表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/34

第20話:ザフィア再び

◾️異世界人と転移魔法


ボロボロの小屋の中で、正気を取り戻したレイトはミナリーンに改めて助けを求めた。


「エリアスとアーレイを助けるのを手伝ってほしい」


レイトは目頭を赤く染めながらもミナリーンをまっすぐ見つめた。


「もちろんですよ!一緒に旅した仲間じゃないですか。でも隕石の欠片を集めるなんて、メルスマ教会の人達は怒っていたでしょうね…」


レイトはミナリーンに尋ねた。


「俺、よく知らないでエリアスとアーレイの隕石集めを手伝って旅してたんだ、隕石の欠片ってどんなものなの?」


ミナリーンは驚いた表情でレイトの顔を見る。


「知らずに集めてたんですか!?…隕石の欠片はかつてこの地に降り注いだ大隕石の一部なんです。」


「メルスマ教会は大隕石を崇拝している教会なので、欠片は、崇拝する対象であっても集めて所持することはよろしくないって…両親から教えてもらいました。」


「そうなんだ、洞窟でもリヴァイアサンが持ってたし、ミナリーンは知らないと思うけど、その前の魔物のボスも倒した後に手に入ったんだけど…魔物が拾いやすいの?」


「私、隕石の欠片が落ちてるところを見たことが無いので分からないんですが、そもそも隕石の欠片自体、大勢の人総出で探しても殆ど見つからないらしいです。特殊な魔物が好んで見つけたんでしょうか…?」


「どうなんだろう…。ところでミナリーンはメルスマ教会を信じてる人なの?」


「うーん、私はメルスマ教徒なんですかね…あんまり意識していませんでした。私の両親からも特に儀式とか礼拝とか強制されたことはないですし…みんなの生活に普通にあるというか…」


(深く浸透してて、何か目印もなく強制する必要もないってこと…かな?)


「でも、そういえばレイトさんはどこから来たんですか?メルスマ教会のこと全然知らないってことは、この大陸の人じゃないってことですよね」


レイトは頭をかいて言葉に詰まった。


(自分が日本人で異世界に転移してきたなんて言っても理解してもらえるかわからない…ちょっと状況だけ伝えてみよう!)


「詳しくはわからないんだ…でもペンデンテスの近くの平原で気絶してたみたい」


「えー、気絶…?誰かに攫われたりしたんですかね…。以前のことは記憶があるんですか?」


レイトは首を左右に振る。


「自分の名前や、好きだったことは覚えてるんだけど、今までどんな人生を送ってたのかはあんまり思い出せないんだ」


ミナリーンは首を傾げる。


レイトは困り顔のミナリーンの顔を見て、自分の状況をもう少し伝えたくなったのを感じた。


「俺、この世界の人じゃないんだ。景色も建物も全て異なる別の世界で運悪く事故に遭って、気づいたら平原で寝てたんだ」


ミナリーンはレイトの顔を不思議そうに見つめた。


「この世界の人…じゃないんですか?レイトさんは、もしかしたら別の大陸から来られたかもしれませんね。」


(別の大陸か…普通に考えて、別の”世界”から来たとか言ったら頭おかしいよな…)


ミナリーンは少し、楽しげに目を瞑って話し始めた。


「子供の頃、考古学者の父から、古代文明が転移魔法を研究していたかもって話を聞いたことがあるんですけど…人や物が瞬時に別の所に移動できる魔法ならしいです。誰も見たことが無いので完成してたのかも不明で伝説なままらしいですが、ワクワクしますよね!本当に転移魔法だったら…レイトさんは奇跡です!」


(古代文明ってどんな文明だったんだろう。転移魔法がすごいのかどうかはわからないけど、相当な科学力あったってことなのかな?こっちの世界も既に魔法とかすごいけどね)


レイトは少し自分の話を聞いてもらえたことに喜びを感じた。


「ミナリーン、ザフィアに行って、もう一度大ピニアス塔に行きたい」


「でも…どうやって入るんでしょうか…。レイトさんはザフィアに入れないし…あと、門兵さんに見つかったら一大事ですよ!」


レイトは小屋の窓からザフィアを見る。すると多くの人が荷馬車をひいて入っていくのが見えた。


(これだ!)


「いい案を思いついた!」





◾️再びザフィアへ


ミナリーンがザフィア行きの馬車に手を振った。


「すみませーん、私を乗せていってもらえませんか?」


御者台から老齢のお爺さんがミナリーンの方を向いた。


「んん?若いの、何を言っておるのじゃ、ザフィアは目と鼻の先だろう。たとえ老人でもすぐ着くじゃろうて…」


「私、もうクタクタで…倒れそうなんです…。」


ミナリーンは突然、疲れてるフリをし前屈みになってゼイゼイ息切れの演技を始めた。


「今時の若いもんは…ほんと骨が無いのう…。着いたらすぐ降りるのじゃぞ!まったく、ワシが若い頃はなー」


老齢お爺さんがずっと話をしている声が、馬車の下にも聞こえてくる。そう、レイトは馬車の底に張り付いていたのだ。


(うぐぐぐ、頼む!揺れないで!落ちる!落ちる!手の筋肉がやばい…!)


レイトは何回か地面に足を引き摺られながらも

なんと馬車はか門兵のところまで辿り着いたようだった。


「通行許可証は…ヨシ!後は荷台だな…最近は宿に異端者が出たらしいって噂だからな…入念に確認させてもらう」


門兵の足がレイトのすぐ目の前までくる。


「ん?爺さん、これザフィアでめったに出回らない『パプモカボチャ』じゃないか。これ美味いんだよなぁ…おっと…」


レイトの目の前にパプモカボチャが転がる。


(やばい…このままじゃ兵士と顔面コンニチワしてしまう!)


門兵が拾おうとしたその時、ミナリーンが馬車からサッと降りてパプモカボチャを拾い上げた。その時レイトに向けたウインクがレイトの心臓の鼓動を早めた。


「あ、私もパプモカボチャ好きなんですよ、シチューに入れてもらってよく食べてました!」



つづく


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