H基地1
【H基地1】
俺たちは、考えうる限りの準備をして、
H基地に向かうことになった。
以前の通り、展望台に車を停める。
そこからはSUV2台に分乗して、基地の側に行く。
攻撃パターンはA基地と同じである。
ヘルハウンドがゴブリンやホブゴブリンを殲滅。
それ以上の敵は我々がしとめる。
慎重に基地に侵入したが、静まり返っている。
『どうしたんだ?魔物がいないぞ』
『(まものいない)』
『ひょっとしたら、あの“山”に入ってこいってことか?』
『もろ、罠だよな』
『私達には選択肢がないけどね』
『とりあえず、偵察しましょうか』
俺たちは“山”まで乗り付け、
俺、レオ、市河、山科で中を覗きに向かった。
入り口は車が楽に入れる扉であった。
扉をあけ、中に入る。
『えっ?』
俺たちは中に一歩踏み入れた途端に、
不思議な光景を見た。
『なんだ、この空間は』
バカ広い空間が広がっていた。
天井は見渡す限りの青い空。
草原の向こうには青々とした山々。
『どこかに転移したとでも言うのか?』
『(なにもたんちできない)』
双眼鏡で周囲を眺めてみる。
この不思議な光景の主は、
俺たちの近くにはいないようだ。
俺は後を振り返った。
扉が空間に浮かんでいる。
外への出口だ。
『一旦、外に出ようか』
俺たちは扉を押して外に出た。
不思議な光景に頭がクラクラする。
『早いね。中はどうだった?』
『いや、それが……』
全員が中に入って、不思議な光景を目の当たりにし、
何も言わずに戻ってきた。
『どうする?』
『車入れそうだから、2台とも入っちゃうか』
『それでいこうか』
俺たちは混乱しながらも、扉を全開にし、
車を進めるのであった。
とりあえず、車を扉の中に入れてその場で話し合う。
『どうするって言うしかないな』
『ホントだ。なんだ、この不思議空間』
『これは、ダンジョンか?』
『まるで目印がないな』
『とにかく、車で走ってみますか』
『出発点はわかるからな。この空中に浮いた扉』
俺たちは遠くに見える山を目指した。
とは言うものの、四方が山でかこまれている。
この地は、物凄く広い盆地のようだ。
『あれ?扉に戻ってきた』
俺たちは、扉を後にして走ってきたつもりだ。
ところが、気づいたら進む方向に扉がある。
『うっかりと円状に進んだのかもしれませんね』
俺たちは、扉を確認しながら車を走らせた。
しかし、気づくと扉が目の前に現れる。
『ひょっとしたら迷いの森のような場所かもしれませんね』
『どう歩いても入り口に戻ってしまうってやつ?』
『ええ』
『そういう時はな、ぶっ放したらええねん』
西田さんはいきなりM2を勢いよく発射させた。
とたんに、青い空の広がった世界は、
古めかしい宮殿に変わった。
『おいおい、頭の悪い奴がいるな。いきなり乱射か』
『誰だ?』
『どうだ、私の作った空間は』
『つまらんぞ。気取ってないで出てこい』
そう言うと、頭に2本の角を生やし、
黒い翼をもった男が現れた。
『ずっと探していたぞ。精霊王よ。おまえらから来てくれて感謝するよ。この世界でいう、飛んで火に入る夏の虫ってやつだな』
『精霊王?なんのことだ』
『記憶が無いのか。おまえらは、この世界の住人ではない』
『おまえらって』
『おまえとそこの猫のことだ』
俺とレオ?
『おまえらは我に殺されそうになって、この世界に転生したのだよ』
『!』
名前 ダーク・サタン
年齢
出身 異世界デーモン国
種族 悪魔族
特記 身体強化L10、暗黒魔法L10
敵のメニューが俺の視界に浮かび上がった瞬間、
俺の記憶が蘇ってきた。
レオも同じみたいで、二人で見つめ合った。
『記憶が戻ったか。精霊王よ。そうだ。我はダークサタンだ。お前らを破滅に追いやった憎き仇だ』
奴のいう通りだ。
俺たちはこの世界の住人ではない。
“異世界大和国”
俺とレオの出身がそう表示される。
理由がやっとわかった。
俺たちは、この世界の並行世界から転生したのだ。
レオはパステトという名の精霊王だ。
猫の姿をしている。
そして、俺はレオの従者だった。
魔導剣士だったのだ。
あちらの世界では、
悪魔王が世界を破滅に追いやろうとしていた。
俺たちは、レオを先頭に反悪魔連合を作ったんだが、
ことごとく、つぶされた。
そして、悪魔王の下僕であるこのダークサタンにより、
俺たちは瀕死の状態に陥った。
レオと俺は最後の魔力を振り絞り、
魔法であちらの世界から転生したのだ。
あちらの世界では、並行世界のこの地球のことは
よく知られていた。
異世界人、つまりこの地球からしばしば召喚者や
転移者が現れるからだ。
地球に転生したのは、あちらの世界で転生しても、
容易に追跡されるからだ。
悪魔たちの転移・転生魔法技術は我々より遥かに高い。
ただ、魔力が不足していたせいで、
俺はレオより40年近く早く転生してしまった。
明らかに、座標にイレギュラーが起こったのだ。
レオは座標自体は正常に転生してきた。
しかし、猫の姿の精霊だったせいか、
子猫に転生してしまった。
二人共、転生時には記憶がなかった。
だが、レオは自分に俺を追跡する魔法をかけていた。
そのおかげで俺とレオは再会できたのだ。
俺が車中泊でやっつけた怪物ーハイ・オークは、
悪魔王のはなった追跡者ー暗殺者だった。
レオの転生跡を追跡していたのだ。
奴は俺に倒されてしまったので、
レオと俺の足跡が途切れてしまった。
だが、俺たちはわざわざ敵の前に現れたというわけだ。
『悪魔王様はな、精霊王、おまえが並行世界の地球に転生したのは掴んでおられた。この世界の家畜化は以前から計画されていたから、ついでにおまえに止めをうとうと思い立たれたのだよ』
『(かちくか?)』
『そうだ。この世界は人口が非常に多い。人間の生体エネルギーからゴブリン⇒ホブゴブリン⇒オークなどの魔物を生産していこうと。我々の下僕にするためにな』
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