第101話 盗賊団との戦い
「ビートさん、着きました」
ジャックの声で、オレは前方を確認した。
砂漠の中に、砦のようなものが築かれている。砂漠の強風や砂嵐に耐えるためなのか、窓は少ない。所々にポッと灯っている小さなローソクのような灯りが、窓であることが分かった。
「あれが、砂漠の盗賊団デザート・ティラノのアジトです。過去に1人で行商をして居た頃に何度か、訪れたことがあります。あの時から、ずっと変わっていません」
「ありがとうございます。ここからは、僕1人で行きます」
オレはそう云って、馬からそっと砂漠に降り立った。
夜の砂漠は、ひんやりとしていて少し肌寒く感じる。
「ビートさん、正門は見張られています。裏口からでしたら、警備も手薄なので侵入できるかもしれません」
「わかりました。裏口を探してみます」
ジャックの言葉に、オレは感謝した。
どこの世界でも、正門は警備が厳重なのに対して、裏口が手薄なのは変わらないんだな。
「ジャックさん、1つお願いがあります」
「なんでしょうか?」
「……もしも僕に万が一のことがあった時は、ライラに北大陸のサンタグラードまで帰るように、伝えてください」
「わかりました。お引き受けいたします」
ジャックは頷くと、ジーラの方角に向けて去っていった。
さて、そうは云ったが、オレは無言で帰ることなんて毛頭ない。
メイを助け出して、無事にライラの所へ帰る。そして思いっきり、尻尾をモフらせてもらうんだ!
ライラの尻尾をまぶたの裏に浮かべながら、オレは裏口を探すために、行動を開始した……。
ジャックの云った通り、裏口は警備はおろか、開きっぱなしになっていた。
どうしてこうも、裏口の警備はザルなんだろう?
もしかして罠かもしれないと思ったが、そんなことは無かった。
「メイは、どこに捕らえられているんだろう……?」
オレはリボルバーを手に、薄暗い廊下を進んでいった。
物陰に隠れながら進んでいくと、前方から声が聞こえてきた。
声はだんだんと大きくなっている。こちらに向かってきていることが、すぐに分かった。
このままだと、見つかる!
そう思ったオレは、近くにあったドアの中に隠れた。幸い、そこは倉庫らしく、見張りの盗賊はいない。
少しだけドアを開けて、オレは死角になる場所に隠れつつ、リボルバーを握り締めた。いざという時は、殺られる前に殺らなくては……!
「頭領! キャラバン隊の踊り子なんて攫ってきて、どうするんですか!?」
若い男の声が、オレの耳に届いてきた。
「踊り子なんて、それこそ履いて捨てるほどいます。奴隷商人に売り出すにしても、希少な種族ならまだしも、砂狐族なんてこの辺りじゃ珍しくもなんともありません。大方、二束三文じゃないですか?」
「確かにその通りだ。だけど、問題はそこじゃない」
もう1人の男の声が、諭すように云う。
重たくずっしりとした声で、落ち着いていた。
「あの踊り子が所属していた、キャラバン隊だ」
「あのキャラバン隊が、どうかしたんですか?」
「昨日、交易会がジーラの広場であった。そこには何人もの商人が出入りしていたが、最も稼いでいたのは、あのキャラバン隊だ。そしてメイとかいうあの踊り子は、踊りで大金を稼ぎだした、稼ぎ頭なんだ」
男の声が、フフッと笑う。
「スケベな男たちが、鼻の下を長くして踊り子に大金を落としていくのを、この目で確認していた。間違いなくキャラバン隊にとって、あの踊り子はドル箱ってことだ。そのドル箱をみすみす手放すような商人は、そうはいない。食料と水、大金貨全てを引き渡すことくらい、簡単に応じる。それに奴らは、このアジトの場所も知っているんだ。あの中に、以前訪れた商人の顔があった」
ジャックのことか。
オレは聞き耳を立てながら、男たちの会話に集中した。
「それじゃあ、食料と水、大金貨を持ってきたら解放を……?」
「まさか、そんなことはしない」
ずっしりとした声の男が、笑った。
「大人しく解放したら、奴らは騎士団に通報する。そうなると俺たちはおしまいだ」
「しかし奴らは、このアジトも知っていますよ?」
「それも心配はいらない。食料と水、大金貨を頂いたら、明日出発するバーン・スワロー号を占拠する。これでこの砂漠ともおさらばだ。踊り子は別の場所で、奴隷商人に売り払えばいい。砂漠では珍しくない砂狐族の踊り子も、北大陸や南大陸に連れていけば、金持ち相手に売れるさ」
「さすがは頭領! おみそれしました!」
若い声が、納得した様子で云った。
やっぱりか。
奴らはメイを大人しく解放する気なんて、最初から無かったんだ!
