悪魔討伐
今回で締めとします。
長い間お付き合い頂き、ありがとうございました。
【悪魔討伐】
さて、俺たちがこちらの世界に来てから3ヶ月。
体が馴染むのを待っていたわけだが、
もう一つ待っていたことがある。
ヘルハウンドたちだ。
彼らは現在、1日千体程度の割合で
こちらに転移してくる。
そして、ようやく10万体のヘルハウンドが揃った。
俺たちは次の段階に進むことにした。
悪魔城への侵攻である。
俺たちは4台のキャンピングカーと高機動車に分乗し、
悪魔城を目指した。
王国の道は土魔法が効いており、
意外とフラットだ。
ヘルハウンドの攻撃以降、
王室や主だった貴族がこの世界から消えた。
王国は一直線に瓦解に向かっており、
無頼の徒がゆく先々に現れた。
しかし、キャンピングカーは彼らから見れば
怪獣の一種にしか見えず、
モーゼの海割りのように人の波が左右に割れていく。
悪魔軍はなぜか散発してやってきた。
四天王軍がまとまってくればいいものを、
4軍団が順番に攻撃してきた。
まず、レオが“清淨なる光”
これで相手の魔法を封じる。
俺たちは一方的に攻撃。
四天王には35mm連装砲。
これで瞬時に殺戮された。
動揺の広がる軍団の指揮官とおぼしき敵には、
迫撃砲や擲弾銃で範囲攻撃。
そして、M2連射。
強そうな敵がいなくなれば、
ヘルハウンドによる蹂躙がまっている。
こうしてルーティーンのように、四天王軍団が撃破された。
ミサイルもあるんだが、宝の持ち腐れになっている。
【悪魔城決戦】
主だった敵をやっつけ、
いよいよ悪魔城を目前に控えた。
『(シロのこうりゃくはオレにまかせてくれ)』
『レオ、どういう策でいくんだ?』
『(ヘルハウンドがトッコウしたがっている)』
『特攻?』
『(そうだ。ヤツラはウラミをはらして、ハナミチをかざりたい)』
ヘルハウンドはα世界で言われもなく消滅させられた
動物たちの命の集積だ。
現在では、悪魔王への怨念のみで動いており、
悪魔王討伐を果たして成仏をしたがっている。
『わかったよ。俺たちは見てればいいんだな?』
『(そうだ)』
悪魔城にヘルハウンドが集合。
その数10万頭。
彼らは続々と悪魔城に覆いかぶさって行った。
悪魔城がヘルハウンドにより漆黒に塗りつぶされていく。
そして、敵の攻撃を物ともせず、
悪魔城は完全にヘルハウンドにより埋め尽くされた。
そのころ、悪魔城では。
『四天王が次々と撃破されました!』
『ヘルハウンドの群れが!』
『な、な、なんだ、転移陣を作動させよ!』
『転移陣が動きません!』
大混乱が生じていた。
『うおっ、眩しい!』
突然、ヘルハウンドが赤く発光し始めた。
自分自身から高熱を発しているのだ。
当初は赤く発熱していたが、
やがて、黄色、白色と変化し、
とうとう、青色にまでなった。
『なんて熱さだ。これだけ離れていても耐えられんぞ』
俺たちはあわてて後退せざるを得なかった。
青色の発光は急激に膨らみはじめた。
『(おまえら、ふせろ!)』
レオの警報が届くが、
言われるまでもない。
あれはヤバすぎる。
俺たちは身を伏せた。
青色の発光は大爆発をおこした。
凄まじい爆発風が俺たちを襲った。
同時に耳をつんざく爆発音。
すぐに岩石がふってきたが、
レオの防御魔法で問題なかった。
顔をあげると、おぞましいキノコ雲が
天をつく勢いで上空に伸びていた。
ところどころ、雷鳴が轟いている。
◇
◇
跡地には半径1kmほどのクレーターができていた。
覗こうにも、溶岩がぐつぐつと沸騰しており、
熱くてそばによれない。
もちろん、城は跡形もない。
『(ヘルハウンドたちは成仏できたようだ)』
『そうか。祈ろうか』
俺たちは手を合わせ、冥福を祈った。
『悪魔王はどうなったんだ?』
『(じょうはつした)』
『転移とかしないよな?』
『(タマシイのひとしぼりまでもえつきた)』
◇
◆
◇
さて、悪魔王を始め、デーモン族はこの世界から消滅した。
だが、これで平和になるというわけではない。
シート族はいなくなったが、
これからは抑えつけられていた矛盾が噴出するだろう。
例えば、精霊教会。
精霊王を祀っているくせに、レオとは全く関係がない。
これが出張ってくるのは間違いない。
レオは嫌がっているのだが、
信仰が絡んでいるため、力技では潰せない。
また、α地球をどうするか、という課題もある。
人類の生き残りがいるだろうし、
文明資産はまるっと残っている。
だが、地球規模でゴブリン計画が実行されており、
それに対して俺たちはあまりに少数だ。
それと、地球は生態系が壊れているので、
おそらく虫の天下になるんじゃないか、と予想している。
すでに、夥しい虫の発生があった。
蝗害、イナゴの大群、ああいうのが地球規模でおこるだろう。
もっとも、俺たちはすでに元の地球に住む意思はない。
居住は非常に困難だ。
多数のゴブリン一派と、それ以上の昆虫。
危険が蔓延しているし、農業生産もままならない。
せいぜい、地球の文明をβ地球に転移させる。
それも、β世界の身の丈にあった程度のものになる。
俺たちは、転移拠点を居住拠点とした。
少しずつ集落の範囲を広め、
周辺の住民を受け入れつつ、
定住に向けて頑張っているところだ。
ただ、俺とレオは再び旅に出た。
勿論、キャンピング・カーでだ。
燃料は積めるだけ積んだ。
燃料の果てるまで走り回ろう。
レオは壊滅してしまった精霊の里の復興を
したいようだ。
もちろん、俺も手伝う。
というか、気楽な毎日に戻りたいだけなんだが。
今回で締めとします。
長い間お付き合い頂き、ありがとうございました。




