第32話:ノースレイとアーレイ
ー氷隕石の力を見よ、『アイシクレイド』ー
ノースレイが構えた片手を払う。
ー雷隕石の力を見よ、『ブラック・サンダーガ!』ー
すかさずミナリーンが真下に片手を振り払った。
凄まじい閃光と猛烈な吹雪の中、2つの魔法は広間の中央で衝突し炸裂した。地上では木々が激しく揺れ小鳥が散り、リスがどんぐりを投げ出した。
「うああああぁぁ!!!」
「っ!」
戦闘不能のレイトと負傷中のバクロは衝撃波で飛ばされ壁に衝突し土煙が上がる。
勢いよく土煙を薙ぎ払ったノースレイが、氷槍をブンブンと高速回転させ、ミナリーン目掛けて颯爽と突進した。
「っ!!私の魔力も…まだまだですねーって!」
ミナリーンはホルスターからリボルバーを抜き、
奥歯を噛み締めて咄嗟に射撃する。
パンパンと短い射撃音が鳴り響く。
電撃弾の一発は弾かれ、二発目でノースレイの頭部に命中した。
「っ!」
ノースレイはよろめき、二、三歩後退すると、稲妻に纏われた銀色の仮面が割れて片顔が露出した。片手で抑えられたその美しい瞳から微かな紫色の閃光が溢れる。
「…ア、アーレイさん!?」
ノースレイが叫びながらミナリーン目がけて氷槍を投げる。
ミナリーンはリボルバーを弾き飛ばされ尻餅をついた。
「うう!!」
氷槍は柱を貫通し粉砕された。
ゴゴゴという音と共に突然地響きが鳴り始め、天井が崩れ始める。
地響きが鳴り、ノースレイと一行との間が崩れ始める。底から暗闇が顔を覗かせ、ミナリーンの真上の天井に大きなヒビが入った。
「あ!!!」
「おい!危ねぇ!!」
バクロが叫んでミナリーン助けようと立ち上がったが、傷口から血が滲みよろめく。
「ミナリーン!!!」
レイトが横から颯爽と飛び出し、間一髪でミナリーンを肩で突き飛ばした。
バクロはうつ伏せのレイトを見て驚愕した。
「お、お前!?傷口が塞がって…!?」
レイトは顔をバクロの方に向けた。
「…」
ノースレイは膝をつき両手で頭を抱えて、喚きだした。
「アーレイ…誰!そんな…そんな名前の人、私は知らない…分からない!!!」
レイトが乱心のノースレイを見て驚愕する。
(顔は…確かにアーレイだ…。あの時、俺のせいで…どうして…!?)
同時にレイトは、ノースレイの胸元の宝石が眩しく紫の光を放っているのに気づく。
(もしや!?リヴァイアサンの時の…!)
ミナリーンが起き上がり、お尻の埃を払った。
「あ、ありがとうございます!…レイトさん…大丈夫そうでほんとよかったです…」
目に涙を浮かべ、レイトの方を向いて安堵のため息をついたミナリーンは胸に手を当てた。そしてノースレイの方を向いて指さした。
「胸元の宝石が光ってます!あれは…!」
「クソが…やっぱり、隕石の欠片を…奴らに使われたんだ…!!」
バクロが上を向き、崩れゆく天井を見て慌てて叫んだ。
「お、お前ら意味分からん話をしてる場合じゃねぇぞ!もうここはマズイ!!」
レイトがよろめきながらもゆっくりと、ノースレイに近づき手を伸ばす。
「っ…アーレイ!!手を伸ばしてくれ!」
バクロは片腹を抑えながらレイトの襟足を掴み、強く引っ張る。レイトの視界から苦しむノースレイが遠ざかってゆく。
「バカやろう!いいからこっちに来い!!」
天井はますます崩れ、ノースレイは一行から見えなくなっていく。
つづく。