キャラバン隊の売り上げと食料を根こそぎ持って行くだけでなく、バーン・スワロー号まで狙っていたなんて!
メイがこの話を聞いたら、どんな気持ちになるだろう……。
一刻も早く、メイを連れ戻さないと!
だけど、メイがどこに囚われているのか、まるで分からない! この砦、思っていたよりも広いみたいだ。
そんな時、天啓が訪れた。
「そういえば、あの砂狐族の踊り子は地下牢ですか?」
「あぁ。あそこから脱走できた奴はいない。今頃絶望して、泣いているだろうな」
男たちの会話に、オレは左の拳を握り締めた。
しめた! メイの居場所が分かった!!
地下牢なら、地下に続く通路さえ分かればなんとかなる!
男たちが去っていったのを確認すると、オレはそっと倉庫から廊下に戻った。
「……地下牢だな」
オレは再び忍び歩きで、廊下を進んでいく。
地下牢への入り口なら、どこかにあるはずだ!
そしてオレは、ようやく地下牢への入り口を見つけた。
だけど、まだ安心はできなかった。
地下牢なら、音が響きやすい。
それに看守もいるはずだ。看守をなんとかして黙らせないと、メイを救出するどころではない。
ここから先は、リボルバーではダメだ!
音が出ない武器が必要になる。
オレはリボルバーをホルスターに戻し、代わりにボウイナイフを引き抜いた。
ナイフなら音が出ない。それに後ろから喉を裂いたり、心臓を一突きすれば、断末魔が上がることもなく、相手の命を奪える。銃よりもテクニックが必要で、罪悪感もきつい。しかし、何回使っても弾切れにならなくて、音が出ないのは大きい。
地下に続く階段を降りていくと、牢獄が現れた。
しかもなんと、幸運なことに看守をしている盗賊は居眠りをしていた。きっと深夜だからだろう。これなら、気づかれることなくメイを救出できるかもしれない。
牢獄の中を見ると、そこには砂狐族の少女がいた。
間違いなく、メイだった。
「!」
オレに気づいたメイに、オレは指を口に当てて静かにするようジェスチャーを送った。
それに頷き、メイは何度か頷く。
(メイ、助けに来た。この牢獄の鍵がどこにあるか、分かる?)
(ビートさん、ありがとうございます! 牢獄の鍵はそこにいる、看守の盗賊が持っています!)
メイが指し示した先を見ると、盗賊の男が鍵を腰に提げていた。鍵は1つしかないため、この牢獄のものだと、すぐに分かった。
問題は、この鍵をどうやって気づかれないように、盗賊の男から奪うかだ。
盗賊の男を起こしてしまうと、全てが水の泡だ。
失敗は絶対に許されない。
オレは右手のボウイナイフを見て、覚悟を決めた。
手段はこれしか、残されていない。
生唾を飲み込み、オレはボウイナイフを構え直し、眠っている強盗に向かった。
奪った鍵で、オレはそっと牢獄の鍵を開けた。
やはりこの牢獄のもので間違いなく、すんなりと牢獄は口を開けた。
(ビートさん!)
メイが牢獄から出てきた。
目に涙を浮かべていて、崩壊しそうになっている。
だけど、感動の対面はもう少しおあずけだ。
(メイ、ここからはオレの云う通りにして。必ず、キャラバン隊まで連れていくから!)
(はい!)
