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幼馴染みと大陸横断鉄道~トキオ国への道~  作者: ルト
第6章 帰り道の始まり
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第82話 帰る手段

 ホープ駅に到着したブルーホワイト・フライキャッチャー号から、オレたちは荷物を持ってホームに降り立った。

 久しぶりに、ホープにまで戻ってきた。


 ここからオレたちは、列車を乗り換えて北大陸のサンタグラードに向かうことになる。

 サンタグラードに戻らないことには、銀狼族の村に戻れないためだ。

 そしてそのためには、どうしても列車に乗らないといけない。


「ライラ、行こう!」

「うん!」


 オレとライラは、ホームを歩いて駅事務室へと向かった。




 どこの駅にもある駅事務室。

 ここでは、切符の手配や列車の空き状況を調べたり、落とし物まで駅や鉄道に関するほとんどのことができる。鉄道貨物組合の受付が設置されていることもあり、そこでクエストを受けることもできる。


 オレたちはここに、アークティク・ターン号のことを調べるために、足を踏み入れた。

 北大陸のサンタグラードまで行くのなら、アークティク・ターン号が一番いい。オレたちが乗ったことがある、唯一の大陸横断鉄道だ。サンタグラードまで、乗り換えなしで行ける。できることなら、アークティク・ターン号に乗れるのが、最もいい。


 だが、駅員に調べてもらった結果。


「残念ですが、アークティク・ターン号は現在、南大陸のヴァルツに到着したばかりですね」


 駅員の返答に、オレたちはため息をついた。

 アークティク・ターン号は、まだ南大陸をグレーザーに向けて走っている途中だった。これでは、いつ再びホープにやってくるのか、分かったものではない。ホープでアークティク・ターン号の到着を待つことは、現実的ではない。安いホテルや宿屋に宿泊を続けたとしても、おカネが尽きてしまう。鉄道貨物組合でクエストを請け負って、しのぐことはできる。だが、そんなことをするくらいなら、1日も早く銀狼族の村に戻りたい。


 こうなったら、他の列車を使うしかない。

 だが困ったことに、北大陸まで行く列車がどうしても見つからない。


「北大陸まで行く列車は、ありませんか?」

「申し訳ございません。西大陸から北大陸まで行く列車は、それこそアークティク・ターン号しかございません。南大陸か、東大陸までしか行かない列車しか出ておりません」

「そうですか……」


 オレとライラは、肩を落として駅事務室を後にした。




「困ったことに、なったなぁ……」


 オレとライラは、ホープ駅の前でたそがれていた。

 アークティク・ターン号には、乗れない。

 北大陸まで行く列車は、アークティク・ターン号以外には出ていない。


 そうなると、乗り換えで列車を乗り継がないといけない。

 だが、どれくらいのおカネが掛かってしまうのか、分からない。


「ビートくん、これからどうしよう……?」

「うーん……」


 ライラからの問いに、オレは空を見上げた。


 空は早くも、夕焼けの色を強くしている。

 ここで待っていても、夜が訪れることは明白だ。


 今夜は、どこかに宿を確保しよう。

 そして一晩寝て、明日ゆっくりとこれからのことを考えようか。

 オレはそれが一番いいと、思い始めていた。


 そのときだった。


「もしかして、ビートさんにライラさんですか?」


 聞き覚えのある女性の声が、オレたちの耳に届いた。

 若い、オレたちと同じくらいの女性の声。


 オレたちは声がした方角を、ほぼ同時に見た。


「やっぱり! ビートさんにライラさんじゃないですか!」


 声の主が、オレたちの所へと駆けてきた。

 獣人族白猫族の少女、ベルナであった。




「ベルナ!!」

「ベルナちゃん!!」


 オレたちが叫ぶと、ベルナは駆け寄ってきた。

 相も変わらず、ベルナはフリルの多い派手なドレスに身を包んでいる。しかし、娼婦のような派手な化粧はしていなかった。まぁベルナの場合、白猫族の美貌があるから、化粧をしなくても美しいが……。


「久しぶりね!」

「はい、お久しぶりです!」


 ライラが尻尾を振りながら云い、ベルナは笑顔で答えた。

 もうすっかり、ライラとベルナは友達のような関係になった。


「ベルナ、元気にしてた?」

「ビートさん! おかげさまで、ホープで日々を過ごしています! もちろん、今は私娼はしていないですよ!」


 じゃあ今は、どうやって生活しているのだろう?

