表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】前世の男運が最悪で婚約破棄をしたいのに、現れたのは王子様でした?  作者: 月にひにけに
第一章 婚約相手は王子様?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/85

24.疑惑

「ーーで、帰って来てしまう辺りがハンナですよね」


「言われると思いましたよ……」


 淑女学校に登園後、朝っぱらから早速とサラサにダメ出しをされ、はははーと私は苦笑する。


 昨日は置き去りにされたガロウさんと2人、その後はささっと身支度を整えて帰路についた。


 帰りの馬車内では全く関係のないガロウさんに、私が受けた呪いのことを物凄い申し訳なさそうな態度をされて、恐縮過ぎて縮みそうだった。


「まぁ、ハンナらしいと言えばらしいのですけど……。ちなみに、体調は本当に大丈夫なのですか?」


「あ、それはもう本当に大丈夫みたい。いっそ貴重な体験だったかも」


 呪われそうになって、呪詛返しをしてもらうなんて中々ない気がする。


「……何を能天気なことを……。ルド様とは無関係の可能性もあるのですよ? ハンナ自身が標的だったらどうするんですか……」


「ーー……」


 確かに……。と反論できず、顔が引きつるのを自覚する。


 思わず胸元を左手で探ると、制服の下でこつんと指先にネックレスが当たり、少しホッとした。


「……ところで、ヴァーレン様にひどく気に入られている節があるとガロウから伺ったのですけれど……?」


 普段はクール中のクールなサラサにしては珍しく、ずずいと身を寄せて聞いてくる。


「……それ、私も不思議だったんだけど……ライト兄様の妹だってバレたからか……。……何だかんだとルド様にも優しくて面倒見の良さそうな人だから、元来優しい人なんだとは思うんだけど……とは言えやっぱり必要以上に親切にされているような……な、感じでして……」


「……物凄いまでに歯切れが悪いですね」


「他にどう表現しろと?」


 むず痒さに耐えられず、あーもうと喚くと、サラサは神妙な面持ちながらクスリと笑う。


 むー……っと私はサラサを睨みつける。サラサはたまにこう言う節があって、わかっていながら言わせようとする節がある気がする。のは、多分私の気のせいではないと思う。


「サラサー?」


「ふふ……ごめんなさい。ちなみに、ヴァーレン様と面識は本当にないのですか? お兄様のご友人みたいですし……」


「んー……多分ないと思うんだけど……。ヴァーレン様って仮面つけてて、正確に言うと顔はわからないんだよね……」


 仮面越しの、ヴァーレン様の優しい声音を思い出す。少し低くて、落ち着いた声。


「……まぁ、何にせよ、ヴァーレン様の目論見通りに、これ以上の危害がなく落ち着くと良いですね」


「うん」


「…………」


「……?」


「…………」


「……どうしたの、サラサ。急に黙りこくって……」


 突然に脈絡なく黙ってしまったサラサを不審に思い、私は様子を伺う。また気づかぬうちに何かをやらかしただろうか。


「……それはそうとして……いえ、何でもないです」


「えっ!? 何? 気になるんですけど……っ!?」


「いえ、いや……でもさすがに……と言うか……」


「えっ!?」


 突然に不審な態度を見せるサラサに戸惑う。基本的に言いたいことをあけすけに話すサラサが言い淀むというのはかなり珍しい。


「……昨日の手作りの護符たちはいかがでしたか?」


「…………」


 様子のおかしいサラサを、私は見つめる。しばし居心地の悪い時が過ぎた後、私はサラサの薄い肩をガッと両手で掴んだ。


「……サラサ……今誤魔化したでしょ。何っ! 何が言いたいの! 早く言って!」


「…………っ」


 ガシガシと思わずサラサを揺さぶると、根負けしたようにサラサが私の手を自分の肩から外し、乱れた髪を整えて口を開く。


「……さすがに……ないとは思うのですが……」


「え、この引き伸ばし具合がホントに怖いから早く言って」


 んんん……と、未だに言いあぐねているサラサに不安を煽られる。


「……ハンナ、あなたの婚約者様のお名前……ルド・ヴァレンタイン様……ですよね?」


「え?」


 思いがけないサラサの問いかけに、私は止まる。


「え? 何で急に? や、だってライト兄様がルド様って……? ヴァー何とか的な……」


「……ハンナに聞いた際に、私の中でもうお一方別の方のお名前がありました。ただ、お家柄的な差や、名前のニュアンス的にも可能性が低いかと思っていたのですが……」


「え? どゆこと? 怖いんだけど……」


「私が思い当たった方は、ルド・ヴァレンタイ様とーー……」


 サラサの言葉を聞き、私は控えめに言って卒倒しそうだった。そして今後、情報は必ず正しく把握しようと、心底思い知った瞬間だったーー……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