オレの言葉に、メイは頷く。
これで後は、気づかれないように砦から脱出してジーラの町に戻るだけだ。
そこまできて、オレも気が緩んでいたのかもしれない。
「ギャッ!!」
盗賊が短い悲鳴を上げる。
メイが、盗賊の足を踏みつけてしまったことに気づいたのは、それから1秒後だった。
「ビートさん!」
「し、しまった!」
だが、気づいたとしてどうすることもできない。
オレは慌ててナイフを引っ込め、リボルバーに持ち替えた。
「貴様! よくもっ!」
足を踏まれたことと、メイを取り返しに来たこと。
これだけの条件が揃えば、襲ってくるのは火を見るよりも明らかだ。
「くそっ!」
バァン!!
オレは地下牢の中で、発砲した。
「ぐぐぐ……!」
強盗が倒れ、オレはメイの手を掴んだ。
「急いで逃げるぞ!」
「はっ……はいっ!」
メイは片耳を抑えながら、オレに答えた。
地下牢で銃声が響いて、耳が痛かったに違いない。
緊急事態とはいえ、悪いことをしちゃったな。
オレは反省しながら砦の中を走り、出口を目指した。
「さっきの銃声はなんだ!?」
「地下牢の方からだった!」
「野郎ども、ネズミが入り込んだぞ!」
「絶対に見つけ出せ!!」
デザート・ティラノの構成員たちが、あちこちを走り回っている。
オレはメイを連れて、裏口近くの木箱の裏に隠れていた。
「メイ、外に出たら岩場に逃げ込もう。岩場なら、マスケット銃や弓矢を避けるための盾になる場所が見つかるはずだ。オレが奴らを引き付けるから、急いでジーラに向かうんだ」
「そんな、ビートさんは!?」
「心配することないよ。オレも、後で必ず追いつくから」
オレはそう云って、辺りを確認した。
盗賊の姿は見えない。
脱出するなら、今だ!
「行くぞ!」
「はいっ!」
オレたちは一直線に裏口に走り、砦から抜け出した。
しかし、裏口から出るところを、偶然通りかかった盗賊に見られてしまった。
「いたぞーっ! 裏口から逃げ出したーっ!」
くそっ、運が悪い!
オレは裏口にリボルバーの銃口を向けたが、思い直してすぐにひっこめた。
狙ったところで当たらないし、居場所を教えることになりかねない!
「ビートさん!」
「メイ、振り返るな! とにかく逃げるんだ!!」
オレは叫ぶが、そうそうどこまでも逃げられるわけじゃない。
辛うじて岩場まで逃げてきたが、背後からマスケット銃の弾丸が飛んできた。
そして運が悪いことに、それがメイの足元に命中した。
「キャアッ!!」
メイが転び、オレは慌ててメイに駆け寄る。
足を確認するが、どうやら命中は免れたようだ。
「あっちだ!」
「逃すな!!」
盗賊の声が、すぐ近くにまで聞こえてくる。
このままじゃ、追いつかれるのも時間の問題だ。
「メイ、オレが奴らを引き付けるから、先にジーラへ!」
「そんな、できません!」
「いいから、急いで――わあっ!?」
ダァン!
ダァン!!
ダァン!!!
連続して弾丸が飛んできて、オレたちが隠れている岩場の岩を粉砕していく。
凄い威力だ。旧式ライフルや新式ライフルでは、到底出せない威力であることは、すぐに分かった。奴ら、増やしているのはマスケット銃の数だけじゃなくて、火薬の量まで増やしていたのか!
当たったら、肉がえぐれるどころか、片腕そのまま持って行かれてもおかしくはない。
オレは岩陰からリボルバーを撃つが、正直狙って撃っているわけではない。
ただのけん制だ。
月明かりだけでは、リボルバーで相手を狙い撃つなんて芸当はできない。ライフルがあれば別だが、それでも狙撃は難しい。
それに弓矢まで飛んでくる。当てずっぽうとはいえ、オレたちの近くにも飛んできた。
「キャアッ!!」
メイが恐れをなして、オレに抱き着いてくる。
しかし、オレは浮かれてなどいなかった。
どうやってここから脱出するか!?
