異世界に転移した1
【異世界に転移した1】
転移すると、俺とレオの出身が“大和国”、
他の人たちの出身が“異世界大和国”に変化した。
紛らわしいので、あちらの世界をα世界、α大和国、
こちらの世界をβ世界、β大和国とする。
俺たちが転移した場所は。
だだっ広い体育館のような場所で、
床に数多の魔法陣が描かれていた。
周りには俺たち以外、誰もいない。
だが、ホッとする間もない。
俺たちは猛烈な吐き気を催したからだ。
酷い乗り物酔いのような症状に襲われていたのだ。
『(まそよいだ。からだがなれるまでのがまん)』
β世界は魔素が濃い。
俺たちはその魔素にあてられていた。
魔素酔は吐き気や頭痛の症状が出る。
魔素が濃すぎると、生命に影響が出るらしいが、
俺の記憶ではそんな濃い魔素エリアの経験はない。
おまえはβ世界人だろう、といわれるだろうが、
肉体はα世界産である。
俺たちはずっとダウンしていた。
その間に、レオとヘルハウンドは、
この転移用の建物を制圧していた。
俺たちは、お客さんと化していた。
『(転移用の建物が他にもいくつかある)』
レオとヘルハウンドはあっという間に他の建物も
制圧していた。
強い魔物はいないようだ。
いても、オークやダーク・サタン程度ならば、
レオの敵ではない。
『(まほうじんは、かきかえたからな)』
α世界への魔法陣以外、記述を少しだけ書き換えた。
これで、この魔方陣を使用すると、
存在が消去されることになる。
レオは転移魔法自体を唱えたり、
魔法陣全てを記述できるほどの知識はないようだが、
魔法陣の一部だけなら書き換えられる能力がある。
魔素酔から真っ先に回復したのは俺だ。
俺の出身地だから、へばっているのは格好悪い。
その次に回復したのは、梨香と翼だった。
なんと、彼らには精霊の加護がついたのだ。
『(せいれいはこどもすき)』
なんだと。
梨香には水の精霊が。
翼には風の精霊がついた。
『私、水の精霊さんとお友達になった!』
梨香はとても嬉しそうである。
俺には精霊の姿はうっすらとしか見えないが、
彼らはトンボのような羽のついた小さな人間、
俺たちが考えている精霊そのものの姿をしている。
彼らは通常はフワフワと空中に漂う光として
俺たちには知覚される。
そして、何か力を使うときだけ、俺たちにも姿が見える。
その力とは、精霊魔法だ。
『私の指先から水が出る。水鉄砲みたいに』
梨香は同じく精霊魔法を発現した翼と遊んでいる。
『バカヤロー、そんなヘナチョコ、オレの風魔法で吹き飛ばしてやんよ』
二人して、びしょ濡れになって遊んでいるが、
大丈夫。最後には翼の風魔法で服を乾かしている。
二人は同い年ということもあるが、梨香は面倒見がいい。
明らかに、梨香がお姉さんになっている。
当初は翼は随分と梨香に照れていた。
男子小学生には女子というのは天敵だったりするからな。
ただ、身体強化のレベルが上ってきて、
精神面でも幼さがなくなってきている。
だから、今では二人は他の人同様、仲がいい。
しばらくすると、他の人たちにも精霊の加護が付き始めた。
精霊にとっては、異世界人は価値が高いようだ。
俺とレオにとっては故郷だ。
さて、久しぶりと言うべきか。
俺にとっては約40年ぶり。
レオにとっては半年ぶり。
その時間経過が果たして異世界にはどうなるのか。
これは、捉えたデーモンからの情報だ。
まず、α世界とβ世界の時間の流れは同じ。
俺たちがこの世界から転生したのは、半年前だという。
つまり、レオの時間の流れが正常であって、
俺は40年前のα世界に逆行したということだ。
俺が時間を逆上った原因は、魔力不足。
俺もレオも死にかけていたからだ。
もっとも、それだけですんだのは幸いだといえる。
存在が消滅したり、或いは人間以外のなにかに、
人間だとしても5体満足じゃない形で転生する。
そういう可能性があったわけだ。
転移したあとも、
レオはせわしく転移魔法陣を操作していた。
レオはヘルハウンドたちを
こちらの世界に呼び込んでいたのだ。
一体、何体いるのだろう。
極端な話、地球の全てのヘルハウンドがこっちに来る。
その可能性だってある。
レオは魔力の強いヘルハウンドを選別・指導し、
そのヘルハウンドの旗振りで、
他のヘルハウンドが次々と次元渡りしていた。
ただし、転移には多量の魔力を使う。
だから、1日に数百体程度しか転移できない。
俺たちは、次元渡り及び精霊の加護がついたお陰で
ステータスが上昇していた。
この時点でのみんなのステータスは次の通り。
苅屋健志 身体L13、鑑定L4、精霊王の加護
市河隆一 身体L10、土精霊の加護
西田健児 身体L10、火精霊の加護
飯田孝允 身体L8、水精霊の加護
中村新一 身体L9、土精霊の加護
三田 樹 身体L9、光精霊の加護
山科浩司 身体L8、火精霊の加護
江藤 翼 身体L8、風精霊の加護
市河梨香 身体L8、水精霊の加護
北宮真美 身体L8、鑑定L3、風精霊の加護
蒼井 遥 身体L8、土精霊の加護
伊藤結月 身体L8、水精霊の加護
内田紗奈 身体L8、回復L3、水精霊の加護
レ オ 身体L13、回復L11、侵入L7、防御L7
精霊が馴染んでくると、いろいろな魔法が発現するという。
『オレも魔法使いだ!』
ミリオタでファンタジー大好き三田さんは大はしゃぎだ。
いや、これは誰しも嬉しいだろう。
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