レベル上げに奮闘する2
【レベル上げに奮闘する2】異常発生3週間後
全員が身体測定をして、何度か戦闘訓練をした。
とは言うものの、クロスボウの使い方と、
車窓からのクロスボウの発射訓練だ。
難しいことはない。
そして、夜を迎えた。
隣町に移動して、佇んでいる魔物を狩ることで、
レベル1になるのを経験してもらった。
拠点に戻り再度身体能力を計測する。
実測値が向上しているのを知ると全員が感激していた。
『いかがですか、飯田先生』
『はあ、やっぱり複雑な気持ちですね』
『ええ、言葉ではなんとでも言えるのですが、簡単に折り合いがつくものではないでしょう』
『ただ、彼らには申し訳ないのですが、レベル1になったことでなんとなく希望が湧いてきました』
『ああ、それは私達も同じでした』
『精神面がタフになったということでしょうか。彼らの鎮魂もありますが、私達も進まなくてはならないのですね』
『私達の多くはレベル4になっています。精神がタフになっているのを感じていますが、彼らを屠ることに慣れたのとは違いますね。なんていうか、客観視できるようになったというか』
『なるほど。正直申し上げれば、すぐにでもレベルを上げたいですね。タフになりたい』
『レベル2にはすぐ到達します。レベル4には3週間ぐらいです』
『気を強く持ってあたりますね』
『江藤くんはどうでしたか』
『顔つきが逞しくなりました』
『ただ、江藤くんだけじゃなくて他の人でも負荷のかかっている人がいたら、教えてください。これは飯田先生のほうがご専門でしょうが』
『いや、精神面は専門というわけではありません。職業柄、気持ちの弱った人は多く見ていますし、それなりの講習等は受けておりますが、精神が表に出て来ない人もいますから、みんなで注意していく必要がありますね。特に梨香ちゃんは江藤くんと同い年です。また、年齢に関係なく、来る人はきますから』
『もっとも、そういうヘビーな状況はあるにせよ、それ以外ではお陰様で快適な環境に身を置くことができました』
安全と思える拠点を確保した。
水はある。食料もある。
ホームセンターレベルだが、日用品には困らない。
武器もある。
薬もありあまるほどあり、医者もいる。
『さしあたっては、俺たちはある程度危険を脱している。これからどうします?』
『大きな目標は思いつかないが、少しずつ周囲の状況を把握していく必要はあると思う』
『そうだよな。一体、何が起きているか、というのは知りたいし、閉じこもっていても少し外周へ行けば敵に囲まれているのは予想できる。ジリ貧になる可能性が強い』
『それに、魔物をやっつけるとレベルがあがる、というのははずせんよね』
『うん。魔物あふれる世の中でサバイバルするのに鍛錬は必要だ』
『肩こり治るし、毛も生える』
『健康法だよな。緊張感のない話だが、体調が良くなるのは単純に嬉しい』
『レベルあげだけど、どんな感じで上がっていくの?』
『みんなの様子を見るとこんな感じだ』
1体でも魔物を討伐するとレベル1になる。
レベル2になるには、ゴブリンを10体討伐。
L3は40体討伐。
L4は160討伐。
L5だと、640体のゴブリン討伐が必要と推定される。
レベルが1上がると、身体能力が概ね1割以上跳ね上がる。
身体能力は、力、持久力、反射神経、速度、五感等、
全般に向上する。
体調もよくなるし、近眼、老眼、肩こり、といった症状も
改善され、毛髪関係も若返る。
西田さんの例だが、元々は
握力45、全身反応速度320、ジャンプ力46。
レベル4となった現在では、それぞれ、
66,210,67となっている。
『すごいね。アスリートレベルだね』
『17歳の時の僕と同等か、それよりも数字がいい』
『市河さんは最年長だが、同じレベル4でも西田さんよりも数字がいいからね』
『元々の身体能力に左右されるわけか』
『これがレベル10の苅屋さんだとこうだ』
握 力 186kg
全身反射神経 112ms
ジャンプ力 180cm
『先日も見たけど、超人だよね』
『人類最強だ』
『魔物を倒すことでそんな力を得られるわけ?』
『俺は本当に幸運にもでかい魔物を倒すことができたんだよ。その恩恵で一気にレベル10になった』
『レベルあげの必要討伐数は4倍ずつ増えていくよね。すると、レベル10に必要なゴブリンは?』
『レベル1からだと80万体以上とかになるぞ』
『つまり80万体レベルの強さの魔物?』
『いや、ゴブリン討伐数4倍というのがこの先も続くのかどうかはわからん。それと、レベル5あたりでゴブリン討伐数は非現実的な数字になってくる』
『レベル4⇒5で640体、レベル5⇒6で2560体だもんね。ゴブリンを1体ずつ討伐していくのなら、一体どれだけの日数が必要なのかわからない』
『レベルが上がるにつれ、基準が変わるかもしれないし、それとゴブリン以上の魔物を屠る必要がでてくる』
『今までゴブリン以外の魔物は?』
『ホブゴブリンと思われる個体が4体いた』
『最初、魔物は夜は寝てるからそのスキをついてうまく誘導、市河さんのライフル2発で仕留めた。次からは1発だね』
『さほど強いというわけじゃないのね』
『目が弱点なんだよ。少なくとも無敵レベルじゃないな』
『ゴブリンでも人間よりずっと強いことを忘れないでよ』
『そうだよね。とにかく、近接戦闘禁止。遠距離攻撃推奨』
『それと、ホブゴブリンを中心に徒党を組み始めてる。そのうち、チームプレイとかし始めるかもしれないし、僕らもレベルアップしてるけど、向こうもレベルアップしてるから本当に要注意だよ』
『ただ、僕らのレベルが高くなると、周りの状況判断が鋭くなる。魔物がそばにいたら察知できる程度にね』
『レベル4だと周囲10mぐらいなら見えなくても位置を大まかに特定できる』
『レベル10だと周囲50mぐらいに睨みがきくようになる』
『夜は奴等寝てるから、クロスボウでゆっくり討伐できる。それこそ、力の弱い人でもね』
『気持ちの優しい人もいるかもしれないが、ここは気をしっかり持ってほしい。サバイバルが始まっている。厳しいことを言うようだが、自助努力が必要だ。甘えは許されないような状況だからね』
『そうなんだよな。この世界がゲームっぽくなってるから、今ひとつ現実味がないってものあるから気の緩むこともあるけど、死と隣合わせの世界だからね』
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