あの時「反逆」を選択していたら~魔王側へ~
選択肢が示す光の中、ライとレイは互いに視線を交わしていた。
「これで……、運命を変えられるのか?」
ライの声は、静かに震えていた。
だが、その瞳には決意の光も宿っていた。
レイは微笑むでもなく、ただ冷たく光る瞳をライに向けていた。
「ライ兄さん、俺と一緒に……来てくれる?」
その瞬間、二人の意思は一つに重なった。
『反逆』
運命に抗う反逆、それが二人の選んだ道であったのだ。
***
ライは勇者一行の前で、ゆっくりと歩を進めていた。
剣士や魔術師の驚きの表情。そして勇者とクリスの鋭い視線が、ライの心を貫いていた。
「ライ、何をするんだ!」
クリスの声が、震えていた。
胸を締め付ける痛みが、ライの心を揺さぶった。
しかしライは、迷うことなく振り返り勇者一行に向けて頭を下げていた。
「どうか、この戦いをやめてください。そこにいるレイは、たった一人の弟なんだ……」
勇者たちの視線は、変わらず疑念に満ちていた。
「今から俺は、魔王側につく」
それは、裏切りであったのだ。
ライの心は、すでにレイの悪しき力に引き寄せられていたのであった。
「すべては、ここに辿りつくために!」
ライの言葉に、勇者一行は唖然とする。
「ライ、どうして……」
もはやクリスの声も、届きはしない。
***
双子は共に、戦場に立っていた。
勇者一行は混乱し、戦意を削がれつつも攻撃する手を止めなかった。
しかしライの力とレイの悪魔としての力が融合することで、攻撃は圧倒的な力へと変わってしまう。
勇者と剣士の剣が空を切り、魔術師の魔法が炸裂するものの、それは双子の前においては無力であった。
「目を覚ませ!」
クリスの叫びも届かず、双子の力は増幅し、勇者一行を次々と打ち倒していく。
その戦場で、ライの心はただ一つの想いに集中していたのである。
「弟を、守る。たとえ世界が敵になろうとも、俺はレイと共にいる」
「ライ兄さんと俺は、ずっと一緒なんだ!」
激しい戦闘が終わりを迎える頃には、勇者一行は完全に敗れ、魔王さえもその力により滅んでいたのであった。
戦場は瓦礫と煙に包まれ、戦いの痕跡だけが残されていた。
戦いの後、レイは新たな魔王としてこの世界を支配することとなっていた。
その隣には、愛するムウと、敬愛する兄ライの姿があったのだ。
ライは決してその力を誇示せず、ただ弟のそばで守る存在として在り続ける。
そしてムウもまた、影のようにその側へと立っていた。
レイの幸福を、ライと共に静かに見守る存在として。
時折、インキュバスはわずかにほくそ笑む。
「新たな魔王の誕生。すべて、俺の計画通りだな……」
しかしレイは、そのようなことは知らずに生きていく。
悪魔としての力も、魔王としての威光も、すべてを包むのは穏やかな愛情でもあったのだ。
レイはライとムウに囲まれ、心からの幸せを味わっていた。
戦いも争いも終わり、やがて世界は混沌から平穏へと変わっていく。
戦いに抗い、運命を覆した双子は、力と愛に満ちた甘く温かな日々を迎えるのであった。
END




