神様の散歩
神様だって、迷子になります
このお方、少しお馬鹿さんなんで
春の匂いがする。
私は、人間の住んでいる世界四季が好きだ。
私達の世界にも四季はある。だが、他の世界の四季を楽しむ神様も悪くはないだろ?
ひたすら歩く。まだ日の光は遠いようだ。
鳥のさえずりが近くから聞こえる。
嫌いじゃないな…
何時間歩いただろう…もう少しで日が登るな
私は、迷子などではないぞ。神様が迷子などあり得ないだろ…いや、嘘をついた。
確かに私は迷子だ。こうやって歩いていると母を思い出すな。帰りた…な訳ないだろ!!
まだ、この世界に来て一日目なんだぞ。
そして、私は人間としてしばらく暮らすのだ。
神様が人間と暮らして行くのには、前にした説明の分岐点へ行かなくてはならない。
まぁ、分岐点はとても終わりが見えないため、こうして迷子なのだ。
赤子として産まれる訳ではない。
人間でいう高校生らしい。一時的にその人間を乗っ取り、暮らすのだ。
その人間の意識と私の意識を融合させるのだから、私が離れて後でもその人間に支障はない。
色々話すぎたな。気にしないでくれ
出口が見える。目の前が出口なんだがな。
…怖い訳じゃないぞ!!ただ、離れる世界が恋しいだけだ!!私は男なのだから怖くなどないぞ!!!
っ、行ってきます。
《貴方を迎えるのは、とても大きな試練です。
乗り越えたら、素敵な神様になれるでしょう。
長い長い道のりを人間と共に歩みなさい。
怖がることなどない。
人間観察が好きな貴方ならきっと大丈夫です。
さぁ、いってらっしゃい》
この日から、私は人間となった