第十一話 帰還
どうもゲームはオフライン派のピーマンです。
ついにサンブレイクが発売されましたね、皆さん一狩り行ってますか?
私は身だしなみチケットをもらったのでちょっと顔を変えてみましたよ、気持ちを新たにスタートという事で、全く関係ない話をしてしまいました、すみません。
本編なんですが、本当は十二話くらいで終わる予定だったんですけども、なんか伸びちゃいそうですね。
だって思いついちゃったんだからしょうがないじゃない!
てことで本編どうぞ。
第十一話 帰還
アパッチを確保した勇者一行は飛行船に戻って帰るところだった。
勇者「………」
ギルベルト「………」
エルザ「(う〜気まずい…)」
ラムダ「(私は気絶してる〜関係ないもんね〜)」
ギルマス「あー…何かあったか?」
勇者「………」
ギルベルト「………」
ギルマス「(おい!どーゆー事だ!何でこんなに気まずい空気が流れてるんだ!)」
エルザ「(知らないわよ!アパッチを殺すか殺さないかで揉めたの!)」
乗組員「アパッチ、独房へ収監しました!」
ギルマス「お、おうそうか!ごくろうだった!」
勇者「ちょっとアパッチと話して来ます」
ギルマス「お、おう。気をつけろよ」
勇者は頷くと独房へ向かった。
勇者「お疲れ様です。少し話してもいいですか?」
看守「お疲れ様です!本来なら許可できませんが、勇者様なら構わないでしょう。それでは終わったらお声かけください」
勇者「ありがとうございます」
アパッチ「勇者様じゃありませんか、何しに来た?」
暗い檻の奥でアパッチの目が怪しく光る。
勇者「この前の続きをと思ってね」
アパッチ「はぁ…何が聞きたい?」
勇者「やけに素直じゃないか、また時間稼ぎか?」
アパッチ「諦めただけさ…逃げ出したところであのおっかないやつに殺されるのがオチだ…」
勇者「ギルベルト…あいつはちょっと考えが極端なだけだ…多分…」
アパッチ「あいつに会って分かったよ、俺のターゲットはお前じゃなかった」
勇者「え?」
アパッチ「俺はこの世界の人間じゃない。転生者ってやつだ」
勇者「なに…言ってるんだ…?」
アパッチ「俺は一度死んだ…すると女神を自称する女が目の前に現れた。そいつが言ったんだ、『あなたにお願いがあります』ってな」
勇者「ちょっと待ってくれ!」
アパッチは勇者の静止を聞かず淡々と続けた。
アパッチ「俺は断った。話を聞く前にな。さっさと地獄に行ってしまいたかったからな…でも女神が言うんだ。『もう一度家族に会うチャンスをやる』って。そんなこと言われたら俺は断る理由がない。何をすればいい?って聞いたさ。そしたら『勇者のようなものを始末してほしい』って言うんだ。何だそれって感じだろ?」
勇者「勇者の…ようなもの…」
勇者はギルベルトが自分の事を勇者のようなものだと言ってた事を思い出していた。
アパッチ「俺がいた世界にそんなやつはいなかったから分かりやすいように言ってるだけだと思った。だから勇者のお前を狙ったんだ。でも違った…勇者のようなものは別だった」
勇者「な…なんで女神がそんな事を…」
アパッチ「さあな、やつはイレギュラーだって言ってた。この世界の均衡を壊すって」
勇者「そんな…」
アパッチ「まあ俺から狙われる心配はもうしなくていいぞ」
勇者「え…?で、でも家族に会いたいんじゃないのか?!」
アパッチ「そりゃ会いたいさ…でも、あいつは強すぎる。それに元々終わった命だ、俺は今まで通り死んだまま。それだけの事だ…」
勇者「アパッチ…俺が必ず元の世界へ帰る方法を見つける!だから安心してくれ!」
アパッチ「フッ期待せずに待ってるさ。それと、ありがとな」
勇者はニコッと微笑むと独房を後にした。
甲板に戻ってみると何やら騒がしい声が聞こえて来た。
ギルベルト「おいお前!無賃乗車は犯罪だぞ!」
エルザ「そんなこと言ってる場合か!」
そこには背中に羽が生えた男が立っていた。
???「えっとー、勇者のようなものって誰の事かわかる?」
ギルベルト「ふっ、ついに俺の名声もここまで届いていたか」
エルザ「あんたねぇ」
勇者「おい!そいつは…!」
???「なるほど、お前がターゲットか…」
羽の生えた男はそう言うと後ろに飛び退き、腕から衝撃波の弾を飛ばして甲板は破壊された!