オレの頭の中は、そのことでいっぱいになっていた。
マスケット銃の弾丸も、弓矢も飛んでくる。
少しでも岩場から飛び出せば、弾丸と弓矢の餌食になることは免れない。ライラとキャラバン隊に必ず帰ると約束していたというのに、このままでは無言で帰ることになってしまいそうだ!
それに砂漠では、ソードオフは役に立たない。盗賊までの距離が遠すぎるから、弾丸が届かないし、届いたとしても威力は落ちている。相手を脅すことはできるかもしれないが、そんな手が何度も通用するわけがない。
完全に、オレたちは袋のネズミになってしまった。
「ビートさん……ごめんなさい」
メイが謝罪の言葉を口にして、オレは首をかしげた。
「どうして……?」
「私のせいで、こんな目に遭わせてしまいました……。どうお詫びをしたらいいか、わたしには分かりません」
「いや、まだ諦めるのは早い!」
弱気なメイに、オレはそう云った。
袋のネズミであることに間違いはないが、追い詰められたネズミは、猫を嚙むこともある。追い詰められたとしても、必ずどこかで逃げ出すチャンスはあるはずだ!
「最後まで希望を捨てるな! 明けない夜は無いんだ!」
「ビートさん、私を置いて逃げてください!」
メイが、真剣な表情でオレにそう告げる。
「ビートさん、あなたは元々私とは無関係な人です。そんなビートさんに、これ以上迷惑をかけるわけにはいきません。どうか、私をここに置いて逃げてください。私を再び取り戻せば、デザート・ティラノはこれ以上襲ってはこないはずです。それに私は、キャラバン隊に居ても居なくても、どっちでもいい存在なんです」
「どうしてだ!?」
オレはメイの言葉が、信じられなかった。
「どうしてそう云えるんだ!?」
「私は、元々孤児だからです!」
メイが叫び、涙の粒が飛んだ。
それはオレの頬に当たり、そのまま地面に落ちていく。
「物心ついた頃には1人だったところに、キャラバン隊が通りかかって拾ってくれたんです。キャラバン隊が私をこれまで育ててくれたのは、私に踊り子として稼ぐ才能があったのと、たまたま料理の腕が良かっただけです。踊り子兼飯炊き女の代わりなんて、いくらでもいます。キャラバン隊の皆さんが助けに来ないということは、もう私は見捨てられたも同然です」
「そんなことはない! きっと、助けは来る!」
「お願いですビートさん、逃げてください! 元々孤児の私に、命を懸ける価値なんかありません!」
「メイ、それは間違っているよ」
オレはリボルバーを下ろすと、そっとメイの方に手を置いた。
「元が孤児でも関係ない。きっとメイのことを大切に思っている人は、いるよ」
「どうして、そう云い切れるんですか!?」
「だって、オレも元々孤児だから」
メイが、オレの言葉に目を丸くした。
「ビートさんが、元々孤児……!?」
「オレだけじゃない。ライラだって、孤児だったんだ。南大陸のグレーザー孤児院で、過ごしたんだよ。ライラは両親と再会できたんだけど……それは話すと長くなるから」
オレはそこまで云うと、リボルバーの回転式弾倉を取り外した。
装填済みの新しいものに変更し、撃鉄を下ろす。
「だから、諦めるな! 明けない夜はない!」
「……はいっ!」
メイが笑顔になったのを確認し、オレも安堵する。
しかし、それもつかの間のことだ。
すぐにマスケット銃の弾丸と弓矢が飛んできて、オレたちは現実に引き戻される。
どうやったら、この修羅場をくぐり抜けられる!?
オレはタイミングを伺いながら、考えていた。
すると、東の空が明るくなってきた。
夜明けだ。
ずっと緊張状態で気がつかなかったが、一晩の時間が流れていたようだ。
それにしても、デザート・ティラノもすごいな。一晩中、撃ち続けているというのか。
敵の猛攻に感心していた時だった。
オレの耳が、大勢の人の声をキャッチした。
「!! この声は!」
ジーラの方角から聞こえてくる声に、オレは振り向いた。
「ビートくーん!!」
オレの名を呼ぶ、少女の声。
ライラの声であることに、間違いは無かった。
ライラが、キャラバン隊を率いて現れた。
やった! 騎兵隊のお出ましだ!!
