H市陸軍基地1
【H市陸軍基地1】5月末
『H市はここからは南西にあって人口50万人の大きな街やけど、このあたりでは微妙に馴染みのない街でね。遊びに行くなら南東にある大都市のK市にいく』
『でも車でいくなら、山道を通ると意外なほどH市には近いんだよね』
『あの山道、人家が少ない寂しい道だから、今となっては安全な気がする』
『H基地はどういう性格の基地なんですか』
『自走りゅう弾砲を中心としてるな』
『自走砲って、戦車のごっつい奴ですか』
『ああ、普通の戦車砲はまっすぐ弾が飛んでくが、榴弾砲は放物線を描いて弾が飛んでく。射程が普通の戦車より長いし、山の向こうとかの敵にも攻撃できる』
『ふむ』
『その分、動きが鈍いし防御力も薄い。ただ、歩兵は充実してると思うで』
『ついでにいうとな、A基地は対空でH基地は対地を任務としとる。規模的にはA基地のほうが大きいな』
『でも、H基地もやられているでしょうか』
『まあ、そやろな。敵は軍を徹底的にマークしとるやろ。A基地の壊滅具合はショックやったもんな』
『よし、それなら出かけましょうか』
拠点からH基地までは40km程度である。
半分は曲線の緩やかな山道、半分は高速道路のような国道。
妨害するものがなければ、30分程度でついてしまう。
流石に市街地に入る頃には、慎重に車を進めたので、
基地が見える距離に達するまでに2時間近くかかった。
『期待してたわけやないけど、案外建物が残ってるな』
双眼鏡を覗きながら、西田さんが嬉しそうに言う。
ここは、H市を遠望できる展望場だ。
『A基地とは随分違いますね』
『外に出てる車両は全部破壊されてるな』
『アレはなんだろう。基地のグラウンドにもっこりとした山のようなものが見えるんだが』
『わからんですね。軍のものではないですか?』
『いや、不自然すぎる』
『あれ?でかそうな奴が数頭、山から出てきたぞ』
『そのまま、建物に消えていった。あれは整備工場やな』
『建物も山も奴らが使っているのですかね?』
『流石にここから基地まで1kmはある。近寄らんとわからんな』
『暗くなったら、見に行きますか』
『そうですね』
20時ごろになった。
辺りは漆黒の闇に包まれている。
『じゃあ、飯田先生と内田さんはここで待機願います。私ら、ちょっと見てくるんで連絡はトランシーバーで』
『わかりました』
俺が魔法を使うふりをしてレオは防御魔法を
全員と車にかけ直した。
俺たちは山を下り、慎重に歩を進めた。
身体強化のおかげで、闇夜も問題ない。
『基地のそばにモールがあるが、まずはその屋上に行ってみましょうか』
『OK』
『どうだろう。動いているやつはいるかな』
『見当たりませんね。大コウモリもいない』
『じゃあ、基地の中にいこうか?』
『わかりました』
『武器はたいてい中隊ごとに管理しとる。隊員の宿舎や事務室の隣とかにあるんや』
『じゃあ、あそこから潜り込んでみますか』
アパートのような建物の並んでいる一角を目指す。
何体かホブゴブリンらしき個体がいたが、
クロスボウで排除していく。
発射音もしないし、頭を貫かれると瞬時に消滅する。
俺たちはゆっくりと、建物に侵入した。
『(レオ、大きそうな奴いるか?)』
『(いない。たぶん、ぜんぶホブゴブリン)』
『中にオークはいないようです。ただ、ホブゴブリンは多数いるみたいです』
『ああ、オークは大きいから入ってこれないか』
音を立てずに、ホブゴブリンを排除していく。
西田さんが檻の前に止まると、
『よし、ここが武器庫だな。中村さん、頼むよ』
『わかりました』
解錠のプロ中村さんがあっという間に鍵をあける。
『武器がそのまま保管してあるね。ただ、小銃ばかりだ』
『新採用の5.56mm銃がありますよ。数丁もっていきますか』
そういうのは、ミリオタの三田さんだ。
弾はA基地で大量に確保してある。
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