 オレがそう思ったが、すぐにベルナが答えを教えてくれた。


「今は、婚約者と一緒に暮らしています!」

「へぇっ、本当!?」


 ライラが、獣耳をピクンと動かした。


「ビートさんとライラさんのおかげです! ところで、今は何をされているのですか?」

「実はね……」


 オレたちは、ベルナにこれまでのことを話した。

 トキオ国の跡地から戻ってきたが、直通する列車が無いため、どうしようか悩んでいる。そのことを、ベルナに全て話した。


「そうだったんですね! それでは是非、私の家に来てください!」


 ベルナの言葉に、オレたちは顔を見合わせた。

 ベルナの家に、オレたちが厄介になるだって!?


「そ……それはありがたいけど、婚約者のことは大丈夫なのか?」


 オレは、そのことが気がかりだった。

 突然オレとライラが尋ねてきて、一晩泊っていく。そうなったら、相手はどう思うだろう? 場合によっては、ベルナとの間で喧嘩が起きてしまうかもしれない。そうなったら、オレたちが2人の仲を引き裂いてしまうことに繋がっても、おかしくはない。


「大丈夫です! 婚約者は、とってもいい人なんですよ! 急な来客があっても、すぐに対応してくれます!」


 ベルナはそう云うと、オレたちの手を取った。


「会って話せば、すぐに分かってくれる人です! さ、どうぞ!」


 オレたちの手を引いて、ベルナは歩き出した。




 ベルナによって案内されたのは、タウンハウスだった。

 木造の2階建てという、タウンハウスとしては小規模なものだが、それでもオレたちから見れば立派なものに変わりは無かった。タウンハウスに暮らすことができるのは、大金持ちか弁護人などの社会的地位の高い職業の人……そして貴族くらいだ。


 一体ベルナは、どんな人と婚約したというのだろう?

 オレとライラは、何度もタウンハウスを見上げては、顔を見合わせる。オレたち、本当にここに入っていいのだろうか?


「さ、入って入って!」


 ベルナが玄関に立ち、ドアを開けた。

 オレたちは荷物を持ったまま、ベルナに促されてタウンハウスの中へと足を踏み入れた。


 タウンハウスの中は、意外とこじんまりとしていた。貴族が暮らすようなタウンハウスと、一般的な一軒家を合わせたような造りで、オレたちの緊張していた気持ちはすぐに消えた。

 玄関から入ると、すぐに廊下が3方向に分かれていて、正面の廊下は半分が2階へ行く階段になっている。


「ここで、ベルナちゃんは婚約者の人と暮らしているのね?」

「そうなんです! もう帰っていると思いますが――」


 ライラの問いにベルナが説明していると、誰かが階段を降りてきた。


「あっ、見えました!」

「ベルナ、帰ったのかい?」


 階段を降りてきたのは、ベルナと同じ獣人族白猫族の男性だった。

 右目に片眼鏡を掛けていて、上等なスーツに身を包んでいる。紳士然とした白猫族の男性は、ベルナを見てから、オレたちに目を向けた。


「ところで……その人たちは?」

「前に話していました、命の恩人です!」


 ベルナがそう云うと、白猫族の男性は目を見開いた。


「そうか……あなた方が、ビートさんとライラさんなんですね?」

「どうして、僕たちの名前を……?」

「私が、話しました」


 驚くオレたちに、ベルナがそう云った。

 白猫族の男性が、オレたちの前にまで降りてきて、軽くお辞儀をした。


「初めまして。僕はバロンといいます。貴族の出身で、今はベルナの婚約者です。どうぞよろしく」

「ど、どうも……」

「よろしくお願いします」


 バロンと名乗った白猫族の男性に、オレたちは挨拶をした。

 どうやら貴族の出身というのは、本当のようだ。バロンは身なりだけでなく、落ち着いた仕草と言葉遣いから、ジェントルマン教育を受けてきたことが分かる。おまけに、白猫族の男性特有のイケメンだ。オレとは大違いだ。ライラと並んだら、美男美女として絵になるかもしれない。


