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幼馴染みと大陸横断鉄道~トキオ国への道~  作者: ルト
第5章 西大陸の南へ
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第56話 ホープでの準備

 オレとライラは翌日から、買い出しに出かけた。


「ビートくん、まず食べ物だよね?」

「うん。だけど、今度はアークティク・ターン号よりも個室が狭いから、あまり多くは持ちこめない。日持ちがして、なるべく小さなものを探そう」

「例えば?」

「ポムパンとか、ジャーキーのようなものがいいな」

「ジャーキー!?」


 ジャーキーと聞いたライラが、目をキラキラさせながら、尻尾を振った。


「じゃあ、早く行こうよ!!」

「わっ、ちょっと!」


 ライラがオレの手を引いて、走り出した。

 相変わらず、ライラは食べ物……特に肉類のことになると、こうなってしまう。


 オレはライラに手を引かれながら、ホープの商店街へと向かって行った。




 買い物を終えたライラは、ご機嫌だった。

 思っていたよりも安く、たくさんのジャーキーを仕入れることができたためだろう。その証拠に、ライラがジャーキーを入れた袋を、独占するように持っていた。


「ビートくん、ホテルの部屋でちょっとだけ味見しようよ!」

「いいけど、食べすぎると無くなっちゃうから、ほどほどにね?」

「もちろん!」


 そんな会話をしながらホテルへ向かっていた時だった。


「やあ、旅の少年少女ビートとライラ!」


 聞き覚えのある声。

 間違いなく、カリオストロ伯爵だ。


 そう思ったオレたちが振り返ると、そこにはカリオストロ伯爵がいた。


「カリオストロ伯爵!」

「ついにホープに到着したみたいだね。今は、買い出し中かな?」

「はい! いっぱいジャーキーが買えました!」


 ライラが満面の笑みで、カリオストロ伯爵に云う。

 わざわざ、そんなことを報告しなくても……。


「そうか、ブルーホワイト・フライキャッチャー号に乗るための準備だね」

「カリオストロ伯爵は、どうしてここに?」


 オレが尋ねると、カリオストロ伯爵は答えてくれた。


「いい質問だね。実は私は、あちこちに仕事場となる事務所を構えているんだ。そのうちの1つが、ここホープにあるんだよ」

「仕事場が……?」

「あちこちにあってね。今回はホープに用事があったから、そこで仕事をすることにしたんだ」


 そういえば、カリオストロ伯爵は何の仕事をしているのだろう?

 爵位持ちだから、もしかしたら土地とかを持っていて、労働しなくても十分すぎるほどの収入があるのかもしれない。だけど、仕事をするということは、何かをやっていることは確かだ。

 こんな旅をしながらできる仕事って、なんだろう?


 オレが不思議に思っていると、カリオストロ伯爵はポケットから小袋を取り出した。


「ビートとライラに、これをあげよう。受け取っておくれ」

「は、はい……」


 カリオストロ伯爵が差し出した小袋を、オレたちは受け取った。

 中には何か、粒状のものが入っているようだ。


「これは、何ですか?」

「お守りのようなものだ。中には米が入っているよ」


 ライラの問いに、カリオストロ伯爵がそう答える。

 なるほど、粒状のものが入っていると思ったら、米が入っていたのか。


 もしかして、これを非常食に当てろという、カリオストロ伯爵からの気遣いなのだろうか?


「トキオ国へ向かうには、ここから南に向かう。その途中に、オリザ山という場所がある。そこに行くといい」

「オリザ山……?」


 聞いたことが無い地名だった。


「そこには、何があるんですか?」

「迷わず云ったほうがいい。私が口で説明するよりも、自分の目で見たほうが、より理解できるはず。行けば、分かるよ」


 カリオストロ伯爵はそう云うと、オレが持っている小袋を指し示した。


「オリザ山で、その小袋を渡すんだ。すぐに通してもらえる。そしてきっと、力になってくれるはずだ」

「わかりました」


 何だかよく分からないが、とりあえず持っていて損は無いはずだ。

 ここはありがたく、受け取っておいたほうがいい。いざという時には、中の米を取り出してかじれば、空腹をしのぐために役立つはずだ。


「カリオストロ伯爵、ありがとうございます!」

「どういたしまして。きっとまた、会う時が来るだろう。それでは!」


 カリオストロ伯爵はオレたちに背を向けると、人混みの中に消えていった。

 どこからともなく現れては、風のように去っていく。

 本当に不思議な貴族だ。




「ねぇビートくん、これどうする?」


 ライラが受け取った小袋を見て、云った。


「中に入っているのって、お米でしょ? お米を調理する道具なんて、わたしたち持っていないよ?」

「カリオストロ伯爵から貰ったものだから、とりあえず持っておこうよ」


 オレは小袋を、ポケットに入れた。


「それにカリオストロ伯爵が云っていたように、オリザ山というところで渡せば、何かあるみたいだから。少なくとも、悪いものじゃないと、オレは思うよ」

「もし何もなかったら、どうするの?」

「その時は、中身の米をかじればいいよ。お米はすぐには腐らないし、生のままでも食べられないことはないから、いざという時の非常食にもなるよ」


 オレは何度か、生米をかじったことがあった。

 あんまり美味しくは無かったが、それでも少しだけお腹を満たすことはできた。


 きっとこれも、何かの役には立つはずだ。


「じゃあ……わたしも持っておこうっと」


 ライラはそう云って、小袋をジャーキーが入った袋の中に入れた。


「ビートくん、ホテルに戻ろうよ! もうすぐお昼だし、それに早くジャーキーを食べたいよ!」

「よし、それなら戻ろう」


 オレはライラの手を取り、ホテルへと向かって歩きだした。




 この時、オレたちはまだ知る由も無かった。

 カリオストロ伯爵から貰った小袋に、命を救われることになるなんて……。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

感想、誤字脱字、ご指摘、評価等お待ちしております!

次回更新は、2月24日の21時更新予定です!

そして面白いと思いましたら、ページの下の星をクリックして、評価をしていただけますと幸いです!


大変申し訳ございません、またしてもプロットが尽きました!

なので毎日更新を停止させていただきます。

楽しみにして頂いている方、誠に申し訳ございません!!

なるべく早いうちに更新再開を目指します!

どうぞよろしくお願いいたします!!

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