「ビートさん!? あれは!?」
「なっ? 諦めるなって、云っただろ?」
「……はいっ!」
オレの言葉に、メイは笑顔で頷いた。
キャラバン隊の商人たちは、怒り狂った表情で馬を走らせていた。
その怒りに満ち溢れた表情は、美術館で見た地獄絵図を思い起こさせる。
「メイを返せ! 盗賊団め!!」
「食料も水も大金貨も、全てくれてやる! だけど、俺たちのアイドルを返せ!!」
「メイの作ってくれる食事が、旅の楽しみなんだよ!」
「俺たちの女神をよくも奪ってくれたな! 砂の墓標を立ててやる!!」
商人たちは背中から一斉に、旧式ライフルを取り出した。
そのまま馬上で構え、デザート・ティラノがいる場所に銃口を向け、引き金を引いた。
ダン!
ダダダン!!!
ダダダダ!!!!
「ぐあっ!」
「ぎゃあっ!」
「あがっ!」
デザート・ティラノの構成員たちが、次々と旧式ライフルの餌食となり、断末魔の悲鳴を上げて崩れていく。
馬による機動力と、旧式ライフルの連射能力によって、デザート・ティラノは蹂躙される存在へと一気に立場が変わった。
「ビートくん!!」
ライラが商人の馬から降りて、オレとメイの元へ駆けてくる。
「大丈夫!? ケガはない!?」
「ライラ、オレもメイも無事だ! 助かったよ、ありがとう!!」
「無事で良かった!!」
ライラは満面の笑みで、オレとメイを抱きしめる。
あぁ、やっぱりライラに抱きしめられるのって、いいなぁ。
それから間もなく、デザート・ティラノは壊滅状態に陥った。
「く……くそう!!」
両手を縛られて捕らえられた、デザート・ティラノの頭領は、オレたちの前に座らさせられた。
「メイをさらったこと、そして我々から全てを奪おうとしたことを、この場で謝罪しろ! そうすれば、命だけは助けてやる!」
商人が要求するが、頭領はしかめっ面をしていた。
「このガキめ……!」
頭領が、オレを睨んだ。
「お前さえ居なければ、成功していたというのに……!!」
ん? なんだか様子がおかしいぞ?
オレがそう思った直後。
頭領が両手を縛っていたロープを切り、立ち上がった。
「なっ、なぜっ!?」
「はっ、さすがは素人だ! こんなロープで、捕まえたつもりだったのか!?」
しまった!
こいつ、服の下に小型ナイフを隠し持っていたのか!!
そうオレが思ったときには、もう遅かった。
頭領が、オレに向かってくる。
「道連れだぁ! 死ねえっ!!」
頭領は叫びながら、オレに刃先を向けてくる。
しかし、それは届かなかった。
ダァン!!
「ぐ……あ……が……っ!」
ライラが、リボルバーで頭領を撃った。
頭領はそのままゆっくりと、砂漠の上に倒れ込んでいった。
「わたしのビートくんに手を出したら、こうよ!」
リボルバーの銃口から立ち上る硝煙を、ライラは口で吹き飛ばした。
「ビートさん、ライラさん、ありがとうございました!」
駅の前で、メイはキャラバン隊の商人たちと共に、オレたちに云った。
「ビートさんの云った通りでした。私はこれからも、キャラバン隊の皆さんと一緒に旅を続けます! 私を必要としてくれる人が、こんなに身近に居たことを、教えてもらいました!」
「メイ、これからも皆さんと仲良くな!」
「メイちゃん、色々とありがとう!」
オレとライラがそう云い、メイは笑顔で応えた。
「またいつか、お会いできるといいですね!」
「きっと、できるさ。それまでは、しばし別れだ」
「身体に気を付けてね!」
メイとキャラバン隊に別れを告げたオレたちは、出発時刻が迫るバーン・スワロー号に乗り込んだ。
オレたちが乗り込んでから5分と立たないうちに、バーン・スワロー号はゆっくりと走り出し、ジーラを出発した。
ジーラを出たバーン・スワロー号は、再び砂漠地帯を北へ向けて走り出した。
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