勇者「みんな!!」
立ち上る煙でギルベルト達が無事かどうかも分からない状態だったが、まあそんな簡単にやられるはずは無いと分かっていたのでそこまで心配にはならなかった。
???「お仕事完了〜。楽な仕事だったな〜、こんな事ならもっと早く…ん?1人残ってるじゃないか」
勇者に気づいた羽の男は次の攻撃を放とうとする。
そこへさらに逃げていたギルベルトが羽の男の上から降ってきてそのまま背中にしがみついた。
???「お前…!?なんで生きて…!くそっ!離れろ!」
ギルベルト「あんまり暴れるなよ!うっかり殺しちゃうかもしれないだろ」
???「はっ!俺を殺すだって?俺は異世界から召喚された勇者だぞ!」
ギルベルト「何言ってんだお前」
???「俺はこの世界じゃ敵なしのチート能力を…」
ギルベルト「下へ参りまーす」
ギルベルトは羽を両手で掴み足で背中を押さえて羽ばたけなくなった男は地面へと急降下した。
???「おい!やめろ!離せ!このままじゃ地面に叩きつけられてお前もただじゃ済まないぞ!」
ギルベルト「チートなんだろ?どうにかしてみろよ」
???「うおぉぉお!!くそおぉぉぉお!!!」
ギルベルト「うるさーい!」
ギルベルトは羽を引っ張る力を強めたので、男はゾッとした。
???「や、やめろ!それ以上は…」
ブチブチブチッ!!
男の静止も聞かずギルベルトは羽を引っ張り引きちぎった。
そして男から飛び退き、男はそのまま地面に叩きつけられた。
ギルベルト「さーて色々聞かせてもらおうか」
???「ひっ!く、来るな!」
また羽の生えた男はそのチート性能とやらで死にはしなかったものの恐怖は植え付けられた。
ギルベルト「とりあえず船に戻ろうか」
ギルベルトは男をグイッと掴むと飛行船に向けてジャンプした。
飛行船に降り立つとそこには先ほどの攻撃をギルベルトと交わしていたエルザ達も集まっていた。
ドサッ
ギルベルトはみんなの前にまた羽の生えた男を放り出した。
勇者「殺したのか?」
ギルベルト「殺してねーよ…ほら、お前程度じゃ誰も殺せてないぞ」
???「お、お前らどうやって…」
エルザ「あの程度普通に避けれるっての」
???「な、なんだと…」
ギルベルト「わかったか?これが現実だ。お前は別に強くも無いし特別でも無いんだよ。じゃ洗いざらい吐いてもらおうか」
ギルベルトはバールをちらつかせ脅した。
大空「ひぃっ!わかった話すから!それをしまってくれ!
