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第9話:レイトの能力と魔物の正体

◼️洞窟の残滓


リヴァイアサン討伐直後。レイトは、気絶したミナリーンを抱き起こし、洞窟の壁側に寄り掛からせた。


「うっ!?」


レイトは突然、全身に虫が這うような得体の知れない吐き気に口を抑え膝をついた。


「っ…、エリアス、アーレイ、2人とも大丈夫か?ミナリーンは気絶してしまったみたいだ。」


エリアスは大の字に寝そべって肩で息をしてる。

すると、徐にレイトを睨みつけた。


「また…レイトのおかげで倒せたわね。私の時よりすごい力だったじゃないの、今後はあの娘の手を繋いで行けばいいじゃない!」


レイトは大の字のままそっぽを向いたエリアスに

慌てて釈明した。


「危機的状況ではあったけど、瞬間的な…そう、急迫した状況に無かったんだ!あの時手を繋ぎに行ける距離にもいなかった…だから…!」


「ふん!浮気者の言い訳なんて聞きたく無いわ!私だって死にそうだったんだから…ちょっと休むわ」


エリアスは背中をレイトの方に向け休み始めた。


アーレイは周囲を警戒しながら、リヴァイアサンが燃え尽きた灰の中から、金属のような光沢を持つ隕石の欠片を発見した。


「レイト殿、これを」


レイトはそれを拾い上げ、目を凝らした。

「これ、ナイトメアが持ってたやつと似てるけど...何かもっと変だ」


アーレイは欠片に手をかざし、調べた。


「この欠片の魔力は、私が知っているものとは違う。そして、リヴァイアサンの異常な再生能力は、記録にはないものです」


レイトが首を傾げてアーレイを見る。


「アーレイ、ナイトメアの時もそうだったけど、魔物に関してなんで詳しいんだ?君は単にメイドとして働いてたんじゃ無いのか?」


アーレイは淡々と続ける。

「バラス様は私に、マードック子爵専用の図書室で魔物に関しても勉強することを許していただきました。きっと、今後のエリアス様を支える為に」


バラス卿はアーレイだけに…なぜ特別扱いしたんだろう、彼女が高い魔力攻撃術を持っているからだろうか…?


アーレイは遺跡の欠片に鼻を近づけて

静かに嗅いで驚いた表情を見せた。


「誰かが、リヴァイアサンを利用するために、何か特殊な細工をした可能性があります。ナイトメアから手に入れた欠片と違って、異質な香りがします」


「誰かって...どういう意味だ?」レイトは混乱した。


「断言はできません。ただ、この痕跡は、私が図書館で見た、『使役魔法』が使われた際に残るものと酷似している気がします。特に、気性の荒い家畜に使うことがある魔法です。」


「私たちの旅は、ただの隕石の欠片の探索ではない裏の危険を孕んでいる可能性があります」


レイトは、その言葉に背筋が凍るのを感じた。

話を聞いていたエリアスが突然立ち上がった。


「とりあえず、早くここを出るわよ...!気持ち悪い...!」


四人は洞窟を抜け、夜風に当たるとようやく人心地ついた。ミナリーンはまだ意識がない。レイトとアーレイが交代でミナリーンを背負い、宿屋へと向かった。





◾️最強能力の影


宿屋で一晩休み、冒険者ギルドで調査依頼の完了を報告後、レイトは全員を集めて自分の能力について語り始めた。


「俺の剣に魔力が宿る。エリアスと同じようにミナリーンに触れた時、俺の剣にも同じ光が宿った。急迫した状況で…エリアスやミナリーンの手を握ると力が湧いてくるんだ」


エリアスは、不機嫌な表情で思い出したかのようにレイトに言った。


「ねえ、ミナリーンは昨日、魔力切れで気絶したわよね?でも、私、前もレイトの剣に魔力を宿したのに、ピンピンしてる。どういうことよ!?」


レイトは、その疑問に答えられない。


「...わからない。でも、俺の剣に魔力が宿った時、ミナリーンは完全に意識を失った...」


アーレイが冷静に口を挟んだ。


「推測ですが...エリアス様の魔力は、放出ができない分、内側に強く留める性質を持っているのかもしれません。レイト殿の力が**『奪う力』**であるとすれば、ミナリーン様から全部吸い上げてしまったのかと」


エリアスは少し得意げに鼻を鳴らす。


「つまり、私の魔力は強すぎて、あんたなんかじゃ簡単に吸い取れないってこと!?」


「...もしアーレイの言う通りなら、俺が力を借りた後でも、エリアスが気絶せずに済んだというのも納得がいくかもしれない」


アーレイが続けた。


「しかし、その安定性は攻撃においては欠点となるかもしれません。強大な敵を倒すには、ミナリーン殿の、制御は不安定でも強大な属性を持つ魔力も必要な時が出てくるでしょう」


