この春私は。
「・・・、東高校か~。」
なんとなく口にしたその言葉は、私が次の春から通う少し遠い高校だった。
高校デビュー。知り合いの人も多少はいるけど、仲良しと言われると
すぐには思いつかない。
そんな高校になんで私が行ったのか、それは。
自分が今持っている東高校のパンフレットにも大きく載せられているが、
マーチングバンド部に入ることだった。
小学生の時はブラスバンドクラブに3年間、中学生の時は吹奏楽部に3年間、トランペットで
6年間続けてきた。その6年間は普通に楽しく、普通に終わっていった。
中学の時なん全国大会にも出たくらいだった。結果は銀賞だったけど、自分たちにとっては
出たことが何より嬉しかったからあまり結果は気にしてなかった。
3年生の最後、全国大会から帰ってきたぐらいにテレビで吹奏楽部特集とか
言うのが放送されていて、なんとなく見ていたらそこでは私が知らない世界が広がっていた。
それが、マーチングだった。
テレビの中では何人もの人が列を作ってズラズラと更新していく。
歩いているあいだも音は途切れず綺麗なハーモニーを紡いでいる。
歩きながらもしっかり音程をキープして演奏する姿に私は呆気にとられた。
なにこれ。凄い楽しそうじゃん。
見た瞬間すぐにそう思った。
本当にすごく楽しそうだった、やってみたいと思った。
私も歩いて音を吹いてみたいと思った。
だから私はこの春、東高校に入学する。