俺は大空大夢、もともと日本ってとこにいたけどいきなりこっちに飛ばされたんだ。その時女神に勇者のようなものを殺してくれたらなんでも願いを叶えてくれるって言うから来たんだけど、こんなに強いだなんて聞いてねーよ…」
ギルベルト「…さっぱりわからん」
大空「なんでだよ!」
勇者「こいつの言ってることは概ね間違ってないと思う。さっきアパッチから聞いた話と同じような内容だ」
エルザ「えっ!じゃああいつのターゲットっギルベルトだったの?!」
勇者「そうなんだ、俺も聞いた時驚いたよ…なんでもギルベルトはこの世界のイレギュラーらしい」
ギルベルト「はっはっはっはっなんだそれ。イレギュラーだかなんだかしらねーけどふざけてんな。で、その異世界から来たやつってのはあと何人くらいいるんだ?」
大空「知らねーよ」
ギルベルトが睨みを効かせる。
大空「ひぃっ!ほ、本当だって!…あ、2人知ってる…」
ギルベルト「なにぃ?だったら早く話せよ」
大空「前に一回だけ会ったことがある程度だから詳しくは知らないけど、兄妹でこっちに来たみたいだ」
勇者「そいつらもなにか能力を持ってるのか?」
大空「多分な、でもどんな能力かは…」
途中で大空が急に横を向けた。
ギルベルト「ん?どうした?そっちになんかあるのか?」
話を聞いていたみんなは同じ方を向く。
大空「あ…ああ……待ってくれ!まだなにも話してない!」
ギルベルト「何言ってんだ?」
勇者「まさか何かされてるのか?!」
ギルベルト「敵か?!」
みんなは一斉に構えて辺りを見回すが的な気配はない。
大空「が…あがごがが…あぁぁぁあ!!」
そして大空の首はぐるりと何周か回って捩じ切れ、ボトッと落ちた。
一同は何が起こったか理解が追いつかなく、みんなその場で固まっていた。
そして残った体がドサッと倒れたところでようやく勇者が口を開いた。
勇者「みんな早く中へ!どこかから狙われてるのかもしれない!」
その声でハッと我に帰った一同は船の中へ走った。
そしてその足で向かったのは自然とアパッチを捕らえている檻だった。
アパッチ「今度はまた大人数だな、何かあったか?」
勇者「たった今お前が言っていた異世界からの刺客が襲ってきたんだが、そいつはギルベルトが無力化したんだ」
アパッチ「フッ流石だな、異世界から来るやつはなんらかの能力を貰っていて身体能力も高いチート状態なんだが…」
ギルベルト「あーあいつもそんなこと言ってたな」
勇者「問題はその後だ、そいつから何か情報を聞き出そうとしたところ、急なそいつの首がねじ切れたんだ!」
アパッチ「え、何それこわい」
エルザ「異世界から来たやつらはみんなああなるんじゃないの?」
アパッチ「それなら俺もそうなってるはずだ。すでに勇者に色々話したからな」
勇者「その通り、だからこれは別の敵が口封じにしたことだと思う。アパッチ、お前はこれまで異世界から来たやつに誰か出会ったことはあるか?特に兄妹でいるやつとか」
アパッチ「おそらく無いだろう。もっとも知らずにすれ違ったりはした事あるかもしれないが」
ギルベルト「その兄妹に会ってないならとりあえず首がねじ切れる心配はないな!」
勇者「こっちの世界に来る時のこと、もう少し詳しく思い出せないか?」
アパッチ「詳しくってもなぁ、さっきお前に話した通りだよ」
勇者「そのもらえる能力ってのは選べたりするのか?他にはどんなのがあった?」
アパッチ「あーその話をしてなかったな。どんな能力が欲しいか聞かれるんだ、それで自分の希望を言ったら大体その能力が使えるって感じだな」
ギルベルト「なんだそれ、なんでもありだな」
アパッチ「そう、まさになんでもありだ。その点を考えるとやっぱりあいつは本物の女神だったのかもな」
エルザ「でもなんでその女神様がギルベルトを狙うわけ?」
ギルベルト「そりゃ俺がイカしすぎてるからだろ?」
エルザ「そんな訳ないでしょ!ちょっと黙ってて!」
アパッチ「案外違わないのかもしれないぞ?あの女神はお前を特別だって言ってたからな、悪い意味で」
