、そっから競争よ…」
受付嬢「死体ってまさか…!倒した魔物をそのまま持ってきたんですか?!」
エルザ「そうだけど、もっといい方法ないのかな?」
受付嬢「あ…あ…ありえない…」
それから受付嬢はギルベルトに話した同じ内容を2人にも伝えた。
勇者「何だ〜…死体持ってかなくてよかったのか〜」
エルザ「今までの苦労よ…ん?あんた最初から知ってたの?」
ギルベルト「俺?いや、知らないよ」
勇者「え、じゃあ死体は?」
ギルベルト「ここさ」
ギルベルトは便利袋から死体を少し取り出してみせた。
エルザ「何よそれ!ズルい!反則負けよ!」
ギルベルト「なに!?そんなルール知らないぞ!」
勇者「はぁ…今度から3人で行こう…」
こうして初の討伐依頼はギルベルトの反則負けと言うやや強引な形で幕を閉じ、その日の夜は報酬と素材を換金したお金でご馳走をギルベルトの奢りで食べるのだった。
次の日
ギルベルト「この町は鍛冶が盛んらしいぞ」
勇者「おーじゃあ俺たちの装備も作ってもらおう!」
エルザ「てゆーかアレフあんた聖剣貰うんじゃなかったの?」
勇者「………あ」
エルザ「あ、じゃないわよ!まさか忘れてたの?!」
勇者「うっかり」
エルザ「はぁ…先が思いやられるわ…」
ギルベルト「じゃあアレフは聖剣をもらいに教会へ、俺とエルザちゃんは川へ洗濯に行けばいいか?」
エルザ「桃は流れて来ないわよ〜
鍛冶屋でも見て回ろうか」
ギルベルト「エルザちゃんとデートだ!」
エルザ「やっぱり別行動で」
ギルベルト「あーわかったって!冗談通じないんだから…」
勇者「じゃあ今日は二手に分かれてそれぞれ行動って事で!」
勇者は聖剣をもらいに教会へ、ギルベルトとエルザは装備を整えるため街へ出かけた。
聖剣をもらうため教会に到着した勇者。
勇者「すみませーん、聖剣をもらいに来ました勇者ですけど」
シスター「お待ちしておりましたって言うわけないでしょうが!なにをちょっと駄菓子買いに来たみたいな感じで来てんのよ!渡すわけないでしょ!」
勇者「えーでもほら」
そう言って聖痕を見せるとシスターはなんとも言えない表情をして案内してくれた。
シスター「こちらでございます(まさか本当に勇者様だとは…はっ!さっきの態度が気に障ったとかでいきなり暴れ出したらどうしよう…)あの〜…」
勇者「ん?どうかしました?」
シスター「先程はすみませんでした…不審者扱いしてしまって…」
勇者「ああ、あれはこっちが説明もなしに聖剣をもらいに来たなんて言っちゃったせいですし…」
シスター「そうですよね!私悪くないですよね!よかった」
勇者「はは…(何だこのシスター…変な子…)」
シスター「この奥で司教様がお待ちです」
勇者は頷くと扉を開けて中へ進む。
そこは大聖堂で1番先に司教と思わしき人物が聖剣を持って待っていた。
司教「おお、勇者様よくぞお越しくださいました…では早速、こちらがこのロンドでお預かりしております聖剣アクセルホッパーでございます。」
勇者「これが…ん?ロンドで?って事は聖剣って1つじゃないの?!」
司教「さようでございます…聖剣は全部で7つ、各地の教会にてお預かりしております。」
勇者「なるほど…聖剣がそんなにあったとは…てことはそんだけ勇者もいるって事?」
司教「いえ、勇者は世界に1人と決まっております。ですのであなた様は全ての聖剣を使うことができるのです。そろそろこちらの聖剣を受け取っていただいて…」
勇者「(全ての聖剣を…それってめちゃくちゃ強いんじゃないか?!)あの、その聖剣って全部違うものなんですか?」
司教「全て違う形、性能と聞き及んでおります…ですからこちらも早く…」
勇者「それじゃ…」
司教「早く取れって言ってんだろ!バカかお前はぁ!!こっちはずっとこのクソ重い刀持ってんだよ!何をダラダラと喋ってんだ!ちゃっと受け取ってさっさと帰れぇ!!!」
勇者「わわっ!すみません!」
勇者が聖剣を握ると激しい光と電撃が勇者に流れ聖痕を光らせる。やがて光は消え聖痕の周りに1つのマークが追加された。
勇者「びっくりしたぁー」
司教「コホン、今のは勇者にのみ現れる現象で、あなた様が本物の勇者であることを証明するものでもあります。聖痕を見てください、周りにマークが増えてるはずです」
勇者「ん?あ、ほんとだ」
司教「それはこれまで入手した聖剣を表しています。勇者様はこちらが初めてとの事でしたので1つ追加されています」
勇者「なるほど、じゃあこれからどんどん増えていくのか」
司教「はい、入手の条件は勇者様が直接手を触れていただく事。登録された聖剣はいつでも呼び出す事ができるようになります」
勇者「呼び出す?」
司教「はい、離れた場所にあっても勇者様の使いたいと念じれば手元に現れるでしょう」
勇者「そりゃすごい!じゃあこれで試してみてもいいですか?」
司教は無言で頷きどうぞと促す。
勇者は離れた場所にアクセルホッパーを置き、手を突き出して念じてみる。
勇者「これって形とかを思い浮かべたらいいんですか?」
司教「左様でございます。明確にイメージできれば尚良いかと」
もう一度手を突き出して姿形をイメージして念じてみる。すると聖痕についた聖剣のマークが光り、離れた場所にあった聖剣が手元に現れた!
