狩り
【狩り】9月
戦闘の結果、せっかく畑に播いた種の半分以上が
無駄になってしまった。
『予想はされていたけど、周囲の町から食糧を買うことも検討したほうがいいのでは?』
『直近の街はどこにあるのかな』
『レオの話だと、西に集落がありそうなんですけどね』
『結構遠いんだろうね。道はどうなんだろう』
『(わからん)』
この拠点は周囲からほぼ完全に孤立している。
1本の細い道が下の平野部まで通じているだけだ。
悪魔の連中は魔法を使ったり、
魔法陣を使って資材を運んだりして拠点を作ったんだろう。
しかし、俺たちは魔法は未熟だし、
魔法陣は使いづらい。
重機を使って道を拡張しようとしたが、
簡単にできるもんじゃない。
『まあ、待機期間は二ヶ月としている。それまでは周辺を探索してみようか』
『そうですね。新鮮なタンパク質が手に入るかもしれないし、魔物に出会えれば、レベル上げもできるかもしれない』
俺たちは半径5km程度の範囲で探索及び狩りを試みた。
レオの感知能力は半径数kmに及んでいるが、
その範囲内ではレオの感知には集落はひっかからない。
ただ、比較的容易に大きめの獣に遭遇している。
1時間に1体というか1集団というか、その程度の頻度だが。
獣としては、鹿を見かけた。
遠くだったのと、俺たちに討伐する意欲がなかった。
何しろ、誰も鹿の解体をしたことがない。
西田さんや市河さんでも、せいぜい鴨を捌いたぐらいだ。
『大型獣の解体は現代人にはキツイね』
『ええ。内蔵とか、慣れが必要ですね』
『飯田先生とかいけるかも』
確かに、飯田先生と二人の看護師は解体に嫌悪感がなく、
後日、解体を率先して行えるようになるのであった。
【精霊魔法の発現】
拠点の周囲で魔物狩りを行っていると、
各自に精霊魔法が発現しだした。
発現した精霊魔法は以下のとおりである。
苅屋 光魔法、操光L1、光球
市河隆一 土魔法、操土L1、石弾、硬化、掘削
西田健児 火魔法、操火L1、火球
飯田孝允 水魔法、操水L1、回復
中村新一 土魔法、操土L1、石弾、硬化、掘削
三田 樹 火魔法、操火L1、火球
山科浩司 火魔法、操火L1、火球
江藤 翼 風魔法、操風L1、送風、風刃
市河梨香 水魔法、操水L1、水球、放水
北宮真美 風魔法、操風L1、送風、風刃
蒼井 遥 土魔法、操土L1、石弾、硬化、掘削
伊藤結月 水魔法、操水L1、回復
内田紗奈 水魔法、操水L3、回復
【魔物の討伐】
精霊魔法のレベルを上げるには、魔物を狩るのが一番いい。
だが、魔物がゴロゴロしているわけではない。
魔物は魔素のたまる場所から自然発生してくる。
効率がいいのは、ダンジョンだ。
ダンジョンも魔素の濃い場所で発生すると考えられている。
魔素が凝縮され、コアとなり、
アリの巣のように地中に潜っていくとダンジョンになる。
魔素の発生状況次第でダンジョンはその後も成長を続ける。
ダンジョンは階層に分かれて、
それぞれが異空間のような空間になる。
ダンジョンにおりたら空が広がっていたとか、
海だったとか、そういうことも起こりうる。
しかし、ダンジョンはそうそうあるものではない。
仕方がないので、俺たちは道路造成を手伝うことにした。
道路造成の柱は重機、バックホーとかである。
山を削り、凸凹を平らにし、表面を固める。
だが、簡単なことではない。
一応、下の平野部につながる細い道がある。
その道に沿って、道路を拡張する計画なのだが、
初日は、僅か10m進むのにも四苦八苦であった。
重機を動かせるのは西田さんだけだが、
西田さんにしても、30年前に軍で免許をとっただけだ。
俺たちにしても、何しろ魔法レベルが低い。
当初はチャッカマンのような火魔法、
コップ一杯分しかでない水魔法、
そよ風のような風魔法、
小石程度の大きさしか出せない土魔法、
おおよそ役に立たなかったのである。
だが、一ヶ月ほどすると、それぞれ魔法レベルが3になり、
藪を焼き尽くし、
ゴミを吹き飛ばし、
土を削って表面を固め、
道路にこびりついた泥を洗い流す。
これだけのことができるようになった。
それでも、1日約百mの道路を切り開くのがせいぜいだ。
そんなこんなで2ヶ月後には開けた土地に降りてきた。
ここまでくれば、既設の道がある。
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