「バロンさん、実はですね……」


 ベルナが話そうとした時、バロンが先に口を開いた。


「立ち話するのも悪いから、居間に案内して。僕は紅茶を淹れてくるから」

「はいっ!」


 バロンから云われて、ベルナは頷く。

 それを確認すると、バロンはすぐに去っていった。


「では、居間に案内しますね」


 ベルナはオレたちを、タウンハウスの奥へと案内していった。




 居間に案内されると、そこでバロンが紅茶を淹れて待っていた。

 そして紅茶を飲みながら、オレたちは今日ベルナに出会うまでのことを話した。


「それは大変だったね。僕の家で良ければ、何日でも宿泊していっていいよ。部屋は空いているから、後で準備しよう」

「ありがとうございます!」


 オレが頭を下げると、バロンは笑った。


「そんなに畏まらなくてもいいよ」

「だけど、貴族出身の人を前にして、あまり無礼なことは……」

「気にしていないよ。僕は元々、没落貴族だからね」


 えっ?

 没落貴族だって!?


 バロンはころころと笑うが、オレとライラは笑えなかった。

 没落貴族だとしたら、バロンはとんでもない過去を背負っているかもしれない。それなのに、どうして笑っていられるのだろう?


「……驚くのも、無理はないね」


 オレたちの様子を悟ったらしく、バロンは没落貴族になった理由を、話してくれた。


 元々、バロンの家は西大陸でも有数の貴族であったらしい。ホープに広大な土地を持ち、そこから得られる税や作物などで生活は豊かだった。

 しかし貴族制度の廃止によって、バロンの家は没落した。ほとんどの貴族は、余所の土地へ移住していったが、バロンの家はホープに留まり続けた。それは貴族制度の崩壊後に、バロンの家が始めた商売のためだった。商売は成功し、バロンの家は貴族だった頃ほどではないにせよ、裕福な生活を営むことができたという。


「でも、僕は没落貴族になって、かえって良かったとも思っているんだ」

「どうしてですか?」


 バロンの言葉に、ライラが問いを投げた。

 ライラの云う通り、ほとんどの貴族の中で、没落することを喜ぶような人はまずいない。ほとんどの人が、昔を懐かしがって、また貴族に戻りたいと思ったりする。だけどバロンは、貴族に戻りたいと思うどころか、没落して良かったとさえ思っている。どうして、没落して良かったなんてことを、思えるのだろうか?


「貴族の肩書や、爵位が無くなったからね。だから貴族だった頃には、できなかったこともできるようになったんだ。庶民的なレストランで食事をしたり、娼館に行ったりもしたんだよ」

「娼館にも、行ったんですか?」


 娼館、というワードが出て、ライラが訊き返す。


「そうさ。色々な女性と触れ合えて、とても刺激的だったよ。そしてその中で、あの有名なメラさんに出会ったんだ」


 メラ。

 その言葉に、ライラの表情が変わり、獣耳がピクンと動いた。


「メラさんは素晴らしい女性だった。そして少し前に、そのメラさんから手紙が来て驚いたよ。僕に紹介したい女性がいると書いてあったんだ。それから少しして、ベルナが紹介状を持って訪ねてきた。お互いにこのホープ出身だと知って、すぐに意気投合しちゃったんだよ。もちろん、彼女の過去のことも知っていて、僕はそれを受け入れて彼女と婚約したんだ」