勇者「うわっ!本当に来た…これは相当便利な能力だな…」
司教「聖剣は本物の勇者にしか扱えないので悪用されたり、奪われる事もありません」
勇者「へぇ〜、偽物の勇者だったらどうにかなるんですか?」
司教「いいえ、特には、私も触っていましたでしょう?」
勇者「あーたしかに」
司教「ただ勇者でないものは聖剣を使う事すらできません。その刀を鞘から出す事もできず、武器として使う事もできません」
勇者「なるほど!(最初の聖剣は刀か…瞬身流にぴったりだ!)ありがとう司教様!それじゃあ!」
司教「お待ちください、聖剣アクセルホッパーは遥か昔この街の名工ギデオンが作ったとされています。特別な仕掛けが施されておりまして、鞘に引き金がついています」
勇者「そーいえば…これは?」
司教「鞘に魔力を込めてその引き金を引くと刀が飛び出す仕組みです。ためのすはおやめ下さい、慣れていないので私が死にます」
勇者は早速試そうとしていたが、ノールックで止められ苦笑い。
勇者「あはは…わかりました、練習しときます」
司教「それでは旅のご無事を願っております」
大聖堂の扉を出るとあのシスターが待っていた。どうやら隙間から中の様子を見ていたようだ。
勇者「ん?ああ君か、案内ありがとうね!」
シスター「本当に勇者だったんだ…」
この時シスターは寝たきりだった母が最後に残した言葉を思い出を思い出していた。
(いいかい?あと数年もすれば新しい勇者様が誕生なされる。そしたらお前は絶対について行って…その勇者様の子供を産むんだよ!わかったね!)
シスター「…はっ!あ、あの!勇者様!」
勇者「ん?」
シスター「どうか私を…旅に同行させてください!」
勇者「え…なんで…?」
シスター「え、わ、私は回復魔法が使えます!旅のお役に立ちたいのです!」
勇者「でも危ない旅だし…」
シスター「覚悟の上です!」
勇者「うーん(確かに回復役はものすごく助かる…けど、この子かぁ〜相当変な子だしなぁ…)」
すると大聖堂から司教が出てきた。
司教「なんだか騒がしいですね、いったいどうしたのですか?」
シスター「司教様!私勇者様の旅に同行します!いいですよね?!」
勇者「え?!まだ決まったわけじゃ…」
シスター「勇者様が人類のため魔王を倒しに行くといつのに、私…ここでじっとしているなんてできません!」
勇者「(うわぁ何で下手な芝居なんだ…こんなバレバレの演技で騙されるわけが…)」
司教「うぅ…立派になりましたね…あんなにここでの生活を嫌がっていたのに…」
勇者「司教?!」
シスター「何を言っているのですか司教様…私たちは人を助ける事が生きがい…当然のことです」
司教「おぉぉ!!私は感動しました!あなたが勇者様と同行することを許可します!精一杯勇者様をお助けするのですよ」
勇者「え?!ちょっと司教…」
シスター「司教様…きっと魔王を倒し、生きて戻ってきます!」
司教「うぅぅ…勇者様…未熟者ではござまいますが、何とぞ!よろしくお願いします!うぅぅ…」
シスター「不束者ですが、よろしくお願いしますね!勇者様」
頭を下げたシスターはニヤリと笑っていた。
勇者「(コイツ…!)はぁ…わかりました…でも仲間にも相談しないと…」
こうして聖剣と新たな仲間?を手に入れた。
つづく
次回予告
突如蔓延した殺人ウイルス。さらにそのウイルスは死者を蘇らせた!ゾンビだらけの街でたった一つの希望、それは勇者!はたして勇者は世界を救うことができるのか!?
次回「案外ゾンビも悪くない!」
お楽しみに
※この次回予告は本編と違う場合がございます。
今回は最近よく出てくる瞬身流についてお話ししたいと思います。瞬身流とは勇者の町でエルザの父親が広めた流派で、「スピードこそ強さ!」を信条に、速さを極めた武術です。勇者は幼い頃から孤児で、エルザの家に引き取られ育ったので、エルザと瞬身流を極めました。エルザは拳術と言うその名の通りスピードを拳に乗せる闘いを得意とし、勇者は剣術を得意とします。どっちも「けんじゅつ」と読むのは、エルザの親がバカで思いつかなかったからテキトーにつけました。技の名前とか考えるの苦手なのですごくダサい感じになっちゃってるのはごめんなさい。できるだけかっこいい感じにしたいとは思っていますが、私の厨二力をフルに使って頑張ります。
それではまた次回、ばいばい。