遭遇
【1939年 1月 19日 南極 クイーンモーランド沖】
「ここが南極か。ハンブルクも寒かったが、こちらは桁違いに寒いな。」
アルフレート・リッチャー率いる第3次ドイツ南極探検隊は無事南極大陸に到達した。
さっそく船を沖合に停泊させ、小舟で海岸沿いの冷たい氷の塊にドイツ国旗を立てノイシュヴァーベンラントと名付けた。
その後彼らは仮設拠点を設置し、いくつかの班に分かれて数週間にわたって海岸沿いを徒歩で移動し、丘など目立つ地理的特徴を記録していった。そして明日から水上機2機が船から飛び立ち、内陸部へ7回にわたる調査飛行を行う予定であった。
そこで事件が起きた。
発艦した水上機は衝撃的な瞬間を目撃したのだ。
水上機より「船の後方300mより謎の水上目標が出現。」との報告が来た。
「大陸方向から謎の水上目標?我々と同じ調査船ではないのか?」
シュワーベンラントの船長は確認のため双眼鏡を向けると、彼らは目撃した。
「船長、あれはいったい何でしょうか?ドラム缶でしょうか?」
「わからないが、ドラム缶では無さそうだ。あれは、、、、
何かの動物の顔ではないか?目や鼻のようなものが確認できる。」
「確かに、、、背中や尻尾もあるように見えますね。10mはあるでしょうか。」
その生き物は船に150mほど近づき、船長たちのほうに顔を向け、30秒ほどシュワーベンラントを見ていたが、その後急速潜航するUボートのように水中へと姿を没した。
その後その生き物の消息は水上機で捜索したが発見は叶わなかった。
陸にいた探検隊員は「鯨などの誤認ではないか」との意見もあったが、船員や生物学者達から「大きさは当てはまるが、尾鰭がなく鱗がある鯨はいない。」ときっぱり言われてしまい、記録に「クイーンモーランド沖にて謎の海棲爬虫類と思われる生物と遭遇。」と記した。
その後報告書は上層部に提出されたが、政府高官や軍の将軍達、親衛隊はその後の報告の件で手がいっぱいであった。
上層部は「我が国に影響を与えるものではない。」としてこの件の対応は終了した。
この生物の成れの果てが約15年後に同盟国人達の故郷を破壊することになろうとは誰も思わなかった。
同盟国人達は「今何か言って変わるものではありませんが。その時に貴方方に何か武器があってヤツを殺してくれていたら、我々の帝都は二度も業火に晒されることもなかったでしょう。」と嘆いたという。
さてこの生き物は何者なんだ⁈(すっとぼけ