「それで今、私たちは結婚に向けて、2人で暮らしているんです!」


 ベルナはそう云うと、バロンに向き直った。


「バロンさん、こちらのライラさんは、メラさん唯一の弟子なんです。一晩で、メラさんの技術全てをマスターしたことで、メラさんから認められたんですよ!」

「なんと!? それはすごい!!」


 ベルナの紹介にバロンが驚き、ライラは顔を真っ赤にした。


「あのメラさんに弟子がいたなんて!!」

「でも、ライラさんはビートさんの奥さんですから、手を出したらダメですよ?」

「もちろんだよ! 僕にはベルナが居るからね!」

「もうっ……嬉しい……!」


 ベルナとバロンが、オレたちの前でそんなやり取りを行う。

 オレたちは砂糖を吐きそうな気持で、その夫婦漫才を見届けることになった。




「ところで、バロンさん。実はお願いしたいことがあるんです」

「なんだい?」


 ベルナは、バロンにオレたちをここに案内した理由を話していった。

 その間、バロンは話を遮ったり反論したりせず、ただベルナの話を最後まで聞いていった。


「……ふむ、なるほど」


 ベルナの話が終わると、バロンは頷いた。


「話はよく分かったよ」

「私が今、バロンさんと一緒に居られるのは、ビートさんとライラさんのおかげなんです。だから今こそ、ビートさんとライラさんに、受けた恩を返す時だと思うんです!」

「うむ! ベルナの云う通りだ!」


 バロンは頷くと、オレたちに顔を向けた。


「早速明日、ホープ駅で列車の切符を手配してくるよ。アークティク・ターン号は無理だけど、それに負けずとも劣らない列車を、いくつか知っている。善は急げだ。早ければ早いほど、いい席を確保できるからね。大丈夫、僕に任せておいてくれ! こう見えても元は貴族だ。ホープではまだ、あちこちに顔が効くんだよ!」


 そこまで云うと、バロンはひと呼吸おいてから、続けた。


「それと、出発日までは僕の家で自由に過ごしてくれて構わない。ベルナの云う通り、僕がベルナと出会えたのも、ビートさんとライラさんのおかげだから」


 オレとライラは、バロンの言葉に目を丸くして、何度も顔を見合わせた。

 今日が初対面だというのに、どうしてここまで色々してくれるのだろう?


 だけどオレたちは、感謝してバロンの好意に預かることにした。


 それからの数日間は、非常に充実した時間を過ごした。

 宿の心配も切符の心配も無くなったオレたちは、買い物に出かけたり、ホープを観光したりして過ごした。

 バロンはすぐに切符を手配してくれ、出発前日にはホープ駅にまで受け取りに行ってくれた。

 どこまでも親切にしてくれるバロンとベルナに、オレたちは何度お礼の言葉を伝えたか、分からないほどだった。


 そしてあっという間に、オレたちが出発する時がやってきた。




 出発の日。

 切符と荷物を手にしたオレたちは、ホープ駅のホームで列車を待っていた。オレたちの隣には、見送りに来たベルナとバロンもいる。


 バロンによると、オレたちが乗ることになった列車は、バーン・スワロー号という長距離列車だ。しかし、このバーン・スワロー号は東大陸の途中の街、ケンゼスシティまでしかオレたちを連れていってくれない。そこから先へ行くためには、どうしても乗り換えないといけなかった。


 まぁ、そこから先のことは、またなんとかなるだろう。

 切符を手配してくれただけでも、ありがたい。


 そんなことを考えていると、汽笛が聞こえてきた。

 西大陸の西部から、列車がこちらに向かって走ってくる。

 そして、オレたちのに幹線用の大型蒸気機関車が現れ、停車した。


「これが……」

「バーン・スワロー号……」


 オレたちは蒸気機関車を見上げて、呟いた。

 半流線型の蒸気機関車は、正面の真ん中にヘッドライトがつけられていて、まばゆい光を放っていた。ヘッドマークには、ツバメの絵が書かれていて、列車名である『バーン・スワロー号』と書かれている。


