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(早く来い!!お前をこの狭い世界から助ける!!!)
毎日、誰かに呼ばれている様な夢をみる。
しかも、決まって同じ人に。
容姿端麗、背も高く、同じ年齢位の男の子だ。いつもわたしは夢の中で危機的状態に陥っていて、その都度その男の子が助けに来てくれるという決まった展開。まるで少女漫画のよう。
わたし、どっか変になったのかな
と苦笑いしてしまう。好きな人なんて今までできた事もないのに、この男の子がこの世界のどこかにいて、わたしにテレパシーのようなものを飛ばしているのだとしたら?なんてファンタジックな妄想までしてしまう。
わたしってほんとおめでたい人だなあなんて。
全身から汗をかいた重い体を起こして、冷蔵庫の中にある氷の様に冷たい水を体内に染み込ませる。
わたしも小さい頃はその内好きな人が出来て、恋の駆け引きとかして、その内付き合う事になって結婚して子供も生まれて幸せな家庭が築けるものだと思っていたけど、高校二年生になって、好きな人が出来た事がないのは、年頃の女の子としてどうなのかなと思ったりする。
そんな事を頭の中でぐるぐると考えていたら目が覚めてしまったので、マンションの近くのコンビニに行く事にした。
外は、真っ白で冷たい雪がコンクリートを覆い吐く息も白くなっていた。
そんな夜中二時だった。