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凹の水平線〜ララバイゼロ〜  作者: テルマエ出前
第1章:最強と呪い
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第14話:蛇の罠

◾️運命


レイトとエリアスは冒険者ギルドに行き、挨拶を済ませてから隕石の欠片の情報集め、アーレイは単独で『極秘任務』を完遂すべく、西側の地区へ向かっていた。


アーレイは表通りから一つ裏路地に入り、人気のない小道を進んだ。背中に背負った大鎌が、揺れる銀色の髪と共に屋根からこぼれた陽の光に反射して鈍く光っている。


アーレイは古都ザフィアの郊外から外れた森の入り口までやってきた。


そこは異端者とされて追放された地区の跡地であった。廃れた人家がまばらに遺されており、かつての面影はない。


「モルモンはこの先の廃宿屋にいるはず。」


(モルモン…あの錬金術師を謳う男はどうにも好かない。バラス様と見つけた古代文明の装置を見せたとき、目の奥に狡猾な蛇を宿しているように見えた。『魔力移転装置』だと言って奇妙に笑っていたが、今更ながら本当なんだろうか…)


アーレイは廃宿屋に到着すると、胸にしまった隕石の欠片を落としていないか、静かに胸に手を当てた。


赤い屋根の廃宿屋はかなり老朽化が進んでおり、蔦が全体を包み、窓ガラスは割れ、その隙間は蜘蛛の糸で覆われていた。周りは茂みに囲まれている。


「これを届ければ、エリアス様の魔法が使える日も近い。」


アーレイは目を瞑って深呼吸をした。


(…この隕石の欠片を渡して、エリアス様が立派に魔法が使えるようになったら…私はいつものようにバラス様にお仕えして生きていく…そう、嬉しい。嬉しいはず…。)


しかし、太陽がアーレイの顔を斜めから覗き込むまで

モルモンは現れなかった。


「ここで待つことになっているが…あの男が事前に用意した門番の兵士にちゃんと合図したつもりだったのだが…」


すると、廃宿屋の裏手から、白い紋様が大きく描かれた黒いローブ着てフードを深々と被った長身の男が現れた。フードの下からは尖った顎を覗かせている。


「待たせたね、アーレイ。相変わらず凛々しくて美しい銀の髪…。はうーぬ、そして綺麗な瞳だ」


アーレイはその喋り方と視線に不快感を感じ

少し後退りした。


「モルモン殿、お久しぶりです。不老不死の研究をされてると仰っていましたが、錬金術の研究…その後はいかがですか?」


モルモンはフードをあげた。長髪黒髪、その切長の瞳は静かに黄色に光る、頬に深い皺が入っている若く、癖のある男。


「ハッハッハ、最近は全然捗らなくて困っているんだ。そう!君たちが見つけたあの装置を見てしまったら!…ね!そうだそうだ、約束していた”モノ”はどこだい?」


「も、もちろん持ってきましたが、モルモン殿、本当にこれでエリアス様に魔力が…移せるのですか?」


「そうだとも!君の妹分のエリアスとバラス卿もきっと喜ぶ!君も苦労してきたんだ、報われる日になるよ」


(私は何を考えていたんだ、愚か者だ。この男が好かないかどうかではない。エリアス様に魔力を宿し、バラス様の任務を果たす…それが私の生きる道だ)


アーレイは恐る恐る胸から隕石の欠片を取り出し

モルモンに見せた。


「おーーーぅお!クァァ、この素敵な隕石の欠片!よーく見つけた!素晴らしい!素晴らしい!素晴らしい!!!!!!だが…」


モルモンは不敵な笑みを浮かべてアーレイを舐めるようにみた。


「…神聖な隕石の欠片を集めてこい、なんて私は一言も言ってない。シビゲール様見てくださいこの不届ものを!!」


アーレイは何を言い出しているのか全く分からず目を丸くして佇んでいる。


モルモンがアーレイに背を向けて見上げた方向には2階の窓から聖教者のような服を着た年配の男がこちらを見ていた。


「モルモン、こやつがその異端者の一味というわけだな。よくやったぞ!褒めて遣わす」


アーレイは動揺を隠せない。

(ま、まさか…そんなことは…)


「シビゲール様!有難きお言葉…!この異端者をいかがいたしましょうか?」


(私は…何をやっているんだ…?バラス様は裏切られた!?)


シビゲールが片手を挙げると

茂みから重装備の兵士がガチャガチャと出てきてアーレイを取り囲んだ。


「モルモン…貴様、裏切ったな…!!!」


アーレイは鋭い眼光をモルモンに向ける。


「謀る?ハハハ悪い冗談はよしてくれ、私は異端者の片棒を担ぐ気なんて最初からサッラサラ無い。あと、あの装置を使ってもエリアスは魔法なんて使えるようにはならないんだー、君もここで終わる。あー残念な、残念極まりない偽物姉妹」


(殺してやる!今すぐ!)


アーレイは大釜を振るい、刃先をモルモンに向ける。兵士が大きな盾を構えてジリジリと取り囲む。


アーレイは片手を挙げて唱える。


「天から降臨せし氷の隕石メテオよ、我が手に力を宿し、闇に彷徨う屍に懺悔の機会を…」


つづく。


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