ミナリーンは、自分の不安定さが、逆にレイトに必要な力だと知って、顔を赤らめた。


「わ、私は...よくわかんないけど、レイトさんの、その...守られた時、身体の中…全部持っていかれた感じがしたんです...」


エリアスは真顔でレイトの顔を見た。


「詳しくは聞かなかったけど、あんたやっぱり変態の国から来たのね。今後、アーレイに触れて同じことになったら変態確定じゃない!」


ミナリーンがさりげなく手を上げる。


「私、魔法放出が昔から不安定なんです。だからサブ武器のリボルバーを強化したくて、錬金術師がいるというシュイレーンに寄ったんですがまだどこに店があるか見つからなくて…」


レイトは老人のことを思い出した。

錬金術師の彼なら何か自分の能力についても知ってるかもしれない。


レイトはにこやかにミナリーンを見つめる。

「俺、その錬金術師の居場所知ってるよ。このクロスボウの灯りもそこで手に入れたんだ。案内するよ」


エリアスが突然席を立つ

「変な爺さんに興味ない、でも…レイトがまたミナリーンに変なことしないか見守ってあげるわ!」


レイトらは、ミナリーンを連れて、錬金術師の老人(兄)の店を再訪した。


「...ふむ。お前は、吸魔体質、と言えるじゃろう。最初見た時に、魔力を感じ取ることができなかったのも、そのせいかもれん。」


老人は、レイトの洞窟での話を聞いて唸る。

レイトは老人の言葉に驚き、言葉を失った。


「吸魔体質…?」


「そうだ。お前は、僅かな魔力もないという珍しい体質。だから、一時的に彼女から魔力を強制的に引きずり出したのだと考えると合点がいく。ただ…お前が持つ、隕石の加護なき体質。それは、奇跡でもあり、呪いでもかもしれない。」


レイトは、どこか遠い記憶が引っかかるのを感じた。


(...なんだ、この感覚...どこかで聞いたような...)


それは、父親の姿をほとんど覚えていないレイトの脳裏に、うっすらと残る研究室の風景のような、曖昧な残滓だった。レイトはその感覚に気づかないふりをした。


「隕石の加護は普遍的に全ての人が持っているとされている。実は魔物も同じく加護を受けているのだ。

人はそれを生まれつき制御し内側に留めつつ使うことができるが、魔物は常にその魔力に支配されている状態。人間と魔物の起源は同じとされておるが、大きな違いが今日の差となっていると考えられておる」


老人はレイトの見つけて続けた。


「お主のその吸魔体質は、体の構造を少しずつ変えてしまう可能性がある。急に魔力を大きく吸いあげて魔物になる可能性があるかもしれんのじゃ」


つまらなそうに聞いていたエリアスが

急に驚いて老人に詰め寄った。


「え!このままレイトがこんな戦い方をしたら魔物になっちゃうってわけなの?!」


「そうじゃ、そしてお主は、魔力は内側に留める力強すぎるがゆえ、魔法が放出できないのじゃろう」


エリアスはアーレイと顔を見合わせ

驚いた目で爺さんを見つめる。


「だから私ずっと魔法使えなかったんだ…爺さんあんた何者よ」


老人はエリアスの目を見て真剣に答えた。


「この少年のことを思うなら、お主とそこの黒髪の奴の力は使わせない方が良いじゃろう。あ、ただ銀髪のお嬢さんは手を握っても大丈夫じゃよ」


アーレイが無表情な顔を老人に向ける。


「何故でしょう。私も魔力を帯びており、緊急時にレイト殿に手を握られたら発動すると考えるのが普通ではないでしょうか」


老人はニヤニヤと笑いながら言った。


「お主の体からは、規則正しい魔力の流れを感じる。つまり吸われるような魔力の出口が無いのじゃ」


アーレイの無表情は変わらなかったが、僅かに落胆の表情を、レイトだけは見逃さなかった。


エリアスが鼻をフンと鳴らして腕を組んだ。

「アーレイはレイトの魔の手から回避できるようね!というかおじいちゃん、私たちの体を勝手に見ないでよね変態!」


「へ、変態じゃと!?」


レイトが老人とエリアスとの間に入り

誤魔化すように苦笑いをした。


「お、おじいさん、ありがとう。今日はミナリーンが用事があって来たんだ」


ミナリーンがオドオドと腰に提げていたリボルバーを老人に差し出す。


「私、魔力が不安定で魔法を連続して使えないからリボルバーが頼りなんです。でも撃てる球数が3発しかなくて…」


「仕方ないのう、見せてごらんなさい」


老人は差し出されたミナリーンのリボルバーを手に取り、店の奥に行った。


「ほれ、撃てる数を倍にしてやったわい」


「おじいさん!あ、ありがとうございます!」


ミナリーンは老人から渡されたリボルバーを嬉しそうに触り、意外にもキレがあるガンプレイをして腰に提げた。


つづく。


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