アヤカシと紅い妖
南聖高校の校内。時刻は夕方5時になろうとしていた。
風紀委員1「紅夜!止まれ!」
紅夜「嫌です」
風紀委員2「今日こそは逃がさん!」
紅夜「捕まるものですか!とうっ!」
紅夜と呼ばれた少女は突き当たりのベランダから跳んだ。
風紀委員1、2「なっ…!」
紅夜「じゃあねー(笑)」
そのまま彼女は木々の中へと消えて行った。
「また逃したのか」
風紀委員1、2「い…委員長…申し訳ありません…紅夜はすばしっこくて…」
委員長「まあいい。…やつを捕まえるにはしばしかかるだろう…行くぞ」
風紀委員1、2「は…はい…」
その頃、木々の中を越えた少女はようやく出口に出て、周りを見渡していた。
「はぁ…やっと帰ってこれた。ただいま」
使用人「雫月様!また逃げて来られたのですか!」
「仕方ないでしょ、捕まったら面倒なんだから」
彼女、紅夜 雫月はアヤカシの血を継いでいる紅夜家の一人娘である。古くからアヤカシの血筋を継ぐ者を後継ぎとし、栄えている家系だ。そんな家系に生まれた雫月は昔から後継ぎとして敵対する者たちを斬り捨て、守ってきたのだった。
「雫月様おかえりになられたのですか」
「真潤、元に戻っていると目立つからいけないとあれほど…!」
彼は龍桜真潤。紅夜家を守る宝龍として今ではすっかり住み着いている。
真潤「雫月様がおかえりになるのをずっと待っていました。お会いしたかったのです…!」
雫月「…出迎えありがとう。それでアヤカシたちはどうなの?」
雫月がそう尋ねると真潤はそうですね、と前置きをしたあと話し出した。
真潤「…アヤカシがあちらの世界からこちらの現界へ導かれるように次々と移ってきています。闇華梗狐も関係しているようです」