ギルベルトはニヤァーっとしてエルザを見た。
エルザ「こいつ…!ちょっとあんまりこいつを調子付かせないでくれる?」
ギルマス「おーい!そろそろ着くぞ!」
アパッチ「まあ、これからどんどん狙われるだろうが、せいぜい頑張れよ」
ギルベルト「来るなら来ればいいさ、全員返り討ちだ」
飛行船は無事リスパの街に戻ってきた。
整備員「派手に壊しましたね〜ここまでよく帰って来られたもんですよ」
ギルマス「そんなにひどい?」
整備員「修理する身にもなってくださいよまったく」
ギルマス「すまん、苦労をかける」
衛兵「長旅ご苦労様です。罪人の受け取りに参りました」
ギルマス「おーそうか、ちょっと待ってくれ。今連れて来るところだ」
飛行船からアパッチを連れて勇者一行が降りてきた。
ギルベルト「だーかーらー!イチゴは最後に食べるのが基本だって言ってるだろ!」
エルザ「いーや!絶対先でしょ!誰かに取られたらどーすんのよ!」
ギルマス「お前らなんの話してんだ…」
アパッチ「早くしてくれ…こいつらと別れられるなら牢屋でもどこでも構わない」
アパッチはこの短時間で大分やつれていた。
衛兵「ご協力感謝します!それでは!」
衛兵はアパッチを連れて去って行った。
ギルベルト「さて、次はどこに向かうんだ?」
勇者「待ってくれ、この街にはまだやる事がある」
エルザ「なんかあった?」
ラムダ「ショッピングなら付き合いますよー」
勇者「聖剣を受け取りに行かないと」
ギルベルト「あーそんなんあったなぁ」
エルザ「すっかり忘れてたわ」
ラムダ「それでショッピングはいつ行くんですか?」
勇者「みんな興味なさすぎ…」
ギルベルト「まあ特にやることもないし今回は見物しよーかな」
エルザ「そうねー」
勇者「………」
勇者はついてきてくれる嬉しさと、興味がない事への悲しさで複雑な感情になっていた。
何はともあれ一行はギルドに別れを告げ、教会へ向かった。
ラムダ「え、ショッピングは?」
街のはずれ
アパッチを連れて歩く衛兵は急に足を止めアパッチの手枷を外した。
アパッチ「なんの冗談だ?」
衛兵「アパッチ、私達に手を貸せ…」
そう言った衛兵の眼は虚で焦点があっていない。
何者かに操られている事を瞬時に見抜いたアパッチ。
アパッチ「誰だ」
衛兵「飛行船でチラッと聞いただろう?私達は元の世界へ帰りたいだけだ」
アパッチ「例の兄妹か」
衛兵「私達が手を組めば勇者だろうがなんだろうが倒せない筈はない。どうだ?元の世界へ帰りたくはないか?」
アパッチ「お断りだ。話によるとお前は大空とか言うやつの首を捻じ切ったそうじゃないか」
衛兵「ふふふ、お前にそんな事はしないさ。あいつは私達の事をペラペラと喋るから悪いんだ。お前はそんな事しないだろう?」
アパッチ「……やつらは強いぞ?」
衛兵「確かに強い、でも殺せば死ぬ」
アパッチ「…フッ、気に入った」
つづく
次回予告
仲間に髪を切れと毎日言われていた勇者。ついに美容室へ行く事に!しかし勇者は耳の近くをハサミで切られる事が何より苦手だった!ゾクゾクと戦いながら無事に髪を切る事ができるのか!
次回「痒いとこありますか?って言われても言いづらいよね」
お楽しみに
※この次回予告は本編と違う場合がございます。
お疲れ様でした。
最近になって気づいたんですが、ひょっとしてふりがなをつけた方がいいのでは?と。
今回かませ犬だった大空大夢くんとかそれぞれの読み方になってしまうのではないかと。
ちなみに彼は「おおぞらひろむ」くんです。
せっかくなので彼の経緯をご説明しましょう。
彼はもともと日本で大学生をしていました。お調子者のムードメーカーだった彼は飲み会で一気飲みをして死に、こちらの世界に転載してきました。
女神からもらった能力は羽でした。
「なんかぁ羽とか生えてたらカッコよくね?」
だそうです。
ただ羽が生えて飛べるだけの彼は呆気なくやられてしまいました。とても残念な子だったのです。
こーゆー愛すべきバカは好きで、この先も何人か出てくるかもしれませんね。
それではまた次回、ばいばい