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第25話:銀髪と廃教会

◾️銀髪のならず者


草むらから出てきたのは、メルスマ教会の追っ手の兵士ではなく、短刀を片手にニヤニヤとミナリーンを見る、ならず者集団であった。


ミナリーンは銃口を向けているが、額に汗をかき、照準はカタカタと揺れている。


リーダー格の者がミナリーンにゆっくりと近づく。


「お前、『人』を撃ったことないようだな。」


(冒険者の専用カードを見る限り、大したランクではなさそうだ。かなり…俺の好みだし、手篭めにしてやろうか)


ミナリーンは妙な寒気を感じ後退りした。


「来ないでください!」


ミナリーンは銃口を上に向けて一発撃つ。その銃弾は紫色の閃光を放ち、雷のような音を響かせた。


ならず者集団は恐れで一瞬怯んだが、リーダー格の者は、それとはまた異なった感情を抱いていた。


(この女、雷魔法を使えやがる…)


「お前、雷の魔力を帯びているようだな」


「俺の名前は『バクロ』だ。この西地区をテリトリーにしている。後ろの眠ってる奴は放っておいて、俺らについてこい。」


バクロは銀色の短髪に筋肉質、目つきは鋭く八重歯が特徴的な男。


後ろに控えていたナンバー2のような部下がバクロに近づき囁く。


「お頭、リボルバーは弾数が少ないですし、もし魔法を唱えられても集団で一斉にかかれば間に合います」


バクロはだんだんとニヤつき、大口を開けて笑って部下の肩にそっと手を置いた。


「ダンケス、まぁそう焦るな。この女には別に利用価値がある」


ダンケスはハッと何かに気付いたように頷く。


バクロはミナリーンの方を向いて、あからさまに両手を挙げて、ナイフを下ろす動作をした。


「何をしているの!」


ミナリーンの照準はバクロを追う。

バクロは顔をあげてミナリーンにこう言った。


「今ここでお前を殺すことは容易い。だが雷魔法を使えるのならば、協力してほしい事がある。」


「し、信じられない!あなたたちは…わ、私たちを殺して金品を奪いたいんでしょ!」


「ハハ、それも嘘ではないが、それ以上に価値のある事があるんだ、俺らの根城に来て欲しい。ちょっと古臭い廃教会だがな」


バクロがある方角の方を示すと

ミナリーンは神殿の神官の言葉を思い出した。


(それって西地区の教会…?もしかしたらそこが城外に繋がってる教会だとしたら…)


バクロが部下の方を見て怒鳴る。


「おい!お前らも武器を納めろ!予定変更だ!」


部下たちは互いを見合って驚きの表情を見せたが、渋々短剣を鞘に戻した。


バクロは目を細めてミナリーンを見た。


「こんなところに血のついた目覚めない男といるんだ。明らかに異常だ。つまり昨日のあの街の騒ぎ…お前らの仕業だろう。」


(メルスマ教会に突き出して、金を貰おうと思ったが気が変わった)


「メルスマ教会の連中に目をつけられてんなら、早くここから去らないと追っ手は必ず来るぞ」


バクロは部下に合図をして、ゾロゾロと草むらの方へ進んで行く。


ミナリーンはやっと銃口を下ろして大きなため息をついた。


(はぁ…死ぬかと思った…)


ミナリーンは目覚めないレイトの顔を見て、もう手段を考えている余裕が無くなっていた。


(レイトさんを連れて教会を探して回る時間は無い…あの人たちは信用できないけど、教会の場所が分かるなら…!)


ミナリーンはリボルバーを納め、荷車を引いてバクロらの後を追った。





◾️神聖道(ホーリーロード)


ミナリーンは周りを警戒しながらバクロが向かった方向へガラガラと荷車をひいていく。段々と辺りが、廃屋の点在している茂みから深い森へと様子が変わっていく。


「ザフィアって広い上に、東と西で全然違うんだね。レイトさん、ここ暗くて怖いよーって…」


ザフィアの東側は大ピニアス塔と港が位置しており

西側は茂みと森に囲まれた場所。


奥に人影が見え始めると、ミナリーンはホルスターからリボルバーを引き抜いてゆっくりと近づいた。


見えたのは滑らかな灰色のコンクリートでできた入口らしき階段。その階段脇にバクロが腕を組んで寄りかかっていた。


「やっと来たか、面白いだろう?ここは」


ミナリーンはリボルバーを斜め下に下ろしバクロに問いかける。


「ザフィアの下水道の壁の雰囲気と似てます…見た事ない造りですが、ここは…?」


「俺もよく知らん。だが古代遺跡をそのまま教会に活用したらしい。まぁいい下についてこい、部下には下がらせてあるから安心しろ」


ミナリーンはレイトを一瞥し、バクロに視線を戻しその場を動かなかった。バクロは振り返ってこう言った。


「あと、その寝てるやつに危害を加えるつもりは毛頭ない、金も持ってない死にかけにトドメを刺すほど暇じゃないからな」


バクロはどこか悲しげな目をしていたのを、ミナリーンが感じ取る。


(この人…誰かに雰囲気が似てる…その目…なんでならず者になったんだろう)


バクロは階段下を降りていく、階段両側には錆びた金属の棒が沿うように取り付けられており、途中看板がぶら下がっている。


ミナリーンは固唾を飲んで薄暗い階段の一歩目を降りた時、下から何か叫ぶような轟音が風圧と共に響く。ミナリーンの髪の毛が靡くほどに。


「まさか、もう奴が!?」


バクロは取り乱しながら下に駆け降りていく。

ミナリーンも後に続いた。



つづく。


投稿が遅れてすみません。

引き続き宜しくお願いします

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