負傷する
【負傷する】
ゴブリン討伐班は次の3つに分けた。
第1班 俺 レオ 伊藤 北宮 中村 山科
第2班 俺 レオ 西田 内田 蒼井 江藤
第3班 俺 レオ 市河 飯田 三田 梨香
俺とレオが全てにいるのは、
レーダー役を兼ねているのと、
レオがいざという時の回復役になるからだ。
医療係として、医者である飯田先生、
看護師の北宮・伊藤さんをふりわけてはいるが、
レオの回復魔法レベル10は並じゃない。
ただし、現状ではレオのスキルは伏せているので、
あくまでいざというときのために備えている。
初期には、ゴブリンは元が人間だとか、
怪物自体への恐怖感とかがあり、
討伐には緊張感がみなぎっていた。
しかし、極力安全性を確保して攻撃している。
まず、中・遠距離攻撃主体である。
魔物はレオか俺の気配探査であらかじめ捉えている。
極力車内から攻撃する。
敵からの攻撃を受けにくい。
そもそもが、この世界がゲームのようになっている。
メニューだとか、レベル上げだとか、
とても現実の世界とは思えない。
だから、ゴブリンを攻撃していても、
流れ作業的な感覚がでてしまう。
緊張感が薄れてきたのだ。
ある日の早朝。
俺たち第2班は、C町のホームセンターに来ていた。
ゴブリン討伐後に、必要な日用品を確保するためだ。
あたりに何もいないことを確認して、
車を降りる。
店の入口に入った途端に、
『ギー!』
大柄な魔物が西田さんを襲った。
『クソッ!』
西田さんはとっさに横に逃げた
しかし、魔物の持つ武器で背中に裂傷を負ってしまった。
床に寝転がる西田さん。
魔物は次に俺たちに襲いかかってきた。
俺は短剣をぬき、魔物の振り回す棒に対処する。
超近接距離になると、銃やクロスボウは使いにくい。
それと、急な出来事でみんな半分パニックだ。
俺も当初は西田さんが攻撃されたこともあり、
大慌てだったが、
魔物の攻撃を短剣で受け止めているうちに、
気持ちが落ち着いてきた。
魔物はホブゴブリンだった。
『それっ!』
俺が狙ったのは、敵の腕だ。
まず、右上腕。そして、左上腕。
両腕を使えなくして、最後は奴の弱点である目。
短剣を深く奴の目につきさした。
『ギャッ』
ホブゴブリンは短く叫ぶと、黒い霧となって消滅した。
『西田さん、大丈夫ですか』
『ああ、油断したよ』
『応急手当てします』
背中がバックリと裂けている。
傷口はかなり深い。かなりの出血だ。
内田さんは消毒液で傷口を洗ったあと、回復魔法を使う。
傷のまわりが白く光りだし、
みるみるうちに傷がふさがっていく。
『おお、見事なもんだね』
『ああ、内田さん、助かったよ』
『回復魔法は外傷には非常によく効きますね』
『そうだよ。通常、この怪我はしばらく安静にしてないとダメだよな。それが瞬時に回復するんだから』
この回復魔法、飯田先生や看護師さんたちの感触によると、
傷跡の再生であり、おそらくDNAを読み込み、
現状回復しているんじゃないか、という推測を行っていた。
『だから、外傷には強いですが、感染症には今ひとつですね。おそらく、感染症には人の持つ本来の治癒能力をあげて細菌やウィルスに対抗しているんじゃないでしょうか』
『問題はガンのような病気ですね。ガンはDNAが傷つけられて発生するんですが、DNAそのものが異常なんで、細胞がガン細胞を異常と認識しないんですよ。だから、回復魔法はひょっとしたらガン細胞を増殖させるかもしれません』
『回復魔法にDNA修復機能が備わっているのか、それは現状ではわかりません。或いは、レベルがあがってくると本当に万能の効能を備えるのか。例えば、欠損部位を再生するとか。或いは、死亡しても生き返らせることができるのか。もう神の領域ですが』
レオの回復魔法はレベルが10だ。
レオに効能の強さを聞いても、
『(わからん)』
というだけである。
実際に患者を治療してみないと、わからないかもしれない。
さて、西田さんだが傷は完全に治っている。
『西田さん、どうですか』
『ちょっとフラフラするけど、問題ないよ。ありがとう』
『フラフラするのは、出血したからですかね。失われた血は復活しないのかもしれません。少し、安静が必要ですね』
とにかく、大事をとって速攻で拠点に戻る。
『ホブゴブリンは自分の気配を消してたね』
『ゴブリンでそういうことのできる個体は経験してきたが、ホブゴブリンでは初めてや』
『今後もこういうのがでてくるでしょうから、改めて対策を徹底しましょう』
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