車中泊したら魔獣にやられた3
【車中泊したら魔獣にやられた3】異常発生2日目
俺はあたりを見渡してみて、気づいた。
確かに、昨日と風景が微妙に違う。
季節は3月上旬。
遠くの山はうっすらと雪を冠している。
それは昨日と同じ。
じゃあ何が違うのか。
『ああ、俺の車が!』
車がない。
あの車は値段も高いし、いろいろ改造もしてる。
自慢の車両だったのに。
『レオ、大変だ』
『(なんだ?)』
『車がない』
『(そうだな。かいぶつが、けした)』
『なんだと、えらい損害だ』
『(そのゆみで、こうげきした)』
『この弓?ってそんなに強力なのか?』
『(オレにきくな)』
俺は弓を操作してみたが、
先程の単射以外の操作ができるようには見えない。
『車に積んであったキャットフードもない』
『(チュールは?)』
『ない。手元にあるやつだけだ』
『……』
レオは目と口を開けたまま動かなくなった。
レオ、あきらめろ。
俺は○百万円が消えたんだぞ。
気を取り直して、何があるのかチェックしてみる。
・バックパック
・サバイバルナイフ
・フラッシュライト
・スマホ
・携帯太陽光発電機
・双眼鏡
・少量の食料、水、キャットフードなど
車はないが、車の外にあったものは概ね残っているようだ。
バックパック出しておいて良かった。
これだけあれば、しばらくはいけるだろう。
『レオ、とりあえず下山するか』
『……』
レオはショックから立ち直っていないようだった。
新たに買うだけなのに。
レオをフードに放り込んで、付近の捜索を始める。
オートキャンプを管理しているのは、そばのホテルだ。
こじんまりしているが、シーズン中は予約が取りにくい。
湖畔にあり、案外、人気のホテルだ。
だが、今はシーズンオフで客は少ない。
俺たちは事態の報告をしに、ホテルに戻ることにする。
どこまで報告すればいいのか。
危険なケモノが出た、ぐらいだろうな。
UFOとか獣が消滅したとか、猫がしゃべるとか。
いちいち説明していたら、俺の正気を疑われる。
とりあえず、電話してみるか。
『レオ、電話つながらねーぞ』
『(イヤなよかん)』
ホテルまで歩いて行く。
ホテルのエントランスに向かうが、異変に気づく。
扉が粉砕されているのだ。
『(タケシ、なんかいる)』
『ああ、さっきのデカいやつだとヤバいな』
俺たちは慎重に歩を進めながら、ホテルに近づく。
すると、緑色の生物がホテルから現れた。
『なんだ?映画で見たことあるぞ』
そいつは、空想映画にでてくるゴブリンに似ていた。
小学生ぐらいの背、突き出た腹、何より醜悪な顔。
可愛げがまるでない。
『(タケシ、さっきのヤツのなかまか?)』
『俺が知るわけねーだろ。なんにしても、敵っぽいな』
『(ああ。オレのあたまもやばいっていってる)』
俺はじっくり観察してみる。
すると、例の映像が現れた。
名前 ー
年齢 ー
出身 ー
種族 ゴブリン
特記 剣L3、身体強化L1
『レオ、奴はゴブリンだとよ』
『(なんだ。かんていまほうか)』
『そうみたいだ。頭の中に情報が浮かんできた』
『(とにかく、てきだな)』
『よし、先制攻撃だ』
怪物まで50メートルぐらいだ。
こちらからははっきり見える。
向こうは気づいていない。
俺はクロスボウをかまえた。
慎重に光の矢の焦点をゴブリンに合わせる。
ドキドキだ。
息を整え、揺れるクロスボウの焦点を抑える。
『バシュッ』
トリガーを引くと、光の矢はゴブリンの額を突き抜け、
そのままゴブリンは霧となって消滅した。
『(イケてるな)』
『おう。消えてしまうのが斬新だな。死体は残らんのか』
『(タケシ、それはあとで。このまま近づくぞ)』
俺たちはエントランスにたどり着き、慎重に中を覗く。
すると、中に何か危ないものがいる気配がする。
『レオ、中に何体か敵がいるようだ』
『(うん、オレもかんじている)』
『エントランスには3体いるような気配がするな』
『(こうしよう。オレがやつらをさそいだす。タケシはそとからヤツラをヒトツずつやっつけてくれ)』
『3体もか?』
『(れんしゃできるだろ?)』
『ヤバければ逃げればいいか。逃げ足も速くなってるしな』
『(じゃあ、いくぞ)』
『よし、ちょっと待て。いいポジションとったら合図する』
俺は一体をやっつけたことで度胸がついていた。
エントランス正面の絶好な射撃ポイントで構えると
レオに合図を送った。
『『『ギー!』』』
ゴブリンが次々とエントランスから飛び出してきた。
俺は慌てず、一体ずつ狙撃していった。
ゴブリンは3体全てが霧となって消滅した。
それにしても、俺の冷静さに自分で驚く。
俺はこんなに度胸があったのか?
確かに鈍いとはよく言われる。
しかし、どっちかというと小市民なんだが。
『(タケシ、いっかいにはいなさそうだな。うえいくか?)』
『よし、階段あがるぞ』
俺たちはエントランスに入った。
そして、正面の階段を上がっていく。
上がりきったところに敵のいる気配がする。
階段を半分登ったところで、そいつが姿を表した。
『人間?』
そいつは人間の格好をしているが、色々と変だった。
生気のない顔。
焦点の合わない目。
カクカクとした動き。
しかも、臭い。鼻がもげる。
名前 ー
年齢 ー
出身 ー
種族 デッドマン
特記 ー
『レオ、こいつ死んでるぞ。ゾンビだ!』
奴が俺目がけて突進してきた。
『くそったれ!』
俺は奴の額に照準をあて、光の矢を発射した。
光の矢はゾンビの頭を粉砕すると、
ゾンビは霧となって消滅した。
『おいおい、ゴブリンにゾンビか。もり過ぎじゃねーか』
俺たちは2階と3階に上がり、残りの敵をやっつけた。
残りは全てゾンビだった。
ホテルの脅威を排除してから、
ホテルに備え付けの電話で直近の警察署に電話してみる。
しかし、つながらない。
ツーの音さえしない。
ネットもだめだ。
『嫌な予感がする』
『(マチのほうもカイブツだらけ?)』
『そんな気がする』
俺は一応全ての部屋をチェックすることにした。
シーズンオフのため、利用客は少ない。
殆どの部屋がロックされている。
俺がガチャガチャとドアノブをひねっていたら、
『(かぎのようすがあたまのなかにうかんできた)』
『どーいうこと?)』
『カチャッ』
『(かぎ、あけちゃったよ)』
レオは新たなスキルを身に着けたんだろうか。
すると、
『(タケシ、シンニュウがレベル6になった)』
『ああ、だから鍵開けか。本当に色んなところに侵入できそうだな』
レオは残りのロックされている扉も次々と解錠していった。
なんだか、楽しそうだ。
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