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お前、名前なんていうんだ?






知らない男の子にいきなり名前を聞かれた。

耳はピアスだらけで、なんだか怖くて逃げようとしたけれど手をがっちり掴まれて逃げられる訳がない。

身長180センチあるであろう彼と160センチぎりぎりのわたしでは、どうしようもなかった。



仮にもわたしは彼を一応知っているんだけど、夢の中で会いましたよねなんておかしすぎる。

それに、知らない人に名前を教えるのはなんだか怖いので、えーと、あの、なんて言葉を有耶無耶にしていたら男の子は苛々した様子で






答えないなら俺から聞く。

舞、で合ってるよな?








名前を言い当てられてめちゃくちゃ怖いです。無言でかくかく頷くと、彼は一瞬凄く嬉しそうな顔で思いっきりわたしをホールドした。緊張しすぎて何故か英語になってしまったけど、でもまさにそんな感じで、外国人の人のようなオーバーリアクションだったのだ。






気が済んだのか彼はわたしを放して、再び怖い顔に戻った。そしてわたしにこう告げたのだ。





一緒にきて欲しい。

お前の悪いようにはしない。






なんでわたしは初めて会った人と、何処かにいかねばならないのかなんて、言える様な気が強いタイプではなかったので彼について行く羽目になってしまった。一体どこに行くのかなんて聞いても濁されて不安になる一方だった。レイプされたらどうしようなんて初めは頭の片隅で思ったが、先程の彼の嬉しそうな顔を見たらきっと大丈夫なんて確信してしまった。取り敢えず、家に戻って必要なもの全て準備をしろと告げられた。




正直外にいるのが寒かったので早く家に帰って、学校の時間まで眠りたいなんて思っていたがそうも行きそうにないので、マンションに初めて男の子を招く事になった。マンションに向かう間の無言がわたしにはきつかった。





彼は見た目に反して意外と礼儀正しく、脱いだ靴を揃えたり、制服についた雪を外で払ってから入ってきたり、なんだか笑ってしまった。



家についてからわたしは冷えた肉まんを温め直して頬張っていた。部屋の一人掛けのソファにはいつのまにか彼が我が物顔で座っていた。彼は凄く疲れた顔をしていた。





正直何をするのか教えてくれないと何も準備できないよ


と今更ながらに駄々をこねてみると


金は気にしなくていいから服をいくつか持て




と、ぶっきらぼうに言う。この人どっかのお金持ちなのかな?見た目に反してお坊ちゃん?と疑問を抱いた。



なんてこないだ引っ越してきたばかりで、服なんて全然手をつけていないから時間がかかると言うと、制服と今着てるジャージだけでいいと言い出す始末。そんなのでいいのかと、拍子抜けしていると、スイッチが入ったように行くぞと急に立ち上がる。


そして、彼は聞こえるか聞こえないかくらいの声で




お前に会いたがってる人がいる。






そう呟いた






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