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鮫太郎

作者: 森永 ロン

この作品は入学前の子供向けの作品です。

夜になかなか寝ない子に読み聞かせてあげると良いかもしれません。

 昔々、あるところに一郎、二郎、三郎、四郎、五郎という五人兄弟が住んでいました。


 五人はとても腕白小僧で、大人の注意も聞かずに悪戯ばかり。


 夜もすぐには眠らずに大きな声で遊んで、大人たちを困らせていました。


 そんな五人が住む村にはとある伝説が語り継がれていました。


 それは「鮫太郎」という恐ろしい生き物が村の近くの山深くに住んでおり、夜な夜な山から下りてきては、夜遅くまで遊んでいる子供を山へと連れ去り、そのままバリバリと食べてしまうというものでした。


 鮫太郎の身体は人間と変わらないのですが、その頭は大きくて鋭い牙を何本も生やした鮫であり、いとも簡単に子供たちを食べてしまうそうです。


 そんな伝説が村には伝わっていた為、村の子供たちは鮫太郎に食べられないように夜は静かに眠っていました。


 しかしながら、一郎ら五人の子供たちはそんな伝説なんて信じようとしません。


 むしろ、鮫太郎を見てみたいとより一層騒ぎ始める始末。


 大人たちはそんな五人にとても手を焼いていました。




 ある日の夜遅く、五人はいつものように大きな声で遊んでいたところ、何かが山の方からすごい勢いで降りてくる音が聞こえてきました。


 それは雷よりも大きく、恐ろしい音でした。


 五人はその音を聞いて怖くなってしまいましたが、そのまま気にすることなく遊んでいました。


 すると、大きな音は五人の家の前で止まり、次の瞬間、一緒に騒いでいたはずの一郎の姿が消えていました。


 夜が明けて見てみると、家の中に一郎の姿はありません。


 周囲の大人たちは「鮫太郎じゃ、鮫太郎が出たんじゃ」と言っていました。


 ただ、二郎、三郎、四郎、五郎はその言葉を信じることなく、すぐに一郎が帰ってくると思い、特に気にしていませんでした。


 そうして、今日も夜遅くまで遊んでいると、昨日と同じ音が山の方から聞こえてきました。


 その音は昨日と同じように家の前で止まると、二郎の姿が見えなくなっていました。


 その後も、一日ごとに三郎、四郎と順番にいなくなってしまいました。


 四郎がいなくなった次の日の夜、五郎は独りで変わらずに遊んでいると、昨日と同じように大きな音が山の方から聞こえてきます。


 一郎、二郎、三郎、四郎がいなくなってしまったので、五郎は独りきりでその音を聞いていました。


 その音は昨日のように家の前で止まり、聞こえなくなりました。


 しかしながら、五郎の身には何も起きないまま。


 五郎は安心して、再び遊び始めようと思ったまさにその時、五郎がいる部屋の扉がすごい音を立てて揺れ始めたのです。


 五郎はあまりの恐ろしさに泣き始めてしまいました。


 しかしながら、扉の揺れは大きくなるばかり。


 五郎は大人たちが話していた鮫太郎の伝説のことを思い出し、急いで布団の中に入ると、静かにじっとしていました。


 そうすると、扉の揺れは段々小さくなっていき、最後には揺れは収まりました。


 それからというもの、五郎は夜遅くまで遊ぶことは無くなり、夜になると静かに布団に入って寝るようになりました。


 そのおかげで、五郎は二度と鮫太郎に襲われそうになることなく、立派な大人に成長することが出来ましたとさ。


 めでたし、めでたし。

①この作品は夜に寝ない小さな子向けの作品です。(小学校に入学する前ぐらいの子対象です)


②この作品を読み聞かせても寝ない子は、この本を読み聞かせた後すぐに、読み聞かせをしていた方とは別の方が実際にご自宅の扉や窓を外側から揺らして音を立ててください。そうすれば子共は泣き始めると思うので読み聞かせをしていた方が「鮫太郎に食べられないようにするにはどうしたら良いの?」と尋ね、布団に誘導してください。



*この物語は私の父親が作成した物語であり、私も実際に②をやられて、直ぐに寝るようになりました。ただ、あまりの刺激の強さに今でもその時のことを覚えています。物語自体はかなりうろ覚えなので少しアレンジした点もありますが、大体こんな感じでした。物語の展開や登場人物などはご家庭によって最適なものに変えていただいても良いと思います。ただ、大切なお子さんにトラウマを植え付けないようにしてください。この物語を読み聞かせるかどうかは自己責任でお願いします。一番は大切なお子さんのために。

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