~二章~
初投稿作品となります。
更新速度、文章、内容等至らぬ部分はあるかと思いますが
温かい目で見守って下されば幸いです。
コメント等励みとなりますので
宜しくお願い致します。
新たな問題に軽い吐き気を覚える中
別の【気持ち悪さ】が俺を襲った。
この感覚には覚えがある。
昔から町中を歩いていると
『あのビル気持ちが悪いなぁ』と思ったりすることがあった。
調べてみると誰かが亡くなっていたり、
人の死に関連する施設の跡地だったりするのだ。
そういった感覚は日常的に大なり小なりあって
街中あちこちで【気持ち悪さ】を感じるが、
不快と感じるほどではないので生活に支障が出たことや
感じる何かから被害を受けたことはない為、
俺はこれを【少しだけ霊感がある】と解釈し
人に少しだけ自慢していた。
恐らく人に唯一自慢できるしょうもない能力だった。
ただ、今回の【気持ち悪さは】いつもより少し異質な感じがした。
普段よりも強い、向こうもこちらを認識しているような気配というか
見られている感覚だった。
ふと漠然と眺めていた景色が少しおかしい気がしてきた。
公園の中央、俺の正面あたりにある富士山型の滑り台のような遊具の辺り、
黒い靄のようなものが見える……気がする。
いや、見える……。
目を凝らすとはっきり見える。
しかもそれは少しずつ何か生き物のような形に纏まっていくように渦巻いている。
思考に耽っていたいた為気にしていなかったが
先ほどまで聞こえていた子供の声もいつの間にか聞こえなくなっている。
公園内には俺しか居ないようだ。
素人目にもはっきりと分かるほど公園内は危険な感じがした。
逃げよう、移動をしようと思ったその時、
俺は横からの突風に捲かれた。
風は継続的に吹き続け、ゴミや木の葉を吹き飛ばしていく。
立つことも座っていることも出来ず俺はベンチの上に横たわる。
砂が容赦なく顔に打ち付けるので目を開けることも出来ない。
体感的には5分程度、
暴風の中呼吸をするだけで必死だったが
突然、風がぴたりと止んだ。
肌にぶつかる粒子の感覚がおさまったのを感じ、
とっさに顔に付いている砂を払った。
目に異物が入らないか恐る恐る開けると
ぼやけた視界の先では砂や木の葉が巻き上がり竜巻のようになっていた。
まるで公園を取り囲む壁だった。
竜巻は富士山の遊具を中心に渦巻いており
遊具の上には先ほどの黒い靄の代わりに
生物が居た。
ライオンに黒い鳥の羽が生えたような姿だが
後ろ足は鳥の足で、尾には蛇か爬虫類のような鱗があった。
「……キメラ?」
健全な学生時代に培った知識を総動員した結果
昔プレイしたゲームに出てきた
複数の動物の特徴を持つ怪物の名前が思い浮かんだ。
しかし、ゲームで見たデフォルメされた姿に比べ
目の前の化物は非常に生々しく、
牙、爪、筋肉は獲物を仕留める為だけにあるのが分かり、
逆立った毛は膨らみひと際大きく見える。
今まで動物を見る機会など動物園かペットショップくらいしかなく
動物に対し恐怖を覚えたことは無かったが
初めて生き物に対し無条件で恐ろしさを感じた。
そいつの眼孔は確実に俺を捉えていた。
真っ黒な光の無い眼球と食いしばった牙が
俺の体を凍り付かせる。
目の前の化物と竜巻に理解が追い付かない。
あまりに現実離れをした光景に
死すら予想が出来ず
俺はただパニックになる事もなく
意味不明な恐怖で小刻みに震える事しか出来なかった。