「ビートさんにライラさん、バーン・スワロー号はホープでは30分しか停車しません! 急いで乗り込んだほうがいいですよ!」

「あっ、そうだった!」


 バロンからの言葉で、オレは思い出した。

 バーン・スワロー号は、長距離急行列車だ。アークティク・ターン号のような大陸横断鉄道と違って、各駅での停車時間は、普通の列車と比べると短い。最短でも30分で、長くても24時間が限度だ。

 モタモタしていると、置いてけぼりにされてしまう。


 オレたちは荷物を手に、慌てて客車へと急いだ。




 近くの乗降口から客車に乗り込み、オレたちはベルナとバロンと、握手を交わした。


「ベルナにバロン、本当にありがとう」

「ありがとう!」


 オレとライラがお礼を云うと、ベルナとバロンは微笑んだ。


「無事に、北大陸まで戻れることを、ホープから祈っています」

「それと、ビートさんにこちらを!」


 ベルナがそう云って、オレに手を差し出した。

 オレが首をかしげながら手を差し出すと、ベルナは大金貨2枚を、オレの手のひらに置いた。


「これは……!?」

「以前、ビートさんが貸してくれた大金貨2枚です。もちろん、私が地道に働いて稼いだおカネです!」


 ベルナの言葉で、オレはおカネを貸していたことを思い出した。

 初めて出会って話を聞いたときに、貸した大金貨2枚だ。すっかり、忘れていた。ベルナが返してくれなかったら、きっと未来永劫忘れていただろう。


「ありがとう、ベルナ。大金貨2枚、確かに返済完了だ」

「ビートさんとライラさんのおかげで、私は生まれ故郷に戻れて、運命の人とも出会えました。本当に、ありがとうございました。また手紙を送ります。それと、メラさんにもよろしくお願いいたします」

「ベルナちゃん……元気でね!」


 ライラの言葉に、ベルナは目が潤んだ。


 その直後、汽笛が鳴り響いた。

 どうやら、出発時刻が来たらしい。


「まもなく、東大陸ケンゼスシティ行き、バーン・スワロー号が出発いたします! お見送りの方は、危険ですので列車から離れてお見送り下さい!」


 駅員の声が響き、乗降口が閉まった。


「どうか、お気を付けて!」

「ありがとうございました!」


 ベルナとバロンが叫び、オレたちが頷くと、バーン・スワロー号はゆっくりと走り出した。

 すぐにベルナとバロンの姿は後ろへと流れていき、バーン・スワロー号は少しずつスピードを上げていく。

 やがてホープの駅を出て、バーン・スワロー号は西大陸の大地を駆け抜け始めた。




 小さくなっていくホープを見ていると、ライラがオレに云った。


「ビートくん、あのバロンさんって、カッコいい人だったね」

「そうだな、顔も性格も、どっちもイケメンだったな」


 ライラの言葉に、オレは頷いた。

 ベルナは、本当に運命の人と婚約したのだろう。夢を叶えるためには、結婚しないといけないが、それもきっとそう遠くない未来のはずだ。


「わたし、あんなイケメンな人、初めて見たよ」

「やっぱりライラも、イケメンな男は好き?」


 オレは、ライラにそう訊いた。

 男性が美女に惹かれるように、女性もイケメンに惹かれることは、オレも知っている。だけど、オレはイケメンではない。顔では、どうやってもイケメンには勝てない。


「もうっ、ビートくんったら、どうしてそう思うの?」


 ライラはそう云って、オレに抱き着いてきた。


「わたしは、いつまでもビートくん一筋! たとえイケメンだったとしても、ビートくんじゃなかったらダメ! わたしはビートくん以外の男の人と付き合う気なんて、無いんだから!」

「……そうだったな、ライラ、変な事訊いちゃってゴメン」


 オレはライラに謝ると、そっとライラを抱きしめた。

 オレもいつまでも、ライラ一筋だ。




 バーン・スワロー号は、どこまでも広がる青空の下を、北へ向けて駆け抜けていった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

感想、誤字脱字、ご指摘、評価等お待ちしております!

次回更新は、3月28日の21時更新予定です!

そして面白いと思いましたら、ページの下の星をクリックして、評価をしていただけますと幸いです!

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