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貴族砲兵の受難  作者: 対物欲狙撃銃
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プロローグ

どうも、初投稿です。

空は思い切り晴れ、平型テントから見える空は青々としておりこれまた白白した雲に彩られて、秋と冬の間の独特の雰囲気をまとっている。平和な時ならば散歩の一つや二つしたくなる様な清々しい空気である。

だが、それは端から見たときの感想であり、軍用テントの中で折り畳み式椅子に座っている13〜14ぐらいの年相応とは思えない切れ目の少女ーいや、女性にとっては愚鈍な、それも質の悪い炭を燃やした後の様な色の曇天が見える気がしていた。


「あの馬鹿野郎が、無茶言いやがって・・・」


女性は目の前に立つやや細めの女性の部下に聞こえない位小さなため息を吐き、火魔法で火をつけたカンラを見ながらここには居ない上司に向かって若干の憎悪を乗せ悪態を付く。


畜生、碌な物じゃない。そもそも最初から嫌だったんだ。何が昇進だ、何が安泰だ。吐き出した所でどうにもならない事は分かっていたが、吐き出さなければやってられないとばかりに愚痴を吐く。それほど彼女は荒れていた。


それもそうだろう、彼女は半年前までは貴族の一員であり、軍とは無縁の世界の住人であった。前線砲兵科特別隊(とは名ばかりの雑用)に任命されてしまい、少額の給料と少数の部隊と共に前線へ放り投げられてしまったのである。

本来ならば実家で戦争が終わるまでのんべんだらりと過ごすつもりだったのだが、何の因果か前線で命のやり取り。許されるならば今すぐ逃げ帰って家に篭りたい。まあ、そんな事をすれば実家に切り捨てられ娼館にでも売り飛ばされる未来が見えるためそんな事しないが。




自分の立場を理解し、ほぼ無理を押し付けられーそれでも投げ出さない。それが将としてのプライドでもあり、彼女の本質ともいえるものであった。




ある程度兵站不足の解消をすべく後方への支援要請をしたためた書類を脇の箱から引き出し、目の前の部下へ投げ捨てるように渡す。それを受け取った部下は一言断りを入れ、軍靴の音を響かせるように外へ出る。

兵站不足からくる不満は日に日に増えてきている。こういう目に見えない損害は早めに潰しておかないといざという時動けないな。女性はそう考え、次の頭の痛い問題へと目を向ける。


「敵軍発見セリ 前方50000二5千5百の軍勢。友軍到着マデ持チコタエヨ」



要約するとこのようなことが書かれている電通に目を落としてため息。


「無理だろ・・・」


部下がいない事を良い事に本音をぶちまける。これを聞かれたら命令違反で今の地位から転落だな。と内心で考え、すぐに余計な事だと断ち切る。構うものか、落とすんだったらさっさと落とせばいい。やや投げやりな態度で女性は言い切った。



考えている内にイラついてくる。打開策の一つも思いつかない自分に対してでもあり、この様な状態になるまで放っている無能な上官に対してでもある。この戦が終わったら無能を切り捨てる権利でも申請しようか。女性はとりあえず心を落ち着けるために大きく深呼吸。ある程度心と動悸を落ち着ける。流石古来から続く方法。そこそこの効果があり、大分心が落ち着いた。しかし、机に無造作に置かれた南西大陸の地図(と言っても精度がどこまで信頼できるかわからないため地図と言えるか怪しいが)を見た途端再度ため息。ああ、最近ため息ばかりついている気がする。この身の不幸が恨めしい。などど再度取り留めない後ろ向きな思考を考えてしまう。深呼吸もたいした効果はなかったのである。


そもそもこの戦は新型兵器の試し打ちが出来るぐらいには余裕な勝ち戦じゃなかったのか?南西大陸の残存兵力はもうほとんどいないんじゃなかったのか?索敵は何をやっているんだ?


ため息を吐き出す。それにはある種の諦念が含まれていた。


面倒くさいな。心底そう思ったが動かなければ何も起こらない。億劫な事ではあるが、やらねばこちらが全滅するだけだ。そう思い(誠に不本意だが)自分の手足たる部下へ伝達しに女性ー坂宮伊吹ーはテントの外へ出た。


執筆は亀なので、おそらく次は一ヶ月後です。

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