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格闘術を習う

【格闘術を習う】


『そうだ、山科くん。格闘術を習っているんやてね』


『ええ、空手は5年。今は古武術やってます。あと、ナイフ戦闘術も』


『教えてくれないか。私は陸軍時代に戦闘術を約10年訓練してきたが、もう30年近く前やからね』


 西田さんは、20代から30代にかけて陸軍の経験がある。



『いいっすよ』


『俺たちの戦闘は遠距離攻撃が主体です。でも、魔物と正面切って戦うこともあるかもしれない』


『ああ。今回のように気配を消す魔物がいる。そうなると、思わぬ方向から襲われたりする』


『だから、近接戦闘の練習もしておきたいんや。全員とはいいませんが、習いたい人は山科くんに教えてもらいましょう。私も山科くんと相談してカリキュラム作ってみるわ』


『ただ、現状では盾一択じゃないすか。下手に格闘しようとかは考えないほうがいいと思います』


『そやね。山科くんのいう通りや。皆さん。生半可な攻撃をすると危ないんで、盾で防御するか、もしくは逃げる。超近接戦闘で無手で攻撃するのは鍛錬を重ねた後ですね』



『ああ、私もお願いします』


 そう願い出たのは、看護師の伊藤さんだ。

 彼女は身長172cmと大柄だが、顔が小さく手足が長い。

 いわゆるモデル体系であるが、趣味が格闘技だという。

 空手は2段で、学生時代は雑誌に載ったこともあるらしい。


 彼女の型を見せてもらったが、とにかく動きがシャープ。

 力感は今ひとつだが、このスピードで敵を制圧するタイプだ。

 山科くんともいい勝負をする。


 伊藤さんだけでなく、結局、全員が習うことになった。

 基本的には自分の身は自分で守るしかない。

 西田さんと山科くんも、まずは盾を使った防御、

 それからの攻撃ということで指導を重ねていった。



 格闘術自体は山科くんから習うことになった。

 彼は謙遜するが、なかなかのものだった。


 中3のときには全国フルコンタクト空手選手権の

 中学部門で優勝している。

 古武術も3年めで驚くべき修練を見せている。


 彼は身長180cmあるし、体重も70kg近い。

 しかし、そういう体格に関係なくパワーが凄い。


『僕の師匠なんか、体重60kgぐらいですけど、いつも僕は吹っ飛ばされています。この界隈では有名な人ですよ』


 なんでも、力ではなく、逆に力を抜くのがコツだという。

 筋肉でなく、骨の動きで体重を乗せるのが大切だというが、

 よくわからない。


 ただ、彼の言う通りに打撃を行うと、凄いパワーが出る。

 そのために、肩甲骨だけで床の上を動いたりとか

 特殊な練習をする。



『皆さん、覚えるのが早いです。僕が3年かけたのを数週間ぐらいで体得しています』


 身体強化のレベルが上っているせいだろうか。

 体の動きはまだまだだが、コツは掴んでいるらしい。


 特に俺は習得が早いという。

 やはり、身体能力レベル10がきいているか。


『苅屋さんの反射神経というか、気を読む力はうちの師匠並かもしれません』


 これは、山科くんのヨイショだ。

 山科くんのほうが速い。


 山科くんとの練習で相手を見ずに打撃を避ける練習をする。

 そんな馬鹿な、と思うかもしれないが、

 それが避けることができるのだ。


 なんとなく、相手の気を感じる。

 これは、魔物を感知する能力に通ずるものがある。


 これは俺だけじゃない。

 程度の差こそあれ、みんなある程度気を読むことができる。



 それがレオだと誰もかなわない。

 レオとふざけて格闘戦をする。

 俺がパンチを繰り出そうとした瞬間に、

 レオの前足で俺の額にお手をされる。


『レオちゃん、NO1だよね』


 レオは、すっかりみんなのアイドルだ。

 女性はみんな、いつもレオといっしょに寝てるからな。


 レオはカワイイということもあるが、

 何か癒やしの空気を出している。

 辛いことや悲しいことがあっても、

 レオといると気分が安らぐのだ。



 なお、ナイフ戦闘術は西田さんが教えることになった。

 山科くんもナイフ戦闘術を学んでいるが、

 まだ数ヶ月程度の経験しかない。


 ナイフ戦闘術は軍で採用されているという。

 山科くんの師匠は、軍でも教えている。

 西田さんが言うには、非常に有名な先生らしい。


 なんでもナイフ戦闘術は古武術から発展した武術だという。

 山科くん曰く、大和国の武術は奥が深く、

 古武術だといって古臭いなどということは全然ないという。


 武術というのは、要するに殺人術あるいはそれに近い。

 戦場で使うものなのだ。


 狙うのは人の急所。

 目潰し、金的は基本。

 あるいは、暗器で腕を狙ったりする。


 同程度のレベルの格闘家と武術家。

 圧倒的に武術家に分がある。


 格闘技にはルールがある。

 金的を開放しただけで、格闘家は武術家に対抗できない。

 格闘家は自分の動きを制限されてしまうからだ。


 或いは暗器。

 暗器とは、身体に隠し持つ事が出来る小さな武器。

 例えば、小さなナイフ。

 少しぐらいの能力差は簡単にひっくり返される。



 無論、格闘家のルール内で戦えば、格闘家が強い。

 が、それは無意味なIFだ。

 戦場ではルールが、などと言う前に死んでいる。


 格闘技はスポーツなのだ。

 安全を前提とする。

 ところが、武術は戦場での殺し合いを前提とする。




『刈谷さん、ゴブリン相手に格闘してみないか』


 ある日、西田さんがそう俺を誘ってくる。


『そうですね、ゴブリンなら行けるかも』


 研究班や俺たちの経験から、ゴブリンの急所は目。

 目を突くと、かなり楽に倒すことができる。


 これは、おそらく魔物全般にも通用する急所だと思う。


 目以外だと、首をはねるとか胴体を突き刺すとか、

 明らかな致命傷と思える攻撃が必要だ。


 ただ、先日のホブゴブリン戦でもやった通り、

 敵が武器をもっている場合は、上腕攻撃が有効だ。

 敵が攻撃をしかけた瞬間にカウンター気味に攻撃する。


 ヒットアンドウェーで安全を担保しようとすると、

 この攻撃が一番だ。



『ああ、山科くんもどうや?』


『喜んで。でも、西田さんのナイフ術はゴブリンクラスじゃないでしょ』


 西田さんとナイフの練習するとすぐにわかるのだが、

 とにかく、殺気が凄い。


『殺し合いだからね』


 と西田さんは言う。

 確かにスポーツ格闘技とは種類が違う。


 山科くんとも話がよくあうようで、

 肩甲骨とか股関節の使い方とか、

 真剣に話し込んでいることが多い。


 二人の体捌きは、俺からみると名人クラスだ。

 単純な反射神経とかは俺がダントツに優れているんだが、

 彼らの体の動きはそういう数字では表すことができない。



 例えば、距離1mのところから顔目掛けて銃撃する。

 それをよける練習をしている。

 銃は玩具だが、BB弾が出る。


 これを避けられるのは、俺、西田さん、山科くんの3人だ。

 (レオは当然できる)


 だが、西田さんや山科くんは、銃を撃つ直前に、

 銃を掴んで発射を阻止することができる。


『昔よりもずっと体捌きがすごくなりました。魔物狩りのお陰ですよ』


 と山科くんは言う。

 今は、身体強化レベル5だ。

 彼は俺の身体強化レベル10より動きが俊敏である。



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