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わたしは小さく悲鳴をあげた。




だって、今まで人との争いを避けて来たわたしが、目の前で人が殴られてるところを見たことがなかったから。






彼は避ける事なく殴り飛ばされ、磨き抜かれた床に尻餅を付いた。口からは血がでていた。




綾と呼ばれる少女は、あたふたしていて殴った彼を牽制する。





「...リョウ!!やめてっ..!」





リョウと呼ばれた彼は今にも襲いかかりそうな雰囲気を醸し出していた。わたしも、どうにも出来ないと思いつつも、倒れた彼の元へ駆け寄り、立ち上がらせた。






「...お前はしてはいけない事をした!!


禁忌を犯した事を、わかっているのか!!」





リョウは怒鳴り続ける。立ち上がらせたのはいいが、よろめきながら、口から血を床に吐き捨てた彼は、口を開いた。






「 俺がした事は、不味い事だって事位わかる!!




でも、こうしなければ、舞はいつまでも眠り続けた儘で



元に戻るかどうかもわからない小さな賭けを続けるのは、俺はもう...!」





嫌なんだ!!と言い終わる前に、リョウは、再び彼を思い切り殴り付けた。力が強すぎて、テーブルに思い切りぶつかり、先程綾が飲んでいたマグカップがスローモーションで床に落ち、鋭い音の後に破片と液体が床に散った。




わたしが駆け寄ると、彼は気を失っており、ぴくりとも動かなくなってしまった。



まさか...死んでないよね








リョウはわたしの元に歩いてきて、わたしの顔をまじまじと見つめ、しゃがみ込んだ。

逃げないとわたしまで殴られる?消される?





そんな不安を余所に、彼はとても優しい目でわたしに話し掛ける。






「....こんなにも、似た容姿の人間なんているんだな。


客人、お前の身は私が保証する」




そして小さな声で付け加えるかのように





来てくれて、ありがとう



そう言った気がしたんだ。





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