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「ボクはこのまま生きていっていいのかな?」
響はポツリと呟くように言った。
既に百太郎は響からその力を受け継ぎ、『時飛』の力で時間旅行者となって消えていった。彼もまた、自分の犠牲者のような気がする。
「まだ何か悩んでいるのですか?」
「ボクは草薙響だ。でも、そうすると玄野響の魂はどうなってしまったんだろう? 玄野響は今でも小鳥遊籠女さんを甦らせたいとずっと願っているんじゃないのかな? それなのにボクがそれを出来なくなってしまって……それで良いのかな?」
「良いんじゃありませんか?」
と伽音が答える。「あなたが自分自身を生きることを誰も止める権利などありませんよ」
「ボクは多くの人を不幸にした」
「それはあなたではありません。あなた自身も言ったように、今のあなたは『草薙響』なのです。『玄野響』の物語は終わりました。これからは『草薙響』の物語を進めなければいけないのです。それこそが小鳥遊籠女の望むことではありませんか?」
「これが? 本当に?」
「いや、違うかもしれません。結局、本当のところは本人しかわかりませんし」
伽音はさらりと言い流す。
「気軽に言うんだね」
「考えても答えの出ないものを考えてみてもしょうがないじゃありませんか。そもそも相談する相手が間違ってます。私の存在はあなたよりも危険な存在だったのですから」
「そうだね」
「素直に頷いてしまいますか」
「あ、ごめん」
「いえいえ、バカ正直に謝られても困ります」
「そういえばさっきの百太郎の話を整理すると、玄野響の術の影響はミラノさんも受けていることになるね」
「そうなりますね」
「ミラノさんはどう思うだろう? 全てを知ったらボクを嫌うかな?」
伽音は小さく笑った。
「それよりも小鳥遊籠女のことを話したら、御厨ミラノはどんな顔をするでしょうね?」
「伽音さん、それだけはやめて」
そう言いながら、心の中で小さく笑う。
きっと籠女はこの全てが見えていたに違いない。そして、彼女はあの言葉を言ったのだ。
――響さまの未来には幸せな日々がきっと待っています。
今はそれを信じていこう。
了
最後まで読んでくださった皆様、お疲れさまでした。そして、ありがとうございました。
『奥州妖かし奇譚』の番外編のつもりが、少し長くなってしまいました。
またさらに番外編をupするかもしれませんが、もしよろしければまたよろしくお願いいたします。
では、またご縁がありましたらm(_ _)m




