王城からの使者がやってくる
【王城からの使者がやってくる】
『こんにちは。王都のほうからやってまいりました』
『は?』
ある日、王様の使いと称するものがやってきた。
『この辺りは王国直轄地でして。あなた方が、ここいらを占拠したと伺いましたので、是非とも王城に起こし願えないかとの王からの招待状をもってまいりました』
『はあ』
『ここはデーモンどもに占有されておりました。それをあなた様方がデーモンから奪い取っったという。あなた様方は稀代の英雄ではありませんか。ですので、王が直々に私をここに遣わしたわけです』
『あー、そういうの間に合ってます』
『へ?』
『あのさ。この世界の支配者がデーモンの回し者って、みんな知ってることだよな。何、人間の代表みたいな顔してるわけ?』
『いや、そんなことございませんですよ。私どもは正当な人民の代表として、長年デーモンと戦ってきたわけでして』
『よくいうよ。お前らの出自はシート族だろ。シート族ごとデーモンの配下に成り下がって、そのかわりにこの世界の支配権を手に入れてる癖に』
『……』
『城に帰って王様ってのに伝えてくれよ。俺たちはお前たちも討伐していくって』
『なんと無礼な奴ら。下手に出ればいい気になりおって。よかろう。首を洗って待っておれ』
王室や貴族、領主といった支配者層は、
ヒューマンのシート族出身者で占められている。
彼らは悪魔族を主と仰ぐ、いわば中間管理職で、
王国の富を独占し、非常に横柄だ。
『ああ、植民地なんかによくある形ですね。分割統治』
分割統治とは、ある者が統治を行うにあたり、
被支配者を分割することで統治を容易にする手法。
被支配者同士を争わせ、
統治者に矛先が向かうのを避けることができる。
プンプンしながら帰っていった使者であったが、
俺たちは彼らの仕返しを待っていられなかった。
王室や主だった貴族に向けて、
ヘルハウンドを遣わしたのだ。
暗殺部隊である。
国が大騒動になり、
戦国時代がやってくるだろう。
【王城にて】
『上様、例の転移魔法拠点に行って参りました』
『おお、使者か。どうだった』
『おまえらはシート族だろ、と追い返されました』
『奴らは異世界人だという話だが』
『こちらの事情に詳しいものがおるようです』
『噂ですが、精霊王がいるという話も』
『精霊王は滅んだのではないのか?悪魔王さまからの情報はないのか?』
会議室で話し合いのもたれているさなかに、
床からニュッとヘルハウンドが顔を出す。
『!なんだ、おm』
全ての言葉を吐き出す前に、彼らは絶命していた。
この惨劇は、β大和国の支配者、
シート族のみをターゲットして、王国中で起こった。
王国中の支配者の元へ行くのは簡単だった。
この転移拠点にある数多の転移陣は、
王国の様々な拠点につながっていた。
β大和国は僅か数日で統治機構を失った。
いくら支配者層が酷いといっても、
統治するものがいなくなれば大混乱だろう。
と思ったのだが、そうでもなかった。
支配者層は富を巻き上げるのには熱心だったが、
実際の管理は下に丸投げであった。
そうはいっても、重しがなくなれば
そこかしこで動き出すものがあるだろう。
この国は、大きな変革期に巻き込まれていくのだ。
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