8 二人目の攻略対象
「みなさーん!いよいよ使い魔召喚を始めますよー!」
午後の授業がいよいよ始まる。
ルシール先生の言葉に生徒たちの興奮は最高潮になって盛り上がった。
「みんなー!魔法を使いたいかー!」
『おおぉーーーー!』
「使い魔を呼びたいかー!」
『おおぉーーーー!』
「ルシール先生は世界一可愛いか!」
『お、おぉーー?』
なんか、まるで前世のライブ会場みたいだ。
行ったことはないけど、テレビで見たときはこんなのだった気がする。
というか、ルシール先生どさくさに紛れてなに言ってるんですかね。
「こ、こほん。それじゃあ順番に始めるよ!とその前に、みんなに私の使い魔であるパートナーを紹介するよー!」
その言葉を聞いて生徒たちの目が一層輝き出す。
そういえば私もルシール先生の使い魔は知らないから、ちょっと興味がある。
「キーちゃん、おいで!」
ルシール先生が呼び掛けるとポンッと小さな緑色のコザルがでてきた。
この子がルシール先生の使い魔なんだろう。
というか呪文とか必要なのかと思ってたら普通に呼びかけただけで出てきた。
「この子が私の使い魔であるキーちゃんです!」
「キキ!」
「みんなによろしくと言ってます!」
ほんとかよ。明らかに不機嫌そうなんだけど。
でも生徒たちは使い魔に興味津々でそんなことは気づかないみたい。
使い魔を見て興奮した様子で騒がしくなる。
「はい、みんな静かにね!ここにある魔方陣に一人ずつ立ってもらって召喚の呪文を唱えるんだよ。呪文は午前で教えた通りに唱えれば大丈夫だからね。忘れた人は先生に聞くかお友達に聞いてください!まずはローレン君からね。」
ちょっとおどおどした感じの生徒が先生に呼ばれて魔方陣の前にきて呪文を唱える。
「えっと、『我は土を司る者。我と共に時を刻む者を求めん。』」
魔方陣が召喚の呪文に反応し黄色い光を放ち始めた。
キラキラと輝いてとても幻想的な光景だった。
「『契約によって新たな時が紡がれる。我が求めに応じる者、その姿を現せ。』」
呪文を唱え終わった時、魔方陣はとても眩しく輝き目を開けられないほどになる。
光が段々収まり目を開けると、魔方陣の上には一匹のカエル。
・・・カエル?
「おめでとう!ローレン君!使い魔の召喚に無事成功したね。この使い魔はロックフロッグというんだよ。ちゃんと大切にお世話してね。」
「わかりました先生!」
「うんうん。最後に名前をつけてあげてね。そうすれば契約成立だよ。」
「はい。じゃあ、ピョン吉で。おいでピョン吉!」
ピョン吉と名付けられた使い魔は魔方陣から飛び出し、顔面に跳び蹴りを食らわした。
・・・名前が気に入らなかったんだろうか?
「仲良さそうで良かったね!じゃあ、どんどんいってみよう!」
ルシール先生に促され生徒たちは使い魔を召喚していく。
私は後ろの方なのでまだ時間がかかりそうだけど、生徒の使い魔を見ているだけでもなんだか楽しい。
「じゃあ次はレオンス君!」
来た!
二人目の攻略対象で宰相の息子、侯爵子息レオンス=クレマチス。
真面目なクールキャラでアルフォンス殿下とは幼なじみだ。
レオンスも召喚のために魔方陣の前で呪文を唱える。
雷のエフェクトが現れ召喚されたのは一匹の美しい豹。
「すごいです!ライトニングパンサーです!」
そうだ、たしかそんな名前だった。
レオンスは雷属性なので召喚獣も名前から分かる通り雷属性の豹だ。
レオンスはライトニングパンサーに近寄ると優しく頭を撫でる。
「今日から君はサンダーだ。よろしく。」
雷属性だからサンダーなんだろうか?
私のイメージ的には鳥の名前だと思うんだそれは。
この世界の人には分からないだろうけど。
まあ、ともあれ王子に続き二人目の攻略対象も確認できた。
彼らは私を辺境に送ってくれる人だからね。
ちゃんと拝んどかないと。
ありがたやー、ありがたや。
・・・ちょっと近くにいる生徒にみられて引かれてしまったようだけど気にしない。
私のクラスにいる攻略対象は王子と宰相の息子の二人。
あと二人攻略対象がいるけど他のクラスでまだ姿も確認できていない。
そしておまけの隠れキャラが別でいるんだけど、私その人の顔知らないんだよね。
隠れキャラだから登場人物紹介に出て来てなかったし学園にもいないし。
友達の話では、政戦に負けて国外追放になって亡命してきた王子らしい。
設定的に全然隠れてないけどいいのかね?
まあ、私には関係ないからいいけど。
ヒロインが頑張ってくれるでしょう。
さて、次は王子の使い魔召喚。
王子の反応